働く者たちの正直な気持ちにスポットを当てる
ひとつ前のエピソード、第7話「君に会えてよかった」では縁の下の力持ち的な職業である事務官たちの悲喜こもごもが描かれる。検事にこき使われて愚痴を漏らす末次(小日向文世)や遠藤(八嶋智人)らの前に、新しい事務官・正木(金田昭夫)が転勤してくる。
しかし、正木は、「一生こき使われるなんて」と事務官に見切りをつけ、クレープ屋を開く計画を持っていた。芝山(阿部寛)や江上(勝村政信)から、厳しい仕事を申しつけられる末次や遠藤は、正木の話に共鳴。雨宮(松たか子)は、副検事の任用試験を受けたいと願うが、事務官経験十年以上が受験資格。牛丸(角野卓造)になんとか試験を受けられるよう頼み込む。
久利生は、電車内での痴漢事件を調べていた。被疑者は、大手貿易会社の専務の綿貫(寺田農)。弁護士に教わったとおり、綿貫は容疑を否認。専務の運転手、秘書らも口裏を合わせていたが、久利生は地道な捜査で専務を追い詰めていく。
どんな職に就いていたとしても、ストレスが溜まり嫌気が差すときがある。サポートする側の仕事にも、される側にも言い分があり、働く人それぞれの気持ちがあるという細やかな視点が描かれているのが「HERO」の良さ。久利生が専務の痴漢容疑を問い詰めていった際に、運転手や秘書といった“縁の下の力持ち”である者たちの正直な気持ちが爆発するところが第7話の見どころである。
ポニーキャニオン