コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョンマンガ部」。今回は、猫の幽霊に取り憑かれた部屋に住む女の子を描いた『隣の猫が成仏してくれない』をピックアップ。作者である漫画家の吉良いとさんが、2024月4月12日に本作をX(旧Twitter)に投稿したところ、1万件を超える「いいね」や反響が多数寄せられた。本記事では吉良いとさんにインタビューを行い、創作の裏側やこだわりについて語ってもらった。
タマコに寄り添う心優しいナナシくん
猫の幽霊が取り憑いている部屋で、主人公のタマコが母親に手紙を書いているシーンから物語はスタートする。部屋に取り憑いている猫の幽霊の名前はナナシくん。この名前は、タマコが勝手に命名した。ナナシくんは、地縛霊の先住猫で、「ナナシくん、キミいつ成仏するの？」と思わずタマコが聞いてしまうほどのイタズラ好き。タマコが盛塩を試みても、遊び道具にされてしまい、ナナシくんには効果が無いようだった。
そんなナナシくんに頭を抱えるタマコには、ある悩みがあった。それは、顔にある大きなアザ。このアザのせいで「虐待かしら」「高校生なのに親元からも離れているんでしょう」「愛情を受けていないのね」「可哀想に」と、近所の人たちから陰口を叩かれてしまうタマコ。
そんな近所の人たちに対し、タマコは「私可哀想ですか？」と立ち向かう。東京の学校に行きたいと言った自分のわがままを母親に聞いてもらっていることや、アザは生まれつきで、好奇の目に晒されるのは慣れていることを伝えて反論。すると近所の人たちはさすがに悪いと思ったのか「ご、ごめんなさいね。気分悪くさせちゃって」と、タマコに謝るのだった。
近所の人たちの前では「慣れている」と言ったものの、家に帰ると思わず涙が出そうになるタマコ。すると、悲しそうにしているタマコのもとに、ナナシくんが近づいてきて――。
この物語を最後まで読んだ人たちからは、「ナナシくん優しい」「どうか成仏しませんように…」「頼むから幸せになってほしい」「素敵なお話…」「このまま2人一緒にいてほしいな」「旅立ってしまった猫に会いたくなった」など反響の声が多数寄せられている。
ナナシの「自由な猫らしさ」で、タマコの気持ちが軽くなって欲しい…
――『隣の猫が成仏してくれない』を創作したきっかけや理由があればお教えください。
私は幽霊が登場する漫画(幽霊が視える葬儀屋さん)を同人誌などで描いているのですが、「猫の幽霊」は今まで描いたことがありませんでした。「猫の幽霊と同居したら、どういう感じなのだろう...」そう思って描いたのが、この「隣の猫が成仏してくれない」という作品です。
――本作では、タマコにそっと寄り添うナナシくんの姿が非常に印象的でした。本作を描いたうえで「こだわった点」あるいは「ここに注目してほしい！」というポイントがあればお教えください。
ナナシの「自由な猫らしさ」で、タマコの気持ちが軽くなって欲しい。そう思い、ナナシの行動は私の飼っている猫たちを参考にして描きました。ナナシが書きかけの手紙の上に乗るシーンは、猫飼いさんだと結構あるあるだと思います！でもタマコにとっては、そんなナナシの自由奔放な感じが救いだったのではないかと。ぜひ本編中の猫あるあるにも注目して頂けると嬉しいです。
――特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。
布団の上でタマコが語る「私たちお揃いなんだ」というシーンがお気に入りです。種族や外見なんて関係なく、この瞬間は2人の心が通い合った。そんな空気感を感じて頂けていたら幸いです。(ナナシはただノンビリしていただけかもしれませんが笑)
――普段作品のストーリーはどのようなところから着想を得ているのでしょうか。
主に身近なものや出来事からアイディアを貰っています。例えば、テレビで見た題材を私ならこう描くかもしれない…というような、何気なく思ったことを膨らませて漫画にすることが多いです。
――作画の際にこだわっていることや、特に意識していることはありますか。
大きなコマに描かれるキャラクターの表情は、いつもこだわっています。特に「目」は、微妙なニュアンスも読者さんに伝わるように大事に描いています。「このページのこの顔が好き！」と言って頂けた時はとっても嬉しいです！
――今後の展望や目標をお教えください。
自分の作品がメディア化して、もっとたくさんの人に漫画を読んでもらえるようにするのが今の目標です。そのために今後も引き続き作品を描き続けていきます！
――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします！
いつも作品をお読み頂き有難うございます！SNS、同人誌、商業誌…色んな場所で描き続けることができるのも皆様の応援のおかげです。ぜひとも、これからもあたたかく見守ってやってください！
この記事はWEBザテレビジョン編集部が制作しています。
