“弟”登場で、七苗たち三姉妹の家族の物語にも期待
しかし、六月と七苗には後悔があった。六月は父母がけんかばかりの日々に嫌気がさして、七苗たちの面倒を見ずに逃げるように海外に出てしまったのだ。一方、七苗は母が家を出ようとするとき、「一緒に来るか」と聞かれたが、すぐ帰ってくると思っていたから「行かない、八海とここにいる」と答えていた。
そんな中で迎えた八海の誕生日。コウタロウ、松嶋、陽太も集まり、誕生日パーティーが開かれた。そこで五郎は七苗たちに謝罪し、七苗や六月も後悔している思いを打ち明け、それをひそかに聞いていた九吾はいったん長野に戻って今後を考えると告げた。
大庭家を揺るがした出来事だったが、一つにしたのは五郎がパーティー用に作ったちらしずし。みどりが書き残していたレシピノートを基に再現したちらしずしは、七苗と六月だけでなく、九吾にとっても懐かしい母の味だった。そして料理の勉強を始めた八海にとってレシピノートは大切なものになるはずだ。
これまで恋や夢、仕事が描かれてきた中で、九吾の登場によって“家族”の人間ドラマとしても見応えが増していくだろう。
九吾を演じる齋藤は、2019年デビューでまだ新星ともいえる16歳。ドラマ「トリリオンゲーム」(2023年、TBS系)で主人公の中学時代役など活躍してきたなか、メインキャストに抜擢されて綾野剛と共演した2024年公開の映画「カラオケ行こ!」での真面目だけど毒舌な中学生の役でブレイクしたばかり。同ドラマでは揺れる胸の内を繊細に表現していた。そのフレッシュな輝きで、七苗たちと関係をどうつむいでいくのか、期待したい。
◆文=ザテレビジョンドラマ部