綾野「前にもこんなことがあったなと思って」
加瀬は破裂の恐れのある動脈瘤が脳に見つかった患者。脳動脈瘤が破裂するリスクは年間1%程度だが、破裂すれば重度の障がいが残るか、最悪は死に至る。しかし手術をすれば4~10%の確率で後遺症が残る。確率論での過酷な選択を突きつけられ、妻と幼い子を養う加瀬は葛藤。ミヤビはそんな加瀬に根気よく寄り添い、最善の治療を行うために脳血管内治療(カテーテル)専門医である綾野にも相談。相談中に綾野はミヤビと過去に同じような内容を話したことを思い出す。
加瀬は動脈瘤破裂を恐れながら生活するよりも手術することを決心したものの開頭手術を怖がっていると、ミヤビがカテーテル手術をすすめる。綾野が手術を担当し、無事に成功する。
手術の後、綾野にミヤビがおつかれさまでしたと声をかけ、缶ジュースを2本示して「どっちがいいですか?」と尋ねる。綾野は過去にミヤビから同じように2本の缶ジュースをどちらがいいかと聞かれたことを思い出し、視線を落とす。綾野の反応を見てミヤビは「どっちも好きじゃなかったですか?」と聞く。綾野は「いや、前にもこんなことがあったなと思って」と苦笑いし、1本の缶ジュースを手にとって礼を言うと、立ち去っていくのだった。
感情を押し殺しているであろう、綾野の静かで重い表情が切なく、胸が苦しくなった。X(旧Twitter)でも、「昔の記憶と重ねて切なげな綾野先生に心持ってかれた」「一気に昔の思い出が蘇って閉じ込めていたミヤビへの思いが溢れるのを必死に抑えているのが伝わって、切ない…」「岡山天音が切ないやばい」と声が寄せられ、トレンド入りを果たした。
◆構成・文=入江奈々