この役の大事なものをすごい集めました
――長期間の撮影の中で、吉二郎という役が固まったシーンなどはあるんでしょうか。
この撮影に入る前に、監督の野田(雄介)さんから「優しい弟であってください」っておっしゃっていただいたんです。それを大事に演じようと思っていました。
役が固まってきたシーンは、具体的にここっていうところはないので、本当に徐々にです。
役が固まることって素敵だと思うんですけど、あんまり固めようと思っていなかったです。でも、手がかりがないと演じる上で不安になるので、この役の大事なものをすごい集めました。
役をやるにあたって絶対持ってなきゃいけないものって、どの役にもあると思うんです。
それが吉二郎にとっては家であり、家族だったので、それを現場でたくさんいただいていたので、手がかりであり、宝として持っていました。
――吉之助も薩摩にいたころから位も変わっていきましたが、その中での変化は感じましたか?
変化はもちろんありますよ、体大きくなって、風格がついてきたなとか。
でも、偉くなってきても家の中では全くそういう素振りを見せないのが鈴木亮平さん演じる吉之助の優しさだと思います。
――柏木由紀さん演じる園さんにはどのような印象を受けましたか?
本当によくできた方だと思います。
家の中に力強い味方が増えたような感覚でした。戦に行く時も、『この家を頼んだぞ』という気持ちでしたね。
家族に対する感情ってあんまり変わらないじゃないですか。
私自身にとっても家族は変わらない場所なんです。
私は2年前に結婚した奥さんがいるんですけど、元は他人なのに、この人がいてくれてるから、自分はこうやって仕事できるんだなっても思えるんです。
だから、家族ってすごく力が強いものなんだなっていうふうに「西郷どん」に出演していて改めて感じました。
――柏木さんとはシーンについての相談などはしましたか?
柏木さんは大河ドラマも初めてで、現場で緊張もなさっていたように思えたので、なるべく話しかけるように私は心がけていました。
本番が始まる前に、なんの意味もないんですけど「園!」って言ってみたりとか。そしたら柏木さんが振り向いて「え?」って言って、「いや、なんでもない」私が言うっていう遊びをしてました。向こうからしたら迷惑だったかもしれないんですけど(笑)。
私も以前(大河ドラマ)「平清盛」(2012年)で途中から参加して、「どこで何をしたらいいんだろう」っていう心労があったんです。
柏木さんの今の年齢は、私が「平清盛」に出たのと同じくらいだったので、その緊張がすごく分かるんです。だから、なるべく話そうと努めてました。
――では、2人の夫婦の表現が第38回では見られるんでしょうか。
はい! 二人で表現できたと思います。