「西郷どん」二階堂ふみ、奄美大島ロケで出会った“おばあちゃん”たちとの特別な思い出
二階堂ふみが、鈴木亮平主演の大河ドラマ「西郷どん」(毎週日曜夜8:00‐8:45ほか、NHK総合ほか)に出演中。
二階堂演じるとぅま(愛加那)は、斉彬(渡辺謙)と月照(尾上菊之助)を失い絶望の中で島送りとなった吉之助(鈴木)を救い、やがて恋に落ち結婚することに。
そんな生命力に溢れ、吉之助に愛と生きる喜びを教えたとぅま(愛加那)を演じている感想などを聞いた。
――愛加那という人物をどのように演じていらっしゃいますか?
奄美大島の海と山と、自然のパワーのようなものを感じながら愛加那さんを演じています。
それと、鈴木さんが体格はもちろん、心も大きくて、正面から“どしっ”と受けとめてくださるので、愛加那さんを演じていて出てきた感情を真っすぐにぶつけていました。
そうすると、本当に愛加那さんになっているような気持ちになりました。
――愛加那に共感する部分などはありますか?
愛加那さんには、どんなに悲しいことが起きても、目の前に大きい壁が現れても、それを乗り越えていくという印象があり、私にも、そういうところがあるのかなと感じていてます。
愛加那さんほど強くはないと思うんですけれど、物事に体当たりしていくという姿勢は近いのではないかと思います。
――愛加那のどのような一面に魅力を感じますか?
愛加那さんの強さと同時に、人を表面だけでは判断しないという優しさ。その人が背負っている過去を感じ取るような繊細さ。そういう部分が女性としてすてきだなと思います。
――母親を演じることは、どのような気持ちでしたか?
母親になる役は何度かやらせていただいているんですが、今回は子供たちと一緒にいる時間が濃密にあったので、今までとはまた違った心境で臨めました。
子供たちは、島から去っていってしまう西郷さんが「ここにいたんだ」と、感じさせてくれる唯一の存在なんです。いとしい子供であり、西郷さんとの繋がりを感じることができる。母として、子供たちを自分の命に代えても守りたいという思いを込めて演じました。
――作法で苦労した点などがあったら教えてください。
作法指導の先生からは、「(料理を乗せる)おぼんは、両手で持ってください」の一言しか言われませんでした(笑)。奄美大島の方言も沖縄の言葉にちょっと似ているところがあって、すんなりとではないですが理解することができて、あまり苦労せずに演技ができました。
――ロケをして知った奄美大島の文化で、印象的だったものはありましたか?
ハジキ(手に入れている入れ墨)のことなんですが、最初は“自分自身を守る魔除け”だと聞いていました。
ですが、奄美でロケをしているとき、島で出会ったおばあさんが「私のおばあちゃんも(ハジキを)してた」と話してくださって、「左手に入れるハジキは、結婚して入れるもので、自分が愛している全てを守るもの。これを入れることは誇りだった」ということを教えてくれたんです。
そういうことを知ると、よりいっそうこのハジキに対する思い入れが強くなって、ハジキに関わってくるシーンにも自然と気持ちが入るようになりました。
それと、奄美は薩摩藩の支配下なる前は、琉球王国に支配されていたということを知っていて…。簡単には言い表せないような歴史背景があったんだろうなと感じてはいたんですけれど、沖縄出身の身としては、複雑な思いがあったんです。
そのことを踏まえた上で、島の方々とお話しをさせていただいたら、「沖縄のことは仲間だと思っている。家族だよ!」と言ってくださって、すごくうれしかったですね。
――奄美大島には「愛加那」と名付けられた店が多くあると聞きましたが本当ですか?
レストランや飲み屋さん、美容室、お酒から、お菓子にまで愛加那さんの名前が付けられていて、本当に愛されている方なんだなと思いました。
――奄美大島という土地で感じたことを教えてください。
静かな海があって、山があるこの風景は、きっと100年以上前から変わっていないんだろうなと感じました。どことなく“異国な香り”のする魅力的な土地でした。
また、個人的な思い出なんですが、おばあちゃん2人組が、スクーターバイクに乗って撮影を見に来られたんです。そして、私を見つけて「あなたが愛加那さん?」と訪ねてきて、「あげー(驚いたときに使う方言)! 愛加那さんだー!」と話し掛けてくれたんです。
お歳を聞いたら、90歳と97歳! すごくお元気な2人組で、かわいらしくて、思わず「おばあちゃんの家に行っていい?」と言ってしまったんです。
そうしたら「いいよ。いつ来るの?」とおっしゃって、すぐさま「じゃ、明日」と決めてしまいました。お伺いしたら、ご飯を作って待っていてくださったんです。撮影中は、その方のご自宅に2、3回、お邪魔させていただきました(笑)。