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【SPインタビュー】荒井敦史の“格さん”はまるで子犬!? 「水戸黄門」出演の秘話を明かす

2017/10/11 19:41

印籠の出しかたにも自分たちなりのこだわりがあるのだとか
印籠の出しかたにも自分たちなりのこだわりがあるのだとか (c)BS-TBS/C.A.L

 1969年のドラマ放送開始から、元水戸藩主・水戸光圀が世の不条理から市井の人々を救い、その世直し旅が多くの人々に愛されてきたドラマ「水戸黄門」。惜しまれつつも2015年の特別ドラマを最後に、ひとまずその歴史に幕を下ろした「水戸黄門」だったが、10月4日より新たなキャストを迎え、BS-TBSで放送を開始した。新たな「水戸黄門」で水戸光圀に仕える水戸藩士・渥美格之進役を演じる荒井敦史に、シリーズに名を連ねることへのプレッシャーや撮影秘話、そして今作の見どころを聞いた。

──約40年にわたり歴史を紡いできたドラマ「水戸黄門」ですが、荒井さんは今回、渥美格之進役(格さん)としてシリーズに参加することになりました。格さん役が決まった時の、率直な感想を教えていただけますか?

 渥美格之進役が決まった時は今までにないくらいうれしかったです! でも、そもそも格さん役って相棒の佐々木助三郎(助さん)と一緒に、演じる役者をオーディションで決めていたんです。だからまず、歴史ある「水戸黄門」なのに、助さん格さんのオーディションがあること自体にびっくりしてしまって、最初はその意外さに思わず笑っちゃいました。それから渥美格之進役を頂くことになって、うれしさと同時に受かった驚きだったり。うれしいという気持ちに浸る間もなく、「水戸黄門」という作品に関わるプレッシャーへの不安や楽しさ、期待というのがいろいろあって、不思議な感覚に陥りましたね。

──渥美格之進役というと、歴代のシリーズでは大和田伸也さんや伊吹吾郎さん、的場浩司さんなど、名優の皆さんが今までに演じてこられています。「水戸黄門」に参加するプレッシャーを感じていたとのことですが、以前の作品から受け継いでいるものや、新しい“渥美格之進”を見せるために工夫された点はありますか?

 ドラマの「水戸黄門」は僕も小さい頃から作品を拝見していましたが、今回改めて第1部から2015年のスペシャルまで、全話すべてとまではいかなかったですけど、振り返らせていただきました。でもその中で思ったことは、それぞれのシリーズにそれぞれ格さんのイメージがあって、歴代がいるというのは、それだけでどうしても比べられてしまう、ということ。今回の助さん格さんのキャスティングは年齢が若いと言っても、第1部で助三郎役を演じた杉良太郎さんも当時24歳だったんです。昔の24歳と今の24歳では環境が大きく違うとは思いますが、どうやったら歴代の助さん格さんと別の土俵で戦えるのかっていうのは、すごく考えましたね。

──“別の土俵で戦う”、というのは?

 はい、助さん格さんのオーディションを開いた制作サイドの意図や、佐々木助三郎役の財木琢磨くんと僕が選ばれた意味みたいなところも考えて…出来ていないと言われても歴代の格さんに寄せることはできるので、そうすべきなのかとも思いました。ただそうやって大和田さんや伊吹さんたちの真似をしてみても、自分が視聴者だったら、それ以上の興味はそそられないのではないかと思ったんですよね。じゃあ僕らが演じても伊吹さんたちの真似ができないみたいに、伊吹さんたちが僕らの真似をしても絶対できないところってどこだろうって考え始めて、そしたら24歳という等身大のままでやるっていうのが、一番新しいんじゃないかなってたどり着いたんです。

