松坂桃李、秘書の“岩ちん”役は「阿部さんのお芝居を一番身近で見られる素敵な時間だった」<いだてん>
“女性好き”みたいな描写は申し訳ないと思いましたね…
――岩田をどういう人物ととらえて演じましたか?
岩田さんは史料があまり残っていないので、台本を忠実にひも解いてキャラクターを作るようにしました。実際にご家族の方にお会いしたのですが、とても上品な方々で、“女性好き”みたいな描写は申し訳ないと思いましたね…でも、宮藤さんが書かれたことなので(笑)。当時の男性の豪快さは出せたかな? と思っています。
ちなみに、岩田さんはヨットでオリンピックを目指していたスポーツマン。田畑さん同様に情熱的で熱量のある人物です。田畑さんと一緒に行動するところが多かったので、阿部さんのお芝居に、対応できるところは対応しようと思いました。
――岩田は田畑と一心同体のように行動を共にする人物ですが、阿部さんとのお芝居はいかがでしたか?
共演させていただいて、場の空気を一瞬で変えることのできる方だと改めて感じました。役者という仕事をするにあたって、僕も身につけたいことだなと思いました。阿部さんのお芝居は本当に面白いんですよ。例えば台本に『何?』と書かれていたら、阿部さんが言うだけで、その声のトーンから面白いことが起こりそうな気持ちになるんです。
本当に阿部さんのお芝居を一番身近で見られる、素敵な時間だったなと思います。
阿部さんが演じる田畑さんは僕から見た印象は嵐のような人。本来なら嵐は避けたいところですが、阿部さんが演じることで、巻き込まれてもいいなと思わせる何かを持っている人物になっています。そうやって巻き込まれていったのが岩田です(笑)。
――現場では、阿部さんをはじめ松重さんなど年配の人が多い現場でしたが…。
なんで僕たちの登場するクールはオジサンばっかりなんでしょうか。現場では常に、体のどこが痛いだの、どこそこの病院はいいよという話ばかりでした (笑)。
――そんなオジサンたちが演じるキャラクターの熱いスピリットは、松坂さんご自身の刺激になりましたか?
田畑さんみたいに、ひとつのことを成し遂げるために、周りの顔色を伺うことなくやろうとする人は強いです。そして、その姿は人を引きつけるなと感じましたし、成功につながる一番の近道だと思いました。今の時代、田畑さんのような言動をすると問題になることも多々あるとは思いますが、そういう人がいて欲しいなと自分の中で感じているところもあります。冷めた風潮のある今、周りをかえりみずに『やる!』と言える人物に現れてほしいし、たまには自分も少しは押し出してもいいかな? と思いました。