“刑事の墓場”と呼ばれる部署でも、わちゃわちゃなオクラメンバーはある種の理想
――“刑事の墓場”と呼ばれる部署なのに、オクラメンバーがすごく楽しそうに会話しているのが印象的ですが、どんな意図がありますか。
武藤:まずは僕自身、ドラマは「こんな世界があったらいいな」と思う世界観を作っていきたいというか、「この世界にいたいな」と、ある種の共感を持ってもらえるような世界を描くのがすごく好きということがあります。
僕が友だちから聞く職場の話というのは、今の若い世代とどうやってコミュニケーションを取ったらいいかわからないっていうグチから始まるんです。やっぱりコミュニケーション不足じゃないけど、お互いがお互いを宇宙人みたいに思っていたり、個人が強くなってきていたりするんだと感じていました。
そんななか、世代とか性格は違うけど“とにかく話す”というか。今の時代に逆行しているけど、わちゃわちゃしている職場なら、「仕事はやりたくないけど、この人たちと会いたい」「一緒に仕事しているこの空間は好き」という気持ちになれるのではないかと思い、その世界観をオクラに創ろうと思いました。
ある種の理想ではあるんですが、物語の世界が事件に凄惨さがあったり、やりきれない結末だったりするので、オクラメンバーの楽しそうなコミュニケーションで緩急をつけたいという狙いもあります。
第3話以降は反町隆史“千寿”と杉野遥亮“利己”の過去に注目
――本作を執筆するにあたり、1番大切にしていることはなんでしょうか。
武藤:“ねつ造”はある種のタブーというか、警察官としてあるまじき行為なので、それが“正義だ”というのはやりたくないということですかね。
証拠捏ねつ造は、千寿自体も正しいとは思っていない。でも、法の下に引きずりだして報われる人がいるという思いはある。じゃ、なぜそれをやるのか。第3話以降の話になってきますけど、自分自身もいつか自分のやってきたことと向き合わなきゃいけない千寿に着目してほしいです。
――第3話以降の物語の展開やキャラクターで、注目してほしいところを教えてください。
武藤:ありすぎます(笑)。今、先を書いてて、どこをどういっていいか…。これは足立さんがいったほうがいいと思う。
足立:第3話以降は千寿と利己の過去ですよね、武藤さん。千寿はなぜ何の目的で、やっているのか。利己はなぜ千寿に歩み寄ったのか。千寿と利己は本当のバディーになれているのか。過去が明らかになっていくと同時にわかっていくので、そこに注目して見てほしいです。その後に、1展開も2展開も3展開もあります。
武藤:そうなんです、物語はこれからです。ぜひついてきてください!
※「三浦リョウ太」の「リョウ」の漢字は「僚」の「にんべん」を「けものへん」で表記
◆取材・文=綱島深雪