──“朝ドラ”へのご出演は「あまちゃん」(2013年)に続く2作目ですが、オファーを受けられた経緯を教えてください。
漫画家関係のコネで出演していると思われているでしょうが、いちおう俳優の事務所にも所属しているので、そちらにお話をいただいて、普通にお受けしました(笑)。でも、自分が漫画家であることからプロデューサーが興味を持たれて、来たお話だとは、承知しております。
──漫画家・河井さんとして中野さんに共感されるところや、オフィス・ティンカーベルについて思われることはありますか?
「中野」は自身も商業誌デビューをしているものの、仕事が少ないのでアシスタントもしているわけですが、私もかつて、同じ境遇でしりあがり寿さんの仕事場に出入りしていたので、そこに関してはまったく地のままで演じていたと思います。
オフィス・ティンカーベルの仕事場に関しては、正直、あんな漫画家の仕事場、あるわけないだろうと思いますが、「80年代の少女たちの『漫画家』に対する憧れ」を具現化したものとして面白く思いました。あと、フィクションの中のこととはいえ、結果的に自分がくらもちふさこ先生の原稿を仕上げていることにクラクラしました。
──永野芽郁さんをはじめとするキャストの方々に、漫画の描き方や道具の使い方をレクチャーされることはあったのでしょうか?
私は同じ漫画家と言っても少女漫画のノウハウはほとんど分からないので、自分の知っている情報をたまにキャストやスタッフに伝えたりすることはあっても、レクチャーなどはしませんでした。現場についていた漫画指導の先生に、「これでいいですか?」とかいちばん質問してたのは私だと思います(笑)。
永野さんは主役で忙しいので漫画家としての交流はあまりありませんでしたが、永野さんのカケアミ作業を私が褒めるシーンは、本当に上手なので全く自然な感じで褒めていると思います。
清野菜名さんはカケアミ作業の、自分に没入していく感じが気に入ったみたいで、撮影時や待ち時間に目の前の紙に練習したものを、私に見せてくれたりしました。清野さんはアクションも得意とする女優さんですが、アクション演技の、一つ一つ段取りを的確にこなしていく作業というのは、メンタル的には漫画の作業に近いのかもしれないと思いました。
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