![](https://thetv.jp/i/nw/1202166/13168528.jpg?w=1284)
杉咲花主演映画「朽ちないサクラ」(6月21日[金]全国公開)の原作者・柚月裕子のオフィシャルインタビューが公開。「登場人物たちの持っている熱量を感じて、胸が熱くなった」と主演の杉咲をはじめ、キャスト陣への感想などを語った。
原作は累計45万部を刊行する人気小説
映画「朽ちないサクラ」は柚月裕子による同名小説が原作で、本来は捜査する立場にない県警・広報職員のヒロインが、親友の変死事件の謎を独自に調査し、事件の真相とその中で浮かび上がる“公安警察“の存在に迫っていく異色の警察サスペンスミステリー。原作小説の発行部数は続編の「月下のサクラ」と合わせて累計45万部を刊行する人気シリーズとなっている。
今回、原作者の柚月裕子からオフィシャルインタビューが到着。完成した映画を観た感想や、杉咲花を始めとしたキャストへの印象などが語られた。
原作者・柚月裕子インタビュー
――映画化のお話が来た時のご感想を教えてください。
「朽ちないサクラ」は、警察、公安、宗教団体、いろんなモチーフが入っている物語です。映像化するのは難しいと思っていたので、実写化の企画をお聞きした時は驚くとともに、いろんなハードルを越えて実ってほしいなと思いました。
――完成した本編をご覧になっていかがでしたか?
圧倒されました。ずっと冒頭からすごく緊迫感のあるシーンが続いて、全編をとおして不穏な空気がずっと漂っている。寒さ感じるぐらいひやっとする怖さがある一方で、登場人物たちの持っている熱量を感じて、胸が熱くなったり。感情がずっと冷たいものと熱いものの間を行ったり来たりしているような感じでした。
――映画ならではと思ったシーンはありましたか?
冒頭からずっと映っている桜です。最初は蕾なんですが、事件が真相に近づいていくに従って咲いていき、ラストには満開になる。満開の桜の迫力は映像ならではだと思います。
――本作は“サクラ”がキーワードとなる物語です。原監督が桜の怖さを表現したとお話していましたが。
それは映画を観ていてすごく感じました。桜の映像が綺麗であればあるほど恐いなって思うシーンがいくつもあって、まんまと監督の術中にはまりました(笑)。特に最後の桜が満開になっているシーンは、命が咲く勢いとでも言うのでしょうか。
私たちは感覚で桜は一瞬で散ってしまうものと分かっているので一気に花開く命の強さというものに圧倒されました。
![](https://thetv.jp/i/nw/1202166/13168525.jpg?w=1284)
――主人公・森口泉を演じた杉咲花さんの印象を教えてください。
すごい!の一言です。泉は親友の千佳が亡くなった後、感情をあまり表に出てないんですね。映画の中で唯一感情を吐き出したのが、千佳の母親に詫びるシーンでした。感情をあまり表に出さず、口数もそんなに多くない泉が母親の前で泣き崩れるシーンでは、泉の辛さが手に取るように伝わってきました。それがすごく切なくて、素晴らしかったです。捜査権のない泉が捜査をする上で梶山と富樫と3人で話すシーンがありますが、こんなひた向きな瞳に訴えられたらそれはもう受け入れざるを得ないよねって思いました。表情はないけど内面がすごく伝わってくる演技って言うんでしょうか。ずっと見ていたかったです。
小説でも文章の長さなどとは関係なく、この一行の裏にどれだけの知識とか、蓄えているものがあるんだろうと感じる一文に圧倒させられることがありますが、それと同じものを杉咲さんの演技に感じたのかもしれません。一瞬一瞬の演技のなかに杉咲さんが見えないところで考えて作り上げた泉の感情がぱっと現れる。だからきっと惹かれるし、魅了されるし、引きつけられるし、圧倒される、そう思いました。
――磯川役の萩原利久さん、梶山役の豊原功補さん、富樫役の安田顕さんはいかがでしたか。
萩原さんは「やっぱり磯川はいいやつだ」って改めて思う演技でした。泉を大切にして、とっても優しくて強いキャラクターを真っ直ぐ演じてくださったと思います。泉のちょっと危なっかしい真っ直ぐさを優しく包み込む雰囲気のある役者の方が演じてくださったことで、安心して最後まで観ていました。優しさと強さを同時に表現できるというのは、きっと(萩原さんが)すごく磯川という役に向き合ってくださったからだと思います。映画が終わりに近づくにつれて、ずっと泉と磯川を観ていたい、と思いました。
![](https://thetv.jp/i/nw/1202166/13168524.jpg?w=1284)
豊原さん演じる梶山と安田さん演じる富樫は対照的なんですよね。梶山はすぐに思ったことを口に出す。でも、そういった熱いものと不器用な優しさというのがかっこ良かったです。こういう人がいるから組織がある程度回っていく部分もあるし、不器用さって愛しいなと思いました。そう感じたのは豊原さんの演技が素晴らしかったからだと思います。富樫は何考えているかわからない、その空気満載で独特な色香がありました。観ていて、とても辛い人だとも。重い過去を背負っているので、泉の気持ちも理解しつつ、でも自分が信じた道をいく。その葛藤を安田さんの演技を見ていて思いました。
人って100%自分が正しいって思って行動できる人ってきっと少ない。迷いながらも、自分に言い聞かせながら生きている。そういう人間像を感じさせてくれる演技でした。とっても引き込まれました。いろいろな経験をしてきた梶山と富樫を、お二人とも魅力的に演じてくださったと思います。重いものを背負った二人を、泉と磯川という真っ直ぐなキャラクターが、さらに際立たせていたと思います。
![](https://thetv.jp/i/nw/1202166/13168527.jpg?w=1284)
登場人物それぞれに抱えているものがあって、観る人が誰かに心を重ねて観られる映画だと思います。それを作り上げたのは監督であり、脚本家の方であり、たくさんのスタッフの方であり、そして役を全力で演じてくださった役者のみなさまだと思います。その礎のひとつになれてとても嬉しいです。
――この映画をこれからご覧になる方に向けてメッセージをお願いします。
これから観る方が本当に羨ましいです。この映画を初めて観た時の感動をこれから体験できるのは本当に羨ましいです(笑)。
注目していただきたいのは、役者の方々の細やかに作り上げた演技と、素晴らしい音楽、桜の映像の美しさと恐さです。大きなスクリーンで見るとさらにこの映画の面白さが伝わると思います。是非スクリーンで圧倒的な恐さと、圧倒的な美しさと圧倒的なミステリーをご覧いただきたいです。
![](https://thetv.jp/i/nw/1202166/13168529.jpg?w=1284)
この記事はWEBザテレビジョン編集部が制作しています。
6月21日(金)TOHOシネマズ日比谷ほか全国公開
原作:柚月裕子「朽ちないサクラ」(徳間文庫)
出演:杉咲花
萩原利久 森⽥想 坂東⺒之助
駿河太郎 遠藤雄弥 和⽥聰宏 藤⽥朋⼦
豊原功補
安田顕
監督:原廣利
脚本:我人祥太 山田能龍
公式サイト:culture-pub.jp/kuchinaisakura_movie
X/Instagram:@kuchinai_sakura