重ね合わせてくれているなら、ちょっとうれしいなって思ったりします
――「大人計画」を主宰されている松尾さんが、そこに所属する宮藤さんが脚本を務めている本作で円喬を演じるということで、円喬と孝蔵の関係性にご自身を重ねる部分はあったんでしょうか。
どうなんですかね。2018年は、「大人計画」が30周年を迎えたこともあり、宮藤がエッセイとかで昔のことを書いてることが多かったんですけど、そこで僕が覚えていないような、僕と宮藤が一緒に面白いことをやったエピソードとかが書かれていたりしたんです。
もしかしたら、森山くんと僕が演じている関係性みたいなものを、自分(宮藤)と僕に重ね合わせて書いている部分もあるのかなって思います。
(円喬と孝蔵のように)具体的な仕事は与えずに身の回りでぶらぶらさせているみたいな、直接師匠と弟子みたいな堅苦しい関係にはならずに、僕と宮藤はなんかいつの間にか一緒にやってたみたいなところはあるんです。
どこか重ね合わせて思ってくれている部分があるなら、ちょっとうれしいなって思ったりします。
――今回も演じる役柄が志ん生の最初の師匠になる円喬だと分かったときに、何かを感じたんですか?
名人と言われている人なので、それはすごくプレッシャーを感じました。それに、やっぱり僕をその役に選んでくれた宮藤に恥をかかしちゃいかんなって思いました。
でも、あんまり僕はオリンピックに興味がないんで、落語側の人でよかったなって思います(笑)。
宮藤が書く作品では、僕は先輩とか師匠みたいな役をやることが多くて、しかもちょっといじめられるんで、撮影が終わったころに疲れ切るんですよ(笑)。今も疲れ切ってますから、厳しい弟子です(笑)。
――今回の宮藤さんの脚本を呼んだときには、どんな印象を受けましたか?
「入れ子構造」というのかな。ただ時間がまっすぐに進むのではなく、行ったり来たりしながら一つの着地点に向かっているという複雑なことに挑戦していると思いました。
あんまり今までの大河になかったような、新しいことしているなって思います。
それに、阿部が主役の一人で、すごく喜ばしい形になったんじゃないかと思っています。今まで意外と宮藤の脚本で阿部が主役のドラマってなかったんですよ。だから、今までの歴史がいい形で結実したような気がしています。
――松尾さんが阿部さんに期待していることはありますか?
笑わせてほしいですね。宮藤は、阿部にこのせりふを書いたらどういう音でしゃべるのかっていうことが分かってるんです。もう長い付き合いですから。だから、最強なんじゃないかなって思います。