──確かに。今回の「水戸黄門」を拝見させていただいた時、歴代のシリーズに比べて黄門さまと助さん、格さんの関係性が柔和になったと感じました。

 やっぱり時代劇というと、登場人物の声が低くて所作も決まっていて、空気の重みを感じるのが、どの作品においても中心となるイメージだと思うんです。けれど、水戸光圀を演じられる武田鉄矢さんがよくおっしゃりますが、武田さん、僕、財木くん、風車の弥七を演じる津田寛治さんは、ドラマ「水戸黄門」にとっては新人なんです。その中でも武田さんは昔、ドラマのゲストで作品に出演されていましたが、作品に関わる音声さんやカメラマンさん、仕出しを担ってくださるエキストラの方々、殺陣のあるシーンで演じてくださる先生方の全員を含めても、僕ら4人しか新人がいない。だからこそ僕らが新しい要素を持ち込まないと、“新しい「水戸黄門」”とせっかく言っているのに、何が新しいのか、誰も気付けないんじゃないかな、と考えたんです。

 それで4人でいろいろ試してみた結果、助さん格さんという子犬がぎゃんぎゃんぎゃんぎゃんケンカをして、そこを黄門さまというおじいちゃんに止められるっていう構図を作ろうって話になりました。要するにおじいちゃんと孫っていう関係性ですよね(笑)。助さんは子どもで、格さんは大人ぶっている子ども。それっておそらく歴代の作品の中では絶対にない部分で、でもちゃんと格さんの硬派な部分や助さんの女好きな部分など、残すところはしっかり残してやっています。ちょっと子ども要素を入れたことで、確かに性格の軽い助さん格さんとは言われるんですけど、僕よりももっと若い世代の皆さんには、時代劇に入り込みやすい作りにはなっていると思います。

──第1話は10月4日にすでに放送されましたが、荒井さんのもとに反響というのは届いていらっしゃいますか?

 実は僕の中で「水戸黄門」に出るっていうことが、これまでどこか他人事のような感覚だったんですよね。「『水戸黄門』に出るなんてすごいところに出るんだな」みたいな、その程度の感覚だったんです。でも第1話の放送が終わってから、身内のおじいちゃんやおばあちゃん、そのまた兄弟のみんなが、僕の母親に電話をくれたみたいで。他にも幼なじみや、そのお母さん、そのまた友達の方からも、なぜか僕ではなく母親宛にたくさん電話が来たらしくて(笑)。「誰誰さんから連絡来て頑張ってくださいって言われましたよ」という内容のラインが、目を覚ますと母親から毎日20件ぐらい入っていて、いつからこんなにマメに連絡をくれるようになったんだろうって思ったぐらいです(笑)。

──1話の放送だけで、そんなにたくさんの反響があったんですね。

 本当に、身内だけでなく自分に近しい人たちが喜んでくれたっていうのは、やっぱりうれしかったですね。反響をたくさんいただいて、一番ジーンと胸に響いた部分です。それと、母方のおばあちゃんが少し前に亡くなったんですけど、そのお姉さんや妹さんたちが、「おばあちゃんの分まで見届けるからね」って連絡をくださったんです。その時に、見せてあげたかったなぁとも感じましたし、「水戸黄門」に出演するだけで、こんなにみんなが喜んでくれるんだというのを実感して改めて、すごい作品に自分は関わらせていただいているんだ、と思いました。

──歴史ある「水戸黄門」に参加する、というだけでなく、時代劇ならではの殺陣や所作など、シーン一つにおいても厳しい環境下での撮影だったかと思います。今回の撮影を通じて、一番つらかった出来事は何でしょうか?

