「唐沢会」初期メンバー・及川光博との関係
「キレイなジャイアン」
及川光博は、“アニキ”と呼んで慕う唐沢寿明を冗談交じりにそう形容する(「行列のできる法律相談所」2018年4月8日日本テレビ系)。2人は大河ドラマ「利家とまつ~加賀百万石物語」(2002年NHK総合ほか)の共演がきっかけで知り合った。だが当時、及川は私生活では“引きこもり”気味。それを心配したのか、唐沢は勝手に住所を調べ、自宅に押しかけて言った。
「ミッチー、温泉行こう!」
半ば強引にそのまま温泉に連れ出したのだ。これをきっかけに及川は心を開き、その後、メンバーが急増していく、いわゆる「唐沢会」の初期メンバーとなっていった。
「夫婦ぐるみで仲良くさせてもらって。僕の外食費はほとんど唐沢さんがもってるんじゃないかって(笑)」(「めざましどようび」2015年2月7日フジテレビ系)
そんな唐沢会は、及川の他、谷原章介、伊藤沙莉、広瀬アリス、宇多田ヒカル、松岡昌宏、窪田正孝、長谷川博己、佐々木蔵之介…、そして妻の山口智子と錚々たるメンバー。まさに俳優界の「アニキ」だ。及川は「男の生き様を教えてくれた」(「Interview File cast」vol.27)と語っている。
エキストラ、スーツアクター…裏方側で学んだこと
唐沢は、子供の頃に観たブルース・リーに憧れて俳優を志すようになった。あるとき、ドラマを観ていると母に「何泣いてるの? テレビじゃないの」と言われた。橋爪功演じる意地悪な男の言動に悔し泣きしていたのだ。だが、母の一言で、作り物なのに心を動かす俳優のスゴさを改めて知って、決意を新たにした。
唐沢は15歳のときに東映東京撮影所に赴き「俳優になりたいんですけど」と守衛に直談判した。しかし、当然のように「中学を卒業してから来なさい」と門前払い。1年後再び、別の守衛に声を掛けると今度は東映アクションクラブを紹介してもらい、当時最年少の団員となった。
刑事ドラマのエキストラや特撮ドラマのスーツアクターを務める日々。ダムや採石場に通い、危険なスタントを伴うアクションを演じた。どちらかといえば裏方側。だから「表に出てる人間のどこに頭にくるかとか、どこに腹が立つってことも知ってるんです」(「SWITCHインタビュー 達人達」2015年12月19日NHK Eテレ)と唐沢は言う。そして「いい経験でしたよ。仲間意識が生まれた。個人プレーはダメっていうのを学んだ」(「日曜日の初耳学」2024年6月23日TBS系)と振り返る。
NHKエンタープライズ