【テレビの開拓者たち / 坂本浩一】注目のアクション監督は“アクションとドラマの共存”が信条
「モブサイコ100」では濱田龍臣くんの違った一面を引き出せたら
──坂本監督は、「ウルトラマン」「仮面ライダー」「スーパー戦隊」という日本が誇る特撮シリーズを全て手掛ける稀有な存在だと思うのですが、それぞれ撮り方の違いなどはあるのでしょうか。
「もちろん自分の中には明確に違いがあるんですが、『ウルトラマンはこうじゃなくちゃいけない』というような決め事は一切なくて。それよりも、『どうすればそのヒーローがかっこよく見えるのか』、そこが一番重要だと思っています。例えばウルトラマンなら、神々しい存在感、巨大感。あとは光線技を放てるというのも大きな特長ですよね。そういった、それぞれの特長をかっこよく見せるための差別化はしています」
――ウルトラマンと言えば、メイン監督を務めている「ウルトラマンジード」がいよいよクライマックスを迎えます。
「『ジード』の発端になった、ウルトラマンベリアルと、ライバルのウルトラマンゼロというキャラクターは、僕が最初に撮った『ウルトラ銀河伝説』から生まれたキャラなので、僕にとってはすごく思い入れのある作品で。ベリアルの息子が主人公という話に、すごく運命的なものを感じているんです。それと、撮り方については、今まで僕が撮ってきたウルトラマンシリーズとは敢えて少し作風を変えて撮っていて。いろんな意味で、かなり思い入れの強いウルトラマンになりましたね。
さらに言えば、乙一さんがシリーズ構成に参加されたことで、従来の特撮作品にミステリー要素やSF要素が加わってユニークな世界観が確立されたと思うんです。最終回に向けてどんでん返しもあり、さらに盛り上がっていきますし、テンションを落とさずに突っ走っていくので、最後まで主人公のリク(濱田龍臣)の、そして彼が変身するジードの成長を見守っていただければ」
──そして来年からは、深夜ドラマ「モブサイコ100」で監督を務められます。坂本監督がアクションがメインではない作品を手掛けるということで、早くも注目が集まっていますね。
「元々、原作の漫画が好きなので、その原作の世界観を保ちつつ、どう実写ドラマとして落とし込んでいくかが勝負どころですね。格闘アクションというジャンルではありませんが、超能力バトルのシーンやコメディーの要素もあるので、そういう意味では、いろいろなことが試せそうですし、僕自身が楽しもうと思っています。
『ジード』に続いて龍臣くんが主演で、本当に今年1年ずっと彼と一緒なんですよね(笑)。ただ、主人公のモブは『ジード』のリクとは全く違うキャラなので、彼の違った一面を引き出せていけたらと思います」
──今後は、「モブサイコ100」のような連続ドラマもやっていきたいというお気持ちがあるんでしょうか?
「もちろん。壁ドンが出てくるような恋愛ものでも大丈夫ですよ(笑)。僕はアクションが得意というだけで、アクション以外は撮りたくないというわけではないんです。全くアクションのない作品でも、オファーをいただければどんどん挑戦してみたいですね。
そういえば、僕は日本で活動を始めて8年経つんですが、まだ時代劇を撮ったことがないんですよ。子供のころ、千葉真一さんや真田広之さんが出ていたアクション時代劇が大好きだったので、そういう作品もいつか撮ってみたいです」