吉高由里子が主演を務める大河ドラマ「光る君へ」(毎週日曜夜8:00-8:45ほか、NHK総合ほか)で藤原道兼を演じる玉置玲央に注目が集まっている。ふてぶてしいキャラクターから一転、4月14日放送の第15回「おごれる者たち」では「俺はもう死んでんだ」と泣き叫ぶシーンを熱演。迫力ある演技に「まるで舞台のようだった」「シェイクスピアを見ているみたい」の声も飛んだ。(以下、ネタバレがあります)
道隆一族が隆盛を極める一方で…
「源氏物語」を生み出した平安時代の女流作家・紫式部の人生を描く「光る君へ」。脚本家・大石静が脚本を務め、主人公・紫式部こと“まひろ”を吉高が、彼女の生涯の“ソウルメート”となっていく藤原道長を柄本佑が演じている。第15回では、藤原兼家(段田安則)の死後、その長男である道隆(井浦新)一族が強大な権力を握っていく様子が描かれた。
娘・定子(高畑充希)が一条帝(柊木陽太、のち塩野瑛久)の寵愛を受けていることも追い風に、自身は摂政となり、息子・伊周(三浦翔平)も順調に出世…と隆盛を極める道隆。その一方で、兼家に尽くした挙句、冷たい仕打ちを受けた道兼は、公任(町田啓太)の家に入りびたり、酒におぼれる日々を過ごしていた。
「俺はもう死んでんだ」
公任から事情を聞き、道兼を連れ戻そうと道長がやってきた。「兄上のこのようなお姿、見たくありません」という道長に、道兼は寝転がったまま「俺は父上に騙され、ずっと己を殺して生きてきた。そして父にも妻にも子にも捨てられた。俺のことなぞ忘れろ」と自暴自棄。
「俺はもう死んでんだ。とっくの昔に死んでんだ。死んだ俺が摂政を殺したとて、誰も責められぬ」と、長兄・道隆への深い妬みの感情をぶちまけ、道長に「まだこれからではありませぬか!兄上は変われます」「しっかりなさいませ!」と力強く背中を押されると魂が抜けたようにへたり込み、髪をかきむしって慟哭した。
父から“人殺し”と呼ばれ…「この老いぼれが!」
初回ラストでまひろの母・ちやは(国仲涼子)を刺し殺すという大事件を起こした道兼。兼家に事件をもみ消してもらうと、その後は兼家に言われるまま円融帝(坂東巳之助)に毒を盛ったり花山帝(本郷奏多)を退位に追い込んだりと、一族のため“汚れ仕事”を一手に担ってきた。
だが、兼家が後継に指名したのは道隆だった。兼家に「お前のような人殺しに、一族の長が務まると思うのか」と強烈な一言を浴びせられた道兼が、駄々っ子のように「この老いぼれが!とっとと死ね!」と吠えた場面も記憶に新しい。
さんざん汚れ仕事を担ってきた挙句、妻と子にも去られ父からもばっさり切り捨てられ、すべてを失った道兼。迎えにきた道長を前に「俺はもう死んでんだ」と嘆き、号泣するその姿には、深い孤独と絶望がにじむ。