クリント・イーストウッド監督や深作欣二監督らが手掛ける“ジャズ映画”4作品を全国無料放送<秋の夜長のジャズ映画特集>
献身的なファンとの関係性に涙する「ラウンド・ミッドナイト」
9月18日(水)夜8時からは、映画「ラウンド・ミッドナイト」(1986年公開)を放送。1940~1950年代の代表的なジャズプレイヤー・デイル(デクスター・ゴードン)と、彼を神のように崇める若者の交流を描いた作品だ。
舞台は1959年のパリ。ニューヨークからパリのクラブ「ブルーノート」へやって来た初老のサックス奏者・デイルは、仲間たちと演奏を楽しみながら生活していた。ある日、デイルは古くからのファンを名乗るグラフィック・デザイナーのフランシス(フランソワ・クリュゼ)と出会い、意気投合する。そんな中、デイルは自らの酒癖の悪さが露呈し始め、しばしば病院の厄介になることも。そんなデイルを心配したフランシスは彼を献身的に守り、デイル自身もそのおかげで完全復活を果たす。その後、デイルはニューヨークでの活動を再開するため帰国することを決意。しかし帰国したデイルに、思いもよらない“悪魔”が待ち受けていた…。
本作の見どころは、パリの古い街並みやブルーノートを完全に再現した美しいセットと、ジャズを通して紡がれるデイルとフランシスの心温まる関係性だ。フランシスの献身的なサポートによってデイルの気持ちや行動に変化が訪れる様子を、モダン・ジャズの代表的なテナーサックス奏者、デクスター・ゴードンが存在感たっぷりに演じている。
深作欣二監督のこだわりの演出が詰まった「上海バンスキング」
9月19日(木)夜8時からは、映画「上海バンスキング」(1984年公開)を放送。1979年に初演されロングランヒットを記録した同名人気舞台を、「仁義なき戦い」シリーズなどで知られる深作欣二監督により映画化された本作。1930年代後半~1945年にかけての上海を舞台に、時代の波に翻弄される日本人ジャズメンや歌姫の生き様を、歌やダンスを交えながらポップに表現した作品となっている。
1936年夏。ジャズメンである夫・シロー(風間杜夫)と船で上海にやって来たマドンナことまどか(松坂慶子)。2人は、シローの旧友であるバクマツ(宇崎竜童)が働くダンスホールにて、歌姫とバンドの一員として働くようになる。上海での生活を送る中、やがて日中戦争が始まったことで、2人の人生は大きく左右されることに――。
本作の見どころは、国家「君が代」のジャズアレンジなど、ジャズ好きで知られる深作監督ならではのこだわりの演出だ。劇中の音楽はすべて出演者が演奏しており、その臨場感あふれるハーモニーは迫力満点で、聴いていて飽きのこない心地良さを堪能できる。