テレ東・五箇公貴Pが語るテレビの“あるべき姿”「巨大なカタログみたいになっていく」<インタビュー後編>
今のテレビの在り方とは…
――今、気になっているものはありますか。
「四月一日さん家の」をやってからバーチャルYouTuberはもとよりVR、3DCG表現にすごく可能性を感じています。新しいテクノロジーをどんどん取り入れながら、新しい表現方法を探っていくことに興味がありますね。先日バーチャルYouTuberのユニット・Gems Companyのライブに行ったのですが、すごく良くできていて圧倒されました。リアルにライティングもされているし、本当にそこで踊っているかのように見えるんです。すごい時代だなと思いましたしワクワクしました。
なので、「四月一日さん家の」でもライブをやりたいと考えています。バーチャルYouTuberのライブって歌や踊りはありますけど、お芝居という形の公演は今まであまりないと思うので。
そういう意味でも今はテレビをゴールにせず、放送した後にそれをどう生かしていくかということにすごく興味がありますね。作ったものをどういうふうに広げ、ファンの人たちに喜んでもらうかがテレビのあるべき姿だと思っています。
映画を見た後って、友達とご飯を食べながら「あそこ面白かったよね」と話すのがまた楽しいじゃないですか。われわれがその材料を提供し、個人がどういうふうにこれを使って楽しむか。僕たちはその手助けをするし、その場を提供するという在り方がテレビ番組としての良い在り方だと思います。そしたらビジネスにもなりますよね。
テレビもいくつかのプラットフォームの1つになっている時代です。テレビは、巨大なカタログみたいになっていくと思います。いろんな人が出ていて「この人が面白い」となったら、WEBで見ていく。テレビは仕入れる場所というか。カタログ(=TV)を見て、引っかかったものをWEBで掘っていく時代だと思います。
「四月一日さん家の」だったら、「VTuberってこういうものです」というのをドーンと出して、実際はそれ以外のところでもサービスを提供していく。テレビがテレビだけでやっていたら、カタログを見て実際に物を買うのがWEBでということになってしまいます。
(視聴者の方が)「こういうのがあるんだ」と知って、WEBを見に行ったときにそこも僕らがきちんとフォローしていく。“テレビ離れ”といわれてますが、その表現はざっくりしすぎていると思っていて。テレビの制作力は50年の蓄積がありますし圧倒的だと思っています。
ただ、私たちの業界は今やフットワークが非常に重くなっているということです。会社も大きいので、やろうとしたら時間が掛かる。でも、「小さくてもいいからやっていかないと」という危機感を常に持っていかないと次世代エンタメに抜かれる日も遠くないと思っています。