俳優、声優、YouTuberとして幅広いフィールドで活躍中の染谷俊之の魅力に迫るWEBザテレビジョンの連載「月刊染谷WEBマガジン」。毎月、深掘りインタビューを敢行し、仕事の近況からプライベートまで、事務所NGギリギリの質問をぶつけて“染様(染谷俊之の愛称)”を丸裸にします。第31回は、7月18日(木)スタートのTVドラマ『あいつが上手で下手が僕で ─巡巡決勝篇─』について聞きました。
ドラマ版のシーズン2を振り返り「ラストワルツ、実は…」
──舞台とTVドラマの連動企画として人気を博している『カミシモ』の最新ドラマが7月から始まります。まずは、昨年の4~6月に放送されたドラマ版のシーズン2を振り返り、印象に残っていることはありますか?
30分のドラマなんですけど、オープニング、ロール1、ロール2に分かれていて、それぞれカット割りをしないで長回しで撮影する技法でした。それに慣れるまではたいへんだったんですけど、撮影が進むにつれて、だんだん楽しくなっていきましたね。「湘南劇場」というお笑いのライブハウスが舞台で、1階が劇場、2階が控室という設定でした。撮影は1階のシーンから始まって、みんなで会話をしながら2階に上がって行って、そこでいろいろなことが起こるという流れなんですが、序盤のシーンで誰かがNGを出しても「ドンマイ。また最初からやろう」と誰も気にしない。でも撮影が進むにつれてプレッシャーがかかってきて、とくに終盤は「やばい、もうミスができないぞ」という空気になってスリリングでした(笑)。
──シーズン2では、各話ごとにそれぞれのコンビにスポットを当てたストーリーになっていました。染谷さんが演じる高砂真夜(まよ)と、和田琢磨さんが演じる岬 一碧(いっせい)のコンビ・ラストワルツの回はどんな話でしたか?
「38(サンパチ)ファンタジスタ」という、芸人たちが目指しているM-1のような賞レースがあって、ラストワルツはいいところまでいったんですけど、岬がセリフを飛ばしちゃって敗退するんです。「パチファン」には出場資格があって、僕らは出場できる最後の年だったんで「じゃあ、もう解散しようか」となるんですが、実はまだラストイヤーじゃなかったというオチです。
──改めてラストワルツはどんなコンビですか?
ステージ上は僕がツッコミで、琢磨くんがボケなんですけど、普段のシーンでは、僕がボケるキャラクターでした。コンビの芸風としては、わりと正統派の漫才です。僕と琢磨くんは笑いのツボが同じなんですよ。2人でネタ合わせをしているときに、どちらかが何か新しいことをやるとお互いに笑い泣きするくらい面白くなっちゃって、もうたいへんでした。
──役作りにおいて、参考にした芸人の方はいますか?
いないですね。でも昨年のM-1 は見ました。最終決戦に進出した3組(令和ロマン、ヤーレンズ、さや香)は全部面白かったです。個人的には、さや香さんの「見せ算」のネタがツボだったんですけど、投票で1票も入っていなかった(笑)。漫才だけでなく、コントを見るのも好きです。「こういう設定で来たか!」とか、テレビに向かって1人でツッコんでいます。
──ドラマの中で、真夜は藤岡弘、さんのものまねネタも披露しました。
あれは以前、YouTubeで僕がやったものまねネタなんです。それをスタッフさんが見ていて、ドラマの中に盛り込んでくれました。「本当にやって大丈夫ですか? 藤岡さんに怒られないですよね?」と、スタッフさんにもちろん確認しました。実は他にもものまねのネタはあるんですが、絶対に言いません。スタッフさんがまたどこかで聞きつけて、無茶ぶりされたらたまらないので(笑)。
『カミシモ2』で共演した俳優陣のそれぞれの印象は?
──『カミシモ2』には、ラストワルツ以外にも個性的なコンビが数多く出演していました。過去に共演経験がある俳優もたくさんいますが、それぞれの印象を聞かせてください。まずは荒牧慶彦さん(エクソダス・時浦可偉<ときうら かい>役)。
『テニミュ』(ミュージカル『テニスの王子様』)のときから一緒なので、かれこれもう10年以上の付き合いですが、僕にとって弟みたいな存在です。今でも定期的にお仕事をしていて、現場で会うとうれしくなりますね。
──同じくエクソダス・島 世紀(せいき)役の和田雅成さんは?
