福田雄一監督、ここまでやる!? 不可能を可能にした「銀魂」シリーズの掟破りの実写化術<ザテレビジョン シネマ部コラム>
日本映画界に新たな笑いの感覚を持ち込み、今や押しも押されもせぬ人気監督となった福田雄一。2017年には日本映画の実写映画で『銀魂』('17)が年間興収第1位となってアッと言わせたが、続編の『銀魂2 掟は破るためにこそある』('18)は年末年始に自宅で観られた日本映画No.1※に輝き、早くも『銀魂3』の始動…を感じさせるかのような内容を福田監督がSNSに投稿したりもしている。
実際、『銀魂2~』を観て驚かされたのは、脱力系のゆるい笑いが光ることは言うまでもないが、ギャグ以外のシーンのパワーアップぶりが目立ったこと。今回『銀魂2~』は長い原作コミックのなかから「将軍接待篇」と「真選組動乱篇」をピックアップして映画化しているが、後半に行けば行くほど「真選組動乱篇」がメインとなり、アクション・シーンが増えている。『マッドマックス』的な車の爆走アクションや、西部劇を連想させる列車が絡むアクション、人対人の胸のすくような肉弾戦など、どのシーンをとっても小憎たらしいほどカッコいいのだ。
さらに今回は真選組同士の内紛がストーリーのキーに。裏切りを企てる者とそんな仲間も愚直に信じる大将がいる、個性豊かな真選組一同のキャラクターが丁寧に描写され、男同士ならではの絆がシリアスに語られる。そのなかでも互いを忌み嫌いながら、どこかで相手を認めざるを得ないと感じている、副長と参謀が紡ぐ絆は熱い。
実は当初、福田監督は続編で取り扱うエピソードを、キャバクラで将軍を銀時ら万事屋の面々がもてなす「将軍接待篇」に決め、ギャグ全開のバカ映画を想定していた。確かに『銀魂』シリーズ=ギャグの印象は強い。が、実はその底辺には熱いドラマが詰まっていて、それこそが『銀魂』の魅力だと思うようになった。だから銀時役の小栗旬には「お笑いだけじゃない、ちゃんとしたのを作る!」とイン前に宣言していたという。