
俳優の堤真一が、10月22日に都内で開催された映画「旅と日々」プレミア舞台あいさつに、主演のシム・ウンギョン、共演の河合優実、高田万作、メガホンをとった三宅唱監督と共に登壇。オファーを受けたときの率直な思いなどを語った。
堤、東北弁の役に「何で僕にオファーがきたんかなって」
同映画は、「ケイコ 目を澄ませて」(2022年)や「夜明けのすべて」(2024年)など、作品を発表するごとに国内の賞を席巻し、これまでベルリン国際映画祭に3作が出品されるなど、日本映画界をリードする三宅監督の最新作。つげ義春の原作「海辺の叙景」「ほんやら洞のべんさん」を現代的にアップデートしたロードムービーで、行き詰まった脚本家・李(ウンギョン)が旅先でものぐさな宿の主人・べん造(堤)と出会い、人生に向き合う。
三宅監督の作品は「そんなにたくさん見ていたわけではない」という堤だが、今作のオファーを受けたときに「脚本を読んで、山形の庄内弁を喋るんですけど、何で僕にオファーがきたんかなって。関西系の人間(兵庫出身)で、東北弁をやるのは初めてだったので」と困惑したことを明かし、笑いを誘う。
続けて堤は「たまたま監督が福岡で僕の舞台を見に来てくださって、『監督、この山形弁は“なんちゃって”な感じでいいんですか?』と言ったら、『ガチでやってください』って言われて」と述懐し、「(練習するため)『とにかく早く方言テープをください』と。でも、最初に頂いたのがちょっとお芝居がかった方言テープだったので(笑)、『素の感じのをください』と。あんなに自分のせりふを聞いて勉強したことないぐらい勉強しました。かなり自分の中ではチャレンジという気持ちで臨みました」と打ち明けた。
「ロカルノ国際映画祭」金豹賞&ヤング審査員賞のW受賞
また、今作は8月に正式招待されたスイス・ロカルノの「第78回ロカルノ国際映画祭」インターナショナル・コンペティション部門の授賞式で、日本映画として18年ぶりの最高賞「金豹賞」グランプリを受賞。ヤング審査員賞とのW受賞の快挙を達成した。
あらためて三宅監督は「とってもうれしかったです。映画は数多くのスタッフの力で成り立っていて、雪の中で撮影するためだけでもいろんな手があって、そういった目に見えない働きも含めて作品として認められたということで、関わった皆さんに報告できるのがうれしいですね。やったぜ!」と受賞の感想を。
そして三宅監督がリュックに入れて持ち帰ってきた、というトロフィーがステージに登場すると、ロカルノ国際映画祭にも登壇したウンギョンは「ピカピカですね(笑)。こうやって近づいて見るのは初めてで、すごいですね。今も信じられないです」と感慨深い表情に。
一方、河合は「ロカルノで見たときより、心なしかリュックの中の傷とかがついている(笑)」と冗談を言いつつ、「コンペティション部門なので何か賞を頂くことはあるのかな、って想像したりはしていたんですけど、まさか最高賞だとは思わなかったので、すごくビックリしました」と、当時を振り返った。
その後、同映画祭に参加していない堤と高田がトロフィーを持たせてもらい、その“重み”を実感し、一同で感動を分かち合った。
映画「旅と日々」は11月7日(金)より全国公開。
◆取材・文=森井夏月(STABLENT)
※高田万作の「高」はハシゴダカが正式表記

青土社
発売日: 2022/11/28































