不健康ポップバンド“スカート”って何者?「不健康は脱したいんですけど…」
少しずつ右肩上がり
――語弊があるかもしれませんが、 “ただの自己満足”が意外なほど共感を得ているという…。
そうなんですよ。本来は高円寺の小っちゃいライブハウスとかで、20~30人が膝を抱えて聴いているような楽曲なんです。ないものねだりですが、もっと格好良い理由や機能性のある曲を書けたら違う人生を歩めたとすら思います。
でも、自分も開けたポップミュージックが好きなので、その要素も自分に内包されているんだろうなとも思っていて、そしたら少しずつ、本当に少しずつですが今、右肩上がりで…ありがたいですね。
――そんなシャイな心持ちの楽曲たちが、メジャーデビュー1年強で既にこれだけのタイアップを得ている現状をどう分析されていますか?
…ね! 全然分からないです。健康な方が前提な社会の中で、僕らみたいな音楽はやりづらいはずなんですけど…逆説的に言うと、もしかしたら今は陰りのある曲が必要とされる世相なのかもしれません。
自分としては、矛盾とかコンプレックスを嗜むことが、大げさに言うとある種の報復にもなると思うので、自分の中に飼い込んだそれらをうまく楽しむのが生きやすい暮らし方の一つの形なんだろうなと思います。なりわいですね。業です(笑)。
――今回収録された映画「そらのレストラン」の楽曲について、もし今までと違う感触があれば教えてください。
この映画がなかったら、この曲、この歌詞、この演奏というのはできていなかったと思います。
挿入歌の「花束にかえて」は映画に引っ張られつつ自分の内面が出ているのですが、主題歌の「君がいるなら」は、自分でもこういう歌詞を書いていいんだ…と思ったくらい、新しい世界観の曲になりました。
――つまり、ある意味で先程の“自己満足”から脱した要素があると。
そうですね。もちろん、今まで自己満足として作っていた部分を重要な要素として映画に求めてくれたんだ…と、良いように解釈して書いたので、完全にスカートの世界観がなくなったわけではないですし、そこを求めてくれたこと自体がうれしかったです。
――澤部さんが曲を作る上で大切にしていることは何ですか?
やっぱり自分が「これはいい曲だ」と思うものを聴いてもらいたいし、自分が「う~ん」と思うものを出すのは誠実じゃないと思うので、なるべく「自分がこういう音楽を聴きたい」「こういう歌詞の世界を提示したい」というものを世の中に問うて行きたい。
自分も音楽好きなので、こういう音楽を聴きたい人がどこかにいるんじゃないかという気持ちがまだあるんです。自意識がとんでもないことになっていてお恥ずかしいんですけれど。
――では、生きる上で大切にしていることは?
難しいですね…。とにかく生きづらいってずっと思っているので。行くも地獄、戻るも地獄です(笑)。
年々その気持ちは増えていて、でもだからこそおいしいものを食べる、好きな音楽を聴く、好きな漫画を読むことに重点を置いて生きているかもしれません。
しんどいストレスを交わすため、細く長くというよりは貪欲に生きようと…何せ、不健康ポップバンドなので!(笑)
取材・文=坂戸希和美
発売中
■スカート オフィシャルサイト
【HP】http://skirtskirtskirt.com/
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