 昔の話になりますが、以前のいわゆるスターロードって京都・東映撮影所の映画に新人で入って、その積み重ねで名前が広まっていく部分があったと思うんです。それが今は、僕たちがオーディションで渥美格之進役に決まったみたいに、役者への入り方や売れ方にたくさんの道がある。もちろん僕も、まだそんなに名前が売れている訳ではありませんし、時代劇に関しては何も知らない部分がたくさんあります。それでも一応、約8年間この業界にいさせていただいているという自負があったので、今までの経験や培ってきたものを生かしきれないことも多く、これまで使ってくださったスタッフの皆さんや、今回の「水戸黄門」に関わってくださった方々に対して申し訳ない気持ちになりましたね。

 それでも、マイナスとプラスの両方の面で身になったこともあります。特に経験して良かったと思うのは、“何でも良いので、教えてください”というスタンスでいられたこと。申し訳なさや不甲斐なさは、ちゃんと感じていたんですけど、マイナスな部分も前向きに考えられたというのは、自分にとっては大きかったですね。初心に帰る…ではないですけど、ある意味がむしゃらさを思い出したというか、今まで、一段階進みました。二段階目進みました。という風に、形に残るようなことをしてきた訳ではないからこそ、ここで思いっきりもう一度、キュッと身を引き締めるというスタンスになれたというのは、プラスになったと思います。

──最後に、本作の見どころを教えてください。

 第1話は10月4日に放送されているので、ご覧になった方はいろいろな感想をお持ちの方がたくさんいらっしゃると思うんですけど、これはこれで“新しい「水戸黄門」”として、楽しんでいただきたいですね。それから歴代のシリーズ作をご覧いただくと、これまで明かされていない部分も多いです。例えば、水戸光圀の印籠を何で格さんが持っているのか。この謎は今回の「水戸黄門」第1話で描かれているんですけど、初めて印籠を出した時の格さんの様子や、それを見て笑うご隠居(水戸光圀)、何も分かっていないけど笑う助さんがいて、という3人の関係性も作られているんです。

そして助さん格さんにはテーマがあるんですけど、今回は“成長”という部分。印籠の出し方にしても、第2話、第3話と進むうちに、2回目になる格の言葉だったり、全体を通して言うと殺陣だったり、少しずつ成長していく様子が見られると思います。物語としても、子犬みたいにぎゃんぎゃんわめいている助さん格さんですけど、人間的な厚みと言いますか、訪れた先でたくさんの人々に出会うことによって成長する部分が多いと思いますし、そんな風に描かれているとも思います。“新しい「水戸黄門」”を伝えていけたら良いなと思いながら、僕らは撮影に臨みましたので、これも「水戸黄門」と認めてもらえるよう、全10話の旅を最後までしっかり見届けていただけたら嬉しいです。

この記事はWEBザテレビジョン編集部が制作しています。

「水戸黄門」
2017年10月4日(水)よりBS-TBSにて放送中
出演:武田鉄矢、財木琢磨、荒井敦史、津田寛治、袴田吉彦、長谷川純
語り:生島ヒロシ
監督:矢田清巳 ほか
制作:C.A.L
(C)BS-TBS/C.A.L
公式サイト:http://www.bs-tbs.co.jp/mitokomon/index.html
公式Facebook:https://www.facebook.com/MITOKOMON.TV/
公式Instagram:https://www.instagram.com/mitokomon.tv/
荒井敦史
1993年5月23日埼玉県出身。2009年俳優デビュー。主な出演作にドラマ『忠臣蔵~その男大石内蔵助』、『濃姫』、『GTO』、ドラマ・映画『笑う招き猫』、映画『リアル鬼ごっこ4』、『悪の経典』、『ズタボロ』、『脳漿炸裂ガール』、映画・舞台『真田十勇士』、つかこうへい七回忌公演『新・幕末純情伝』、『里見八犬伝』など。2017年秋には主演映画『神さまの轍』、2018年には出演映画『ちょっとまて野球部!』の公開が決定しているなど、今後も多くの出演作が控えている。

公式サイト:http://www.watanabepro.co.jp/mypage/10000037/
公式Twitter:https://twitter.com/atsushi_we_arai
公式ブログ:https://ameblo.jp/atsushi-arai-we/
公式Instagram:https://www.instagram.com/atsushi_arai_/

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