「天才を育てた女房」の魅力をモーリー・ロバートソンが解説! 「天才には支えが必要」
天才には「誰かの支え」が必要
潔はフランス留学時代、生涯の研究テーマとなる多変数複素関数論における「ハルトークスの逆問題」を発案。約15年の歳月をかけて「三大問題」を解決した。研究成果は難解すぎるゆえに国内ではなかなか理解されなかったが、世界的な評価の高まりとともに日本でも認められ、1960年、ついに文化勲章を受章するに至った。
東大を1学期で中退し、ハーバード大学に入学したモーリーは、潔とみちの関係性を問われ「あまりにも深く、身につまされる思いがあって。泣きどころが4つくらいありました」と、自身の体験をオーバーラップさせた様子。
中でも、「天才と呼ばれる人は、ある種浮世離れしてしまうんです。人間の脳には限界があるので、身の回りのことも同時にこなそうとするのはなかなか難しい。よっぽど特別な天才でない限り無理ですね。
なので、誰かが支えてあげなければいけないのですが、支える側の人の感受性が強いと、生きること自体が傷つくことの連続になってしまうんです。私がハーバード大学で師事していた先生は、現代音楽の世界では『これ以上素晴らしい人はいない』と言われる人物なのですが、私生活はだんだんと荒れていって。
家庭の問題などもあって心労がたたってしまい、若くして亡くなってしまったんです。彼が崩れていく様を支えながら、共依存している二人の関係を見ていたので、(ドラマを見ていて)『ああ…』って」と、自身の記憶とリンクした潔の姿に涙を禁じ得なかったことを明かした。
潔とみちの関係性は「共依存」!?
みちのように、夫だけでなく家計そのものを支える夫婦の形は特殊だが、それについてモーリーは「むしろ今では、“共依存”としてカウンセリングの対象になってしまったり、いわゆる“ダメンズ”のように、『ダメだから愛してしまう』と受け取られたりしがちですよね。
その人に隠れた才能があったとしても、世の中的には『ただの共依存だから、関係を解消した方がいい』と、健全な方向に持っていこうとしてしまう。でも、もしかしたらそのせいで出てこない天才がいるかもしれないですね」と、みちのように愛する人を信じる重要性を口に。
続けて、「自分もかつては、岡潔さんほどではないですが、目の前にあるインスピレーションに没入してしまって、『お金のことは後からついてくる』くらいに思ってやっていた時期があって。
そんなことを続けていたら、いつしかお金を借りなくてはいけない状況になってしまったんですが、その時妻が立て替えてくれて。妻にはいさめられましたね、『リボ払いは絶対ダメ』とか(笑)」と、岡夫婦さながらのエピソードを暴露した。
2月23日(金)夜9:00-10:54
日本テレビ系にて放送