俳優の森田剛と間宮祥太朗が、10月5日に東京・THEATER MILANO-Zaにて開催されたW主演舞台「Bunkamura Production 2024『台風23号』」の取材会及び公開ゲネプロに登壇。共演の木村多江、藤井隆、伊原六花、駒木根隆介、秋山菜津子、佐藤B作、作・演出・出演もする赤堀雅秋と舞台への意気込みや、お互いの印象などを語った。
赤堀独自の視点で描く市井の人々の物語
同作は、2014年の「殺風景」に始まり、新型コロナウイルス禍の2020年に一旦は上演中止となりながら、2022年に復活を果たした「パラダイス」まで、5つの新作をBunkamuraに書き下ろし・演出・出演してきた赤堀の最新作。戦後最大級の「台風23号」が迫る、海沿いのとある町に生きる市井の人々を赤堀独自の視点で描き出す物語だ。森田はこの町の配達員を、間宮は介護ヘルパーの田辺浩一をそれぞれ演じる。
作・演出を手掛ける赤堀は、初日を迎える心境を「結構長いこと演劇に携わっているんですけど、こんな穏やかな心境で初日を迎えるのは初めてで、逆に不安になっています」とおどけつつ、「それも優秀なスタッフ・キャストの皆さんの尽力のおかげだと感謝しております」と感謝を込めた。
配達員役の衣装姿で登壇した森田は「稽古で皆さんと共に積み上げて来たという気持ちが強いので、それを出せるように。荷物を一生懸命に運びたいなと思います」と意気込み、介護ヘルパー役の衣装で登壇した間宮は「稽古のときから自分の出ていないシーンとかをずっと見ていて、個人的に好きな作品だなと思っていました。もう自分が出ていないシーンであっても客席から見ることはないと思うと少し寂しい気もしますが、それだけ好きだと思える作品に出演できている幸せをかみ締めながら、1公演1公演大事に演じていきたいと思います」と稽古期間が終わってしまう寂しさをにじませつつも、本番への決意を新たにした。
そんな森田と間宮は今作が初共演でW主演を務める。稽古を始める前と今の印象の変化を聞かれると、森田は「会うのをすごく楽しみにしていたんですけど、会ってみて一緒に稽古を重ねてみて、稽古に取り組む姿勢だったり、すぐ出来ちゃう感じとか、この野郎…いいなあって思って見てました(笑)。僕はなかなか役をつかめずにいて、演出してもらっているときに、このままやられてたら泣くんじゃねえかなっていうぐらいのときもあったんですけど、そのときにB作さんを見たらB作さんもそんな顔をしていて…。B作さんに救われました(笑)。(間宮は)すごく男っぽくて、優しくて、センスがあって、一緒に芝居していて楽しいです」と間宮への嫉妬心ものぞかせつつ、称賛の言葉を送った。
間宮、役者・森田は「底知れない魅力がある」
それを受け、間宮は「ありがとうございます。ほとんどのことはうれしかったんですけど、“すぐ出来ちゃう”ってのだけはやめてもらっていいですか。全然自分も悩んでたので…(笑)」と慌てて否定しつつ、「剛さんはご一緒する前にいろんな方から、“本当にしゃべらない人”だって聞いて。最初に赤堀さんとの食事会で話したときに、『全然そんなことないよ』って、いろいろしゃべってくださいましたし、昨日も通し稽古の前に、スタッフの方々と円になってしゃべっていて。そこはお会いする前と一番印象が変わったかもしれません」と、森田の印象の変化を明かす。
さらに「稽古のときに見ていたりすると、最初座っているだけのところから一気にその人の今までの奥行を感じさせる。森田剛さんという方は役者として底知れない魅力があるなと再認識しましたし、一緒に舞台上でお芝居しているときは、毎日稽古で同じシーンをやっても一度も同じことが起こらないというか、そこで交わす言葉のいろんな模様が変わってくるようなところがあって、本当に一緒にやっていて楽しいです。あと、自分はいろいろ趣味の師匠としてプライベートのほうでもお世話になっています」と、森田の役者としての魅力を絶賛しつつ、具体的にどの趣味かまでは明言しなかったものの、プライベートでも仲良くしていることを打ち明けた。
そしてあらためてファンに向けて、森田は「ある町の人々の一生懸命に生きている姿を見て、元気を出してもらって、生きようって思ってもらったらいいなと思います。よろしくお願いします」と呼び掛け、「自分もそうですけど、毎日やっていて違う感情になったりするので、これから見てくださるお客様1人1人の人生、日常生活によって同じシーンを見ても大笑いする人がいたり、涙がこぼれる人がいたりするような作品だと思うので、客席1席に座るお客さん1人1人の中でこの作品が大切なものになればうれしいなと思います。よろしくお願いします」とメッセージを送った。
「Bunkamura Production 2024『台風23号』」は、10月5日~27日(日)まで東京・THEATER MILANO-Za、11月1日(金)~4日(月)には大阪・森ノ宮ピロティホール、11月8日(金)、9日(土)には愛知・穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホールにてそれぞれ上演される。
◆取材・文・撮影=森井夏月
Happinet