堀田真由とのシーンは「びっくり箱を空けるような感じ」
――堀田真由さん演じる紫ノ宮飛鳥との芝居にも注目が集まっています。
紫ノ宮と赤峰は犬猿の仲のようで、実はずっと同じラインにいると思っています。第3話で赤峰がようやく紫ノ宮と並ぶような感覚があったので、この先2人が誰のために動いていくのかも注目してほしいです。
ここからは2人のシーンも増えていくので、演じていてもバディー物に近いような。撮影では、相談して芝居を決めることはあまりなくて、テストの撮影でびっくり箱を空けるような感じ。「どうくるかな?」「そうくるか!」みたいなことが多いです。そんな僕らの“タッグ感”もぜひ楽しんでください。
――第4話では、これまでよりも赤峰のいろいろな表情が見られた気がしています。
飯田和孝プロデューサーから、「赤峰は別の弁護士事務所にいたことがあり、刑事事件の担当経験はないが、民事事件などの裁判を経験してきている優秀な弁護士」という説明を受けていました。実は僕の中で、赤峰が弁護士としてどう成長するかは第3話で終わっていて、第4話からは明墨法律事務所のアンチヒーロー率いるチームのパーツの一つになっていく準備をしているつもりなんです。
――たしかに第1話と比べると、ちょっと明墨に近づいてきたような…。
赤峰は明墨に憧れて法律事務所に入った設定なので、実は少しずつ明墨要素を散りばめていました。ポケットに手を突っ込むような細かいしぐさをはじめとして、少しずつ明墨のやり方に染まっていく様子は細かく演じているつもりです。
これまで僕は視聴者の皆さんの安心材料的な役割だったかもしれませんが、次は誰がその役割なのでしょうか。明墨なのか紫ノ宮なのか、はたまた別の誰かなのか。それを探してもらうのも面白いと思います。
――作品としても次のフェーズに突入するんですね。
もちろん軸としては僕らの変化もありますが、本作は“僕らがどう成長するか”よりも、被害者にフォーカスが当たる作品だと思ってもらえたら、さらに違った楽しみ方をしてもらえると思います。
みんなが弁護士として抱えている正義は、常に被害者を助けること。どんなにアンチな弁護士でも依頼人を助けることが全てなんです。僕たちは最後まで依頼人を中心に動いているので、そこにはより一層注目してほしいです。
エンターテインメントの捉え方を語る「“ただ面白い”ってすごいこと」
――ここまで演じてみて改めて感じた作品の魅力を教えてください。
僕は、ドラマや映画は「ただ面白ければいい」と思うタイプ。“ただ面白い”ってすごいことで、作品全体を通して「いやぁ、面白かった!」で終わることはすごくバランスの取れている証拠でもあります。
本作を見てくださっている方たちも日頃からたくさんの作品を見たり、我々俳優の世界をのぞいてくれているおかげで、すごく目が肥えているはず。着眼点がすごいなと思う瞬間もあって、「いや、もうスタッフさん目線じゃん!」と感じることも(笑)。そんな皆さんからも「面白い!」と言ってもらえる作品になっているんじゃないかなと思います。
純粋に「次の話も見たい」と思わせてくれる本作は俳優としてもすごく頼もしい。脚本が本当に素晴らしいので、いい意味で僕たちが頑張りすぎなくても、この船に乗るだけで面白くなっていくだろうなという安心感もあります。
――本作は北村さんにとってどんな作品になっていますか?
日曜劇場への出演は「仰げば尊し」「グッドワイフ」と合わせて今回で3度目ですが、やっぱり日曜劇場はちょっと特別ですね。これまで数々の歴史がある中で、昨年大きな話題になった「VIVANT」に関わっていた多くのスタッフさんが、「アンチヒーロー」を手掛けています。
日本のエンターテインメント作品の旅路はまだ始まったばかりで、今まさに世界に向けて羽ばたいていく途中。プロデューサー陣の皆さんとは芝居の話だけではなくて、今後の日本ドラマの展望などについても話していて、僕の役者人生としてもすごく希望の持てる作品になっています。
内容としては光と影がありますが、現場はものすごく光に満ちています。そんな中、役者として改めて「芝居が面白いな」と思える瞬間がすごく多く、貴重な出合いとなっている作品です。
――最後に、今後の見どころを教えてください。
第3話まではある意味スタートライン。明墨法律事務所がようやく完成するまでを描いていたので、僕の“視聴者の皆さんの目”という役目は終わったかなと。第4話以降は目線も変わり、視聴者の皆さんにとっても作品の見方が変わった分岐点になったと思います。
今後は、明墨の思惑が何なのかが鍵を握ります。明墨の言っていることがうそかまことか。「一体誰のために動いているんだ?」と気になる瞬間もあると思うので、そういった伏線も楽しんでもらえたら。
今後の展開を考察したり、それぞれ作品への思いも感じてくださっていると思いますが、いい意味でそれを裏切ってくれるはず。脚本から伏線のつながり方が細部にわたって作り上げられているので、一つ一つ見逃さずに楽しんでいただけたらうれしいです!