プロデューサーから言われたときは“本当に気が重かった”
――最終話は、オリジナルストーリーが描かれました。審査員からは、「きれいごとだけではなく、心にずしっと残る見事なラストだった」という意見をいただいています。新しいストーリーを描くことになったときの心境や、どのようにして描かれたのかを教えてください
「原作にはないラストを」とプロデューサーから言われたときは、本当に気が重かったです。贖罪という重いテーマを、最終話1話だけで到底描ききれるものではないと思いました。なので、後で「あれも書いておけばよかった」と後悔しないように、という一点だけに集中して脚本を書きました。チーム一丸となって作った最終回なので、「心に残る」という評価はうれしいです。
――主人公・深瀬を演じられた藤原竜也さんに対する印象や、役柄に込めた思いを教えてください
主人公にしてはネガティブな性格の深瀬ですが、後悔を抱えていたり、「その一歩が踏み出せない」「言いたいのに言えない」という誰もが持つ感情に共感してもらえたらいいなと考えていました。脚本に書かれているより何倍も愛すべきキャラクターになったのは藤原さんのおかげです。物語全体をバランス良く俯瞰しながら、細かい仕草まで徹底して深瀬で、「いったいどうやって演じているの?」という驚きをもって毎週楽しみに見ていました。
――雪景色のシーンや、愛媛ののどかな景色のシーンなども描かれていましたが、強く印象に残ったシーンを教えてください
やはり雪山のシーンです。痛いほどの寒さが伝わってきて、見ていて辛かったです。撮影は過酷だったと思いますが、「一瞬の判断を誤ったために悲劇が起こる」ことに強い説得力が生まれ、作品全体の馬力が相当に上がりました。スタッフ・キャストの皆さんには感謝しかありません。
――最優秀作品賞、最優秀主演男優賞も獲得された「リバース」ですが、ご自身にとって、どんな作品になりましたでしょうか?
現場は皆さん「すごく大変」と言っていましたので、最優秀作品賞をいただけて本当によかったです。座長として現場を引っ張ってくれた藤原さんにも、心からありがとうと伝えたいです。「リバース」執筆中は苦しい局面もありましたが、信頼するチームと仕事をやり遂げた喜びの方が大きいです。これからも週に一度の楽しみになるような面白いものを書いていきたいと思います。ありがとうございました。