<いだてん>「箱根駅伝」ゴールシーンはどう描かれる?永島敏行&大根仁に直撃
大根「大掛かりなロケでの撮影は初めてでした」
さらに今回、同放送回の演出を務めた大根仁にもインタビューを敢行した。
「いだてんは、競技のシーンがたくさん出てくるんですが、全て見せ方が違うんです」と話した大根。
その言葉通り、四三と三島弥彦(生田斗真)が出場した1912年のストックホルムオリンピックのシーンは現地で大規模なロケが行われ、一方で「東海道五十三次駅伝」(5月12日放送)のシーンは、イラストとイメージ映像で構成されていた。そんな中、今回の「箱根駅伝」をどのように描いたのか。
「いろんな手法があるんですけど、今回は古今亭志ん生を始めとする5人くらいの落語家が駅伝のように落語をつなぎながら、本物の落語も走らせていくっていう…絶妙な表現になっています。宮藤さんの脚本の妙ですね」と、また新たな表現が登場するそうだ。
「落語の方はすごくコミカルに描いていますが、マラソンは違います。そのコミカルな表現と、マラソンの真剣なフィジカルの表現をどうカットバックさせていくのかがすごく難しかったです」と語る。
大勢のエキストラが集結し、応援に集まった大観衆の熱狂を再現したゴールシーン。その収録の感想を聞くと、「『いだてん』では狭い部屋の担当が多かったので(笑)。大掛かりなロケでの撮影は初めてでした。久々にこういうものを撮って、気持ちよかったです」と笑顔に。
一方で、演出上の苦労を「これは史実なんですが、箱根駅伝の1回目は、誰も知らないからスタート地点には観客とかが全くいなくて、復路のときは人がたくさん見に来ていたそうですね。ただ、写真は残っていないので、どんなふうに最後のゴールを迎えたのかっていう部分を想像して映像にするのは難しかったです」と振り返った。
2位の西岡選手のゴールをいかにエモーショナルに撮るかということを考えて
そんなゴールシーンでは、ハイスピードカメラでの撮影も採用されている。その狙いとは?
「宮藤さんの脚本では、1位でゴールした茂木選手(久保勝史)じゃなくて、2位で何度も転びながら傷だらけでゴールした西岡選手(工藤トシキ)と、それを応援する岸さんの方がフィーチャーされてます。
そこが宮藤さんらしくて、いだてん全体のテーマだと思うんですが、英雄ではなくて、ちょっとしくじった人にスポットを当てるんですよね。失敗してるっていう点で言えば、四三も後半の主人公の田畑(阿部サダヲ)もそうですし。
だから、そんな脚本を読んで、2位の西岡選手のゴールをいかにエモーショナルに撮るかということを考えて、あえて1位の選手ではなく、2位の選手をハイスピードで撮るという表現をして、スポットを当てるようにしました」。
果たして、どのような「箱根駅伝」が作り上げられているのか。今夜の放送で目撃しよう。