元恋人の名前は“三好美和子”、「惰性で長生きしたくない」
佐伯の話から自叙伝に登場した“美恵子”は三好美和子だということが分かる。清家が師事していた武智議員(小木茂光)の元政策担当秘書・藤田(国広富之)はマスコミ関係の人間と会うことを拒んでいたが、道上が粘って話を聞くことができた。
藤田は清家のことを「心の内を探らせない」「心が無い」と評し、美和子(田辺桃子)と会った時のことも道上に話す。その時も美和子は、ジャニス・ジョプリンやジミ・ヘンドリクスが27歳で亡くなったことを話し、「惰性で長生きしたくない。生きた証を残せたならパッと散りたい。だから、私が27歳までに一郎くんを立派な政治家にしてみせます」と、その年齢へのこだわりとも言える考えを力説していたという。
藤田「ハヌッセンは今も近くにいる」
藤田は、鈴木に忠告して、清家と美和子を別れさせたと話すが、道上は実は別れておらず、裏から清家を操っているんじゃないかと推測。藤田の話によると、武智は引退する予定で清家に地盤を譲る準備をしていた。何もせずとも次の選挙で、29歳で初当選していただろう、と。それならば、危険を冒してまで鈴木は武智を事故と見せかけることはしないはず。しかし、「27歳」にこだわる美和子は違う。
当時、武智議員に愛人がいて、不倫関係にあった。その相手が誰なのかを藤田は知らなかったが、美和子だったのではないかと推測できる。武智議員が交通事故で亡くなり、清家が27歳で議員になった時、新人議員にはベテランの秘書が必要だと思われるが、藤田は鈴木を通して秘書になることを断られたと明かした。
藤田は、道上が調べたことも聞かされた上で、まだ美和子がかかわっていると悟ったのだろう。「ハヌッセンは今も近くにいる。寝首をかかれないように気を付けて」と、道上に忠告した。
美和子が書いたシナリオのタイトルは「最後に笑うマトリョーシカ」
佐伯から連絡があり、美和子が関東テレビのシナリオコンクールに、清家をモデルにした政治がテーマのシナリオを応募していたことが分かった。そのタイトルは「最後に笑うマトリョーシカ」。
「血の裏付けと人を引きつける力のある人間が、中身が空っぽのまま存在してるなんて奇跡ですよね。しかもその人が100%私に依存してくれている。完全に自分色に染められるんです。こんな良いもの、絶対渡しませんよ」。
これは鈴木が、美和子と清家を別れさせようとした時に聞いた、美和子の言葉。清家をマトリョーシカにたとえて、自分が思うように操り、自分色に染める。鈴木もその時にシナリオのタイトルが「最後に笑うマトリョーシカ」だと聞かされていた。ここで「笑うマトリョーシカ」というドラマタイトルが回収されることに。
道上が鈴木の病室を訪ね、「私と利用してください」と言って、シナリオを入手するために関東テレビに連絡を入れてほしいとお願いした。その場では鈴木は断ったが、その後、鈴木がテレビ局に連絡を入れ、道上はシナリオを手に入れることができた。
そのシナリオに書かれていたのは“三好美和子”ではなく“真中亜里沙”という名前だった。ラストシーンで、謎の女(高岡早紀)が登場したが、彼女が“美和子”、あるいは“亜里沙”なのだろうか。清家を操る人物に近づいた感じはあるが、まだまだ謎に包まれた部分が多い。
◆文=ザテレビジョンドラマ部
※兼高の高は正しくは「はしご高」