【映画「ミックス。」連載】脚本・古沢良太「スターが演じるに値する人物を描くことが僕の務め」
卓球の男女混合(ミックス)ダブルスを題材に、欠点だらけの不器用な登場人物たちが成長していく姿を描く映画「ミックス。」が、ついに本日・10月21日公開!! キャスト&スタッフによるリレー・インタビュー連載の第8回は、いよいよ脚本を務める古沢良太が登場。「リーガルハイ」シリーズ(2012年ほかフジ系)や「デート~恋とはどんなものかしら~」(2015年フジ系)など、ヒットドラマも数多く手掛ける当代随一の人気脚本家が、新作映画に込めた思いを語ります!
映画が現実に追い越された気がして、複雑な気分なんです(笑)
――映画「ミックス。」は、今話題の卓球のミックスダブルスを題材にしたロマンティックコメディーです。卓球の世界を舞台にするという構想は、どのくらい前からあったのでしょうか?
卓球を題材にしたものを作りたい、というのはけっこう前からあって。スポーツを映像で描く場合、卓球って実は向いてるんじゃないかっていうことはずっと思ってたんですよね。役者さんも、そこまで肉体を作り上げる必要もないだろうし、試合も屋内だし、映像にしやすいはずだって。
で、今回の映画の話をいただいたのが…ちょうど「デート」を書いていたころだったのかな…自分の中で、“ラブコメ書きたい熱”がすごく高まってきていた時期で。そのときに、卓球の男女混合ダブルスというのが、題材としてうまくハマるんじゃないかとひらめいたんです。男女2人がペアになって、横に並んで相手に立ち向かう感じが、ラブストーリーの画としても成立するんじゃないかと。
その後、世界選手権でメダルを獲ったり(※「2017世界卓球選手権ドイツ大会」で、石川佳純&吉村真晴ペアが48年ぶりとなる金メダルを獲得した)、東京オリンピックの種目になったり(※2020年に開催される東京オリンピックの追加種目として卓球男女混合ダブルスが正式に採用された)、そんな風にミックスダブルスが注目されるようになるなんて想像すらしていなかったので、うれしいような、ありがたいような…映画が現実に追い越された気がして、ちょっとくやしいような(笑)、今はなんだか複雑な気分なんですけれども。
――(笑)。多満子(新垣結衣)と萩原(瑛太)という主人公のキャラクター造形は、それぞれ新垣さん、瑛太さんが演じるという前提で作り込んでいったのでしょうか。
僕の場合は、当て書きはほとんどやらないんです。役者さんを想定してキャラを作っていくっていうことはあんまりなくて、いつも自分一人で勝手に考えてキャラクターを作っていくっていう感じですね。ただ今回は、新垣さんが割と早い段階で名前が挙がっていたので、自然と多満子だけは新垣さんのイメージで書いていたような気がします。
――具体的には、主人公たちのキャラクター作りはどのように?
多満子は、恋にも仕事にも挫折して、そこから自分の原点みたいなところに立ち返って、新しい一歩を踏み出していくというヒロインなので、あえて“成功していない人”という描き方をしました。卓球の選手に限らず、今世界で活躍しているアスリートはたくさんいるけど、彼らの裏には、努力が実らずに挫折してしまった人たちが何百人、何千人といるわけで、そういう人たちの代表みたいなキャラクターにしたいなと。萩原の方は、卓球に関しては全くの素人なんだけど運動能力は高い、という人物にしようと思って、落ちぶれたボクサーという設定にしました。
――瑛太さんは古沢作品初出演ですね。
瑛太さんって本来、陰の部分というか、ある種の狂気のようなものを持っている俳優さんだと思うんですよ。で、その陰の部分を湛えたまま、こういう明るい王道のロマンティックコメディーに出てくれたっていうことが、この作品にとってすごくプラスになったんじゃないかと僕は思っていて。
――新垣結衣さんは、「リーガルハイ」などで、既によくご存知かと思いますが、今回はいかがでしたか。
新垣さんは、「リーガルハイ」のころからどんどん変わってきているような気がします。何よりも今は、主演女優としてのオーラがものすごいことになっていますよね(笑)。
映画「ミックス。」
公開中
脚本=古沢良太/監督=石川淳一/出演=新垣結衣、瑛太、広末涼子、瀬戸康史、永野芽郁、佐野勇斗、森崎博之、蒼井優、真木よう子、吉田鋼太郎、生瀬勝久、田中美佐子、遠藤憲一、小日向文世ほか
◆映画「ミックス。」新垣結衣ほか、出演キャストインタビュー掲載中↓↓◆