世界が注目する美少年! 初めてがいっぱいの映画「犬ヶ島」での体験
鮮やかなブラウンの瞳に、笑顔からのぞく真っ白な歯。11歳とは思えぬ落ち着いた振る舞いと、ときどき垣間見える少年らしさ…。日本人の母とカナダ人の父の間に生まれた彼の名は、コーユー・ランキン。映画「ファンタスティック Mr.FOX」(2009年)や「グランド・ブダペスト・ホテル」(2014年)で知られるウェス・アンダーソン監督の最新作「犬ヶ島」(公開中)で、主人公の声優を務めた若手俳優である。
弱冠11歳にしてベルリン国際映画祭のレッドカーペットも歩いたバイリンガルの少年に、驚くべきアフレコの裏話や“忘れられない記憶”について話を聞いた。
アフレコの裏話「やり直しや撮り直し、練習すらなかった」
――「犬ヶ島」は近未来の日本を舞台に、イヌを嫌う政治家の叔父に立ち向かう少年・アタリ、そして彼の仲間になるイヌたちの活躍を、ストップモーションで描いたアニメ作品ですね。そもそも、何がきっかけで本作に参加することになったのですか?
この映画の関係者とメールをした後に、ニューヨークに呼ばれて、オーディションを受けたんです。台本は、バンクーバーの空港にいるときに、メールで来ました。でも、漢字で書かれていたんです。僕は当時8歳だったので(笑)、お母さんが飛行機の中でふりがなをふってくれました。
――オーディションはどんな風に進みましたか?
「じゃあ次のセリフ。次はここを読んで」という風に、どんどん進んで、5時間くらいが経ちました。「オーディションでしょ?」と思いながらやっていたんですが(笑)、その1年後に「アタリの役が僕に決まった」というメールが来ました。
――1年も空いたんですね。
はい。ニューヨークの後に、バンクーバーで2回ほど1時間ずつくらいの収録があったんですが、やり直しや撮り直し、練習すらなかったです。ニューヨークの時も「練習しないで来て」と言われていました。映画ではニューヨークやバンクーバーで撮った声が、そのまま使われているんです。
――本編の声が練習なしの“生声”だったとは驚きです! アフレコは初めてとのことですが、難しかったですか?
余計に難しかったです。僕が読んだのはアタリのセリフだけだったので、ストーリーも分かっていなかったですから。
公開中
監督=ウェス・アンダーソン
配給=20世紀フォックス映画
ボイスキャスト=ビル・マーレイ、ジェフ・ゴールドブラム、エドワード・ノートン、ハーヴェイ・カイテル、ティルダ・スィントン、F・マーレイ・エイブラハム、ボブ・バラバン、フランシス・マクド―マンド、野村訓市、スカーレット・ヨハンソン、グレタ・ガーウィグ、ブライアン・クランストン、リーブ・シュライバー、コーユー・ランキン、オノ・ヨーコ、渡辺謙、野田洋次郎、村上虹郎、夏木マリほか