「若いうちは、知らないから失敗はするもの」
——「いい大人」とはYOUさんにとってどのような大人でしょうか?
何かを引き出してくれる、「“いい”大人」というより、“いろんな”大人ですよね。だめな大人も、いい大人もいっぱい見ないと、その人たちがもし自分にとって「だめな大人」だった場合、未来に希望が持てなくなる。だからいろんなおばさんやおじさんに話しかけたり、大人じゃなくてもいいんです。少し自分の一歩踏み出したところで話しかけてみたり。いろんなところに出かけてみてほしいですね。
——YOUさんがまだ「大人」ではなかったときに、そういう出会いがあったのでしょうか?
私は16、7歳から周りは大人ばっかりでしたね。良い悪いじゃなくて、悪い大人にも良いところがあるんですよ。かっこいいところとか。
その経験を自分で集めてきて、自分のものにする。だから大人だけじゃなくて、いろんなもの、いろんな場所・人を見ることが一番早い成長だと思います。
——劇中での3姉妹もそうですが、焦ったりモヤモヤしたりしている人たちに、一歩踏み出すためのアドバイスはありますか?
携帯電話の中だけで暮らさないでほしいなと思います。本を読んでいてもいいんだけど、やっぱり経験なので。今は「Google Earth(衛星画像によるバーチャル地球儀システム)」で世界に行っちゃってる気になってるから。それでもいいんですよ、全部行けないから。
でもやっぱり経験は一番大きいと思います。実際にしゃべらないと分からないことってあるので。だから散歩したり、いつも行くごはん屋さんの人に話しかけてみたりしてもいいと思います。
——そうした一歩にちゅうちょしている方も多いと思うのですが、YOUさんならそこでどう話しかけますか?
話しかけられないとしたら、私はそれはただの自尊心だと思うんです。誰も自分のことを知らないのに恥ずかしいと思うことは、ある意味、自意識過剰。大人から見ると、「何も持っていない若造が何を恥ずかしがっているんだ!」と。
でも最初からは無理だと思うので、お酒が飲める年齢であれば、ビール1杯引っかけに行ってみるのもいいと思います。まだ出来上がってないプライドは、自分だけが持っている、実はすごく要らないものなんですよね、本当は。
——確かに、若い方たちは特に恥ずかしいという思いから踏み出せない方も多いと思います。
恥も外聞も、まだ失礼しちゃっても謝ることもできると思うんです。30や40を過ぎると、だめだったり、失敗して巻き返せるか分からなかったりすることも出てきます。だから10代で親も元気で「すみません! うちの子が」って言ってもらえるうちは「恥をかけ」って思います。
初めて一歩を踏み出すのが遅くなればなるほど、「恥ずかしいこと」になっていってしまう。若いうちは、知らないから失敗はするもの。だから恥をかいてもいい。
——若いからこそ「恥」も恥ずかしくはない、ということですね。
若いときはすごく恥ずかしいことをしてみんなに笑われるのが当たり前なんです。それを我々はやってきて、散々笑われているので。もうなんとも思わないです。それで年を重ねたら、ああいう失敗はもうしちゃだめだな、となる。
もちろん、人道的にだめなことはだめですよ。ただ、転んじゃうとか、話しかけて無視されるとかは、恥ずかしいことではないです。それを取っておくことの方がよっぽど恥ずかしいこと! って、ちょっと脅しに近いですが(笑)。でも、かいていい恥はいっぱいありますよ、若いうちに。だから急いでください!って思います。