「短歌はとても自由なもの」
――番組ではこれまでさまざまな短歌を紹介されてきましたが、有森さんはどういった短歌が好みですか？
いろいろなタイプの短歌がありますが、私は鳥居さんの短歌が好きです。痛々しさやたくましさ、その裏にあるデリケートさなど、鳥居さんにしか作れないような世界観が表現されていて、いま注目しています。(※2016年に発売したデビュー作「キリンの子 鳥居歌集」で、第61回現代歌人協会賞を受賞した現代歌人。セーラー服を着た歌人として知られる)
与謝野晶子や松村先生の作品ももちろんすてきだと思いますし、番組的にはお2人の名前を挙げるほうが良いのかもしれませんが…(笑)。ただ私はまだ短歌初心者なので、比較的分かりやすい言葉でつづられている鳥居さんの短歌が入りやすいというのもありますね。
――有森さんはご自身でも短歌を作られているとのことですね。
ゲストとして番組に呼んでいただいた際にいくつか作りました。日常生活の中でも作りたいとは思っていますが、私は「さあ、作ろう！」と意気込まないとなかなか作れないですね(笑)。
番組では毎回テーマに沿った短歌を募集しているのですが、私もそのテーマで作ってみて、上手くできたと思ったものは松村先生に見ていただいたりもしています。
――有森さんの考える、短歌の魅力とは何ですか？
短歌は俳句のように季語があるわけではなく、決まりは五・七・五・七・七の文字数ぐらいなので、とても自由なものだと思います。日記のように作れたり、流行語やカタカナ、外来語が入ったりと、日常的に使っている言葉で作れるところも魅力だと感じています。
もし与謝野晶子に会えたら…!?
――与謝野晶子という人物について、“「みだれ髪」の人”としか知らない方も多いかと思います。有森さんはこの番組に携わるまで、晶子にどういった印象をお持ちでしたか？
私も学校で習ったぐらいでしたね。後は、以前CMで与謝野晶子の歌が使われていたなという程度の印象しかなかったです。ただ、この番組で晶子を1年間取り上げるということで、松村先生がお書きになった晶子についての本を何冊か読ませていただきました。単なる歌人というだけではなく、時代を代表するような方、グローバルでジャーナリズムに熱心な方だったんだなという印象を受けました。
――晶子が“百貨店で20年にわたって広報の顧問を務めていた”ことなど、私もこの番組で初めて知りました。
コピーライターとして時代や流行を作っていたようです。“新しもの好き”でもあったし、無痛分娩を日本で最初に試したのも晶子だとされています。歌人としての側面ともつなげながら、そういった晶子という一人の人間がどのように時代を生きたのかも番組で伝えていきたいです。
――もし、晶子が今の世に現れてお話しすることができるとしたら、有森さんはどんなことを伺ってみたいですか？
そうですね…、今はセクハラや女性専用車両など当時とは社会での男女のあり方が変わってきていると思うので、そういった現代の男女観についてどう思われるか伺ってみたいです。
毎週日曜朝6:00-6:25
NHK Eテレで放送中
※再放送は毎週火曜昼3:00-3:25
※有森也実出演回は毎月第3週放送