彼も定期的に(仕事の現場で)会うんですよ。すごくにぎやかな性格で、久しぶりに会うとやっぱりそうで、存在がクセになります(笑)。でも実は真面目であまりNGを出しません。そういうところも頼もしくて、みんなのムードメーカーです。
──溝口琢矢さん(ノノクラゲ・東雲嵩紀<しののめかさのり>役)はどうですか?
ミゾタクは年下ですけど、子役からやっていて芸歴が長いんですよ。だからすごくしっかりしていてお芝居もうまい。まだ若い(29歳)ですけど、すごく頼りにしています。
──その相方・狭間(はざま)くらげ役の大平峻也さんは?
峻也は一見、ほんわかと可愛い感じなんですが、内面はめっちゃくちゃ熱い男です。お芝居に対してもすごくストイックで、年下(30歳)ですが彼から学ぶことも多いです。
──続いて、木津つばささん(ねあんでる・千波未明<せんば みはる>役)はどんな方ですか?
つばさは今いろいろな作品に引っ張りだこなんですけど、共演してみて理由が分かりました。一生懸命だし、器用だし、どんな役をやらせても安心できるんですよ。だから僕も信頼しています。
──中尾暢樹さん(ねあんでる・黒旗 晩<くろはた ばん>役)は?
彼は感覚派というか、不思議な役者さんで大好きです。僕にないものをたくさん持っていて、リハーサルの時はよくNGを出すんですよ。でも本番になると絶対に間違えない。そうした感覚で演じていることは、僕にはない部分なので尊敬しています。
──らふちゅーぶ・鳴宮(なりみや)良役の崎山つばささんはいかがですか?
つばさはすごくしっかりしているんですけど、ほわっとした部分もあって、そのギャップが魅力ですね。誰からも好かれていますし、僕もまた一緒に仕事がしたいといつも思っています。
──鳥越裕貴さん(らふちゅーぶ・蛇谷明日馬<へびやあすま>役)とはお付き合いが長いですよね?
長いですね。(下積み時代に出ていた)小劇場の頃から一緒で、当時はよく飲みにも行っていました。最近になって、またちょくちょく共演するようになったんですが、久しぶりに会うと、お互い変わってなくてうれしい気持ちになります。他愛もない話しかしないんですが、昔から波長が合うんですよね。
──アマゲン・現多英一(げんだ えいいち)役の陳内 将さんは?
彼ともわりと付き合いが長くて、このメンバーの中で唯一の同い年です。彼も感覚でお芝居をするタイプなんですが、すごくしっかりしています。同じ舞台に出演したとき、毎日違うアプローチをしてきて、引き出しの多さに驚かされました。
──梅津瑞樹さん(アマゲン・天野 守役)はどんな印象ですか?
梅ちゃんはこれまでガッツリ共演できていないので、僕の中ではまだ謎ですね。去年の『刀剣乱舞』の舞台でご一緒して、たぶんその前にもどこかの現場で会っているはずなんですけど、それが思い出せない。それも含めて謎なんです(笑)。印象としては、すごく頭のいい子だと思います。
──残り1組です。ロングリード・湾野 岳(わんの がく)役の橋本祥平さんは?
祥平は俳優としてだけなく、今や声優としても引っ張りだこなんですが、彼も共演してみて、その理由が分かりました。何に対しても一生懸命で、そういう面でも(木津)つばさとどこか似ているなと感じています。
──最後に、田中涼星さん(ロングリード・犬飼 佑<いぬかい たすく>役)はどうですか?
彼はすごいですよ、身長が2ⅿくらいありますから(笑)。それは冗談ですけど、本当に大きくて、めちゃくちゃ面白いヤツです。愛嬌があって、先輩からも後輩からも好かれています。一緒にいて楽しくて、僕自身も大好きな後輩の1人です。