「患者は生身の人間だからな」
藤吉は、権威主義に支配された明真大学病院では珍しく、患者を第一に考える医師。それだけに、すぐ手術で解決しようとする外科医たちや、教授の野口賢雄(岸部一徳)を中心にした権威主義的な外科医局にも反感を抱いており、龍太郎に対しても初めは「お前ら外科医はメスを入れることだけが治療だと思ってる。患者を生身の人間だと思っていない」と非難。一方の龍太郎も「生身の人間だということを忘れて初めて、外科医は人を切れる」と答えるものだから、2人の溝は深まるばかりだ。
だが、龍太郎がその乱暴な言葉とは裏腹に、真心では患者の命を救うことを何よりも優先する医師だと気づいた藤吉は、次第に態度を変えていく。そんな藤吉が、3話ラストで龍太郎に掛けた言葉が印象的だった。
「バチスタは難しい手術だ。外科医だけに任せるわけにはいかない。それに、術後の治療計画を立てるプロがチームには必要なんじゃないのか。患者は生身の人間だからな」
チーム誕生の物語としても胸を打つ「医龍」
毎話、龍太郎の常識を超えたオペシーンやアツいセリフが満載の「医龍 Team Medical Dragon」シリーズだが、龍太郎を中心としたチームの成り立ちはシーズン1ならではの見どころ。ずば抜けた才能を持ちながらも大学病院という閉ざされた社会に居心地の悪さを感じていた彼らが龍太郎と出会い、“患者の命を救う”ことに真っすぐ向き合っていく姿はまるで、勇者が旅をしながら魔法使いや僧侶と出会い、最強パーティを組んでラスボスに向かっていくRPGのようでもある。
続く4話では、心臓外科に加えて救命救急部でも力を発揮し始めた龍太郎。救命救急部の麻酔医・荒瀬門次(阿部サダヲ)に惚れ込み「あいつが欲しい。あいつが、俺のバチスタチームに欲しいんだ」と、最強チーム結成に不可欠な次なるターゲットに的を絞っていく。
「医龍 Team Medical Dragon」は現在、FOD・TVerで順次、無料公開中。7月はこのほか木村拓哉主演で検察官たちの奮闘を描いた大ヒットドラマ「HERO」(2001年)や松本潤の月9初主演作「夏の恋は虹色に輝く」(2010年)などがラインナップされている。