コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、カドコミで連載中の、原作:くるむあくむさん、作画:にことがめさんの作品『N』より第10話「J」をピックアップ。
くるむあくむさんが2024年9月19日にX(旧Twitter)で本作を投稿したところ、4,400件を超える「いいね」と共に、多くの反響コメントが寄せられた。本記事では、原作のくるむあくむさんと作画のにことがめさんにインタビューを行い、創作のきっかけや漫画を描く際のこだわりについて語ってもらった。
受験勉強中に見ていた配信に異変…
ある一人の女子高校生は、受験勉強を一緒に頑張れる気がする、として“勉強配信”を見るのが習慣となっていた。その配信は、ただ配信の主が勉強する姿を流すだけのもだったが、受験追い込み期間中は特に見ていた。
彼女がよく見ていた“勉強配信”は、視聴者10人程度のもの。その方が距離も近くコメントも返してくれるとして、ある一人の男子学生の勉強配信を特に気に入って見ていたのだった。
しかしある時を境に、コメント欄に「N」というアカウントから変なコメントつきはじめる。「N」は、「あけてください」「すきたをあけてください」「すきまをあけてください」など、不可解なコメントを連投。最初は他の視聴者同士でそのコメントに反撃していたが、配信の主である男子学生の様子が明らかに焦っており、配信もすぐにやめてしまうのだった。
翌日以降も普段通り配信されるが、何かがおかしいと感じる主人公。相変わらずコメント欄には「N」から「すきまをあけて」というメッセージ。さらにその翌日には配信者である男子学生の部屋が真っ暗で、必死で窓の隙間を黒いガムテープで埋め尽くしている姿が配信で流れる。何かはわからないが、この場所に何かが向かってきているんだ、すきまから入り込もうとしているんだ、と恐怖を覚えた主人公は、その日以来配信を見るのをやめてしまう。
1ヶ月後、久しぶりに開いたその男子学生のチャンネルには1本の動画が上がっていた。窓の隙間を埋めるようにガムテープが貼られた真っ暗な部屋が映っているだけの動画には、最後に一言男子学生の擦り切れそうな声が入っていたのだった…。
作品を読んだ読者からは、「意味のわからん怖さと気持ち悪さ」「ほんとにこわくておもしろかった」など、反響の声が多く寄せられている。
原作:くるむあくむさん、作画:にことがめさん「限りなく読者に一番近い場所で巻き起こりそうな事を…」
――『N』は、どのようにして生まれた作品ですか?きっかけや理由などをお教えください。
くるむあくむ:2年前のこの時期に担当様からお話があり、今まではXのみの活動だったので過去に出版や漫画原作の経験もなく不安もあったのですが、チャレンジしてみようというところから始まりました。
またどういった作品にするのか、担当様とかなり悩みながらも生活と隣り合わせにある恐怖、言語化しにくい不気味さ、という限りなく読者に一番近い場所で巻き起こりそうな事をテーマに『N』は始まりました。
にことがめ:くるむあくむさん原作で完全オリジナルのホラー漫画を企画しているので作画をお願いしたいという旨を、XのDMにて直接立ち上げ担当編集の方からお声がけいただきました。
――今作を描くうえで、特に心がけているところ、大切にしていることなどをお教えください。
くるむあくむ:漫画ってあくまでも非現実的って言ったらあれですが……あくまでも読者はどう転んでも安全圏で楽しんでるじゃないですか。
『N』はそうはさせないぞって気持ちで制作しています。
いつ自分が指を指されてもおかしくないようなヒヤッとする場面を今後もっともっと散りばめていけたらいいなと思っています。
にことがめ:くるむあくむさんからいただくプロットに対して変にかしこまらず、自由にネームに落とし込んで、のびのびとした画面を意識しています。
Web連載でページ数にも捉われませんので、毎話それぞれお話の雰囲気やテンポを大事にできるところも魅力であると思います。
普段自分たち(にことがめ)だけで制作する際はどこか強張ってしまうところがあるので、原稿に落とし込む際には第1話から最新話まで、必ず毎回何かしら演出での挑戦をしています。
――今回の作品のなかで、特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。
くるむあくむ:1話の家族の顔面どアップのシーンが大好きですね。
にことがめさんの味が存分に出ていて、初めて原稿を確認させて頂いた時は本当に怖くて鳥肌モンでした。
余談なんですが、元々にことがめさんはホラーを専門に描いてらっしゃるわけではないのでそれ含めての驚きもありました。
初めての作品がにことがめさん作画で本当によかったと思わせられたシーンでもありました。
にことがめ:第6話「F」11pと第7話「G」20pです。
主人公「母」の、回を跨いで地続きにある、悲壮と現実と混乱を同じ絵で落とし込めたのが気に入っております。
画面自体はシンプルな構成も、くるむあくむさんの、静かであるのにそれでいて量感のしっかりあるこだわりを、話し合いの中で感じて出来上がりました。
――Xの投稿には「うわ~今回も怖い...」「一気読みした」など多くの反響がありました。
このような反響をどう感じておられますか?
くるむあくむ:素直にとても嬉しいです。
制作の励みにもなりますし、何より人生初の漫画原作なので届いてるんだなっていうのが改めて実感できるので、もっと皆さんやってください。
にことがめ:これからも『N』をよろしくお願いします。笑
――くるむあくむさん、にことがめさんそれぞれのご自身や作品について、今後の展望・目標をお教えください。
くるむあくむ:今回の『N』がきっかけで、様々なホラー作家様と交流することができたり、出版社様からのお声掛けが増えたりと、本当に有難いことの連続でございます。
現在も水面下で色々な準備をしていますのでお楽しみに。
にことがめ:これからも、くるむあくむさんからいただくプロットを、より突き詰めたホラー表現で画面に落とし込んでいけたらと思います。
――最後に、作品を楽しみにしている読者やファンの方へ、メッセージをお願いします。
くるむあくむ:皆様が最悪な気持ちになれますように。
にことがめ:今後の展開も是非お見逃しなく、お楽しみください!
『N』を読む
■原作:くるむあくむX(旧Twitter):くるむあくむ[@kurumuakumu]
■作画:にことがめX(旧Twitter):にことがめ[@nctgm]
▼カドコミで連載中の『N』を読む▼
『N』