撮影時に触れたお互いの“陰”とは?
――本作のキーワードの一つである「かげ」。撮影時、お互いの“陰”に触れたことはありましたか?
加藤:まっすん(松本)は人が良さそう、優しいとか。男っぽい世界にいて、好青年というイメージがあったけど、信冶(カトウシンスケ演じる)をパーンとさばくシーンでは、「あっ、ちょっと狂気の人なんだ」って思いました(笑)。「容赦なくたたくなぁ」って。まぁ、陰とは言わないけど、優しい一面とピシッと厳しい一面を見た気がしたね。
うそで不良を演じている人っているじゃないですか。そういうのじゃない、ピシッとした面を感じた。上下関係がちゃんとした世界にいる人っていうの? あの時に「おっ!」と(感じた)。
松本:加藤さんはむしろ、陰だらけの人なんだろうなぁと(笑)。第一印象の前に、映像で見た印象が陰だらけだったので。
加藤:偏ったやつばかりを見たんじゃないの?
松本:そうなんですかね。
加藤:(撮影期が)前後しちゃっているけど、朝ドラなんてどう見たって“陰”ないやん(※加藤は2018年10月期のNHK連続テレビ小説「まんぷく」に喫茶店店主役で出演)。陰、なさすぎっ!
松本:そうなんですけど(苦笑)、でも、イメージがそうなんですよ。
加藤:何かのイメージでね。印象が。
松本:そうです。渋くて、口数少なくて、いつも暗いバーでバーボンとかを飲んでいそうな(笑)。葉巻を吸っているとか。だけど、逆なんですよ。一番明るい。現場によっては、どうやってコミュニケーション取ろうかなぁなんてことがあるんですけど、そんなことは感じさせず、スッと入ってきてくれたんで、一番接しやすかった。
――どんなことを話していたんですか?
加藤:くだらないこと。印象に残っているのは、「最近の若いやつは、自分たちが生きてた時代と上下関係のあり方が違うよな」とか。
松本:ありますっ!
加藤:僕ら25歳ぐらいの時、先輩で50、60歳の人が「あいつらは違うな」って言っていたみたいなことを、今の僕らがやっていて、それだけ年取ったってことなんだけど。(当時は)言われていたと思いますよ、「あいつらはよ」って。
9月6日(金)公開
出演=加藤雅也/中村ゆり、松本利夫、カトウシンスケ、熊切あさ美、若旦那/余貴美子、火野正平/AK-69
原作=北方謙三「抱影」(講談社文庫)
主題歌=クレイジーケンバンド「場末の天使」(ダブルジョイ インターナショナル / ユニバーサル シグマ)
監督=和泉聖治
脚本=小澤和義
プロデューサー=中野英雄
公式サイト=http://kagedaka.jp/
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