「映画館に行く楽しさを教えてくれたのは寅さん」
――井上さんはこれまでに映画「男はつらいよ」シリーズをご覧になったことはありますか?
お正月に横浜の映画館に祖母と母と3人で見に行くのが恒例になっていました。
初めて見たのは小学生の頃だったので、映画館に行く楽しさを教えてくれたのは寅さんだったなぁと。
祖父母は亡くなってしまいましたが、「男はつらいよ」シリーズが大好きだったのでこの作品を見せたかったなという思いもあります。
小さい頃からお仕事をさせていただいていたので、祖父には「大人になって、いつかマドンナとかになっている姿を見たいな」と言われたりもしていました。「女優さんになりたい」と思い続けられたのは、祖父の言葉が大きかったかもしれないです。
――脚本の岡田惠和さんの作品にはこれまでも出演されていますが、岡田さんの脚本の魅力を教えてください。
台本を読んだ時に「岡田さんの世界だ~」って感じました。岡田さんの書かれるせりふやト書きが大好きなんです。
岡田さんのト書きって独特で、演じる役者さんに向けて自分の思いを乗せたような書き方なんです。役者さんを信頼してくださっている感じがして…。
ト書きから読み取れる「こういう母を演じてほしいんだな」、「こういうシーンにしてほしいんだな」という岡田さんの考えにできる限り近づきたいなと思うのですが、それが難しくて…。
「これができたらいいけど、書くのは簡単だよね!」と思いながら(笑)、でもト書きを読むと「君ならやれるよ!」と託されている感じするんです。ありがたいことですよね。
あとは連続テレビ小説「おひさま」(2011年、NHK総合ほか)もそうだったのですが、「おはよう」や「いってらっしゃい」などあいさつが岡田さんの作品にはよく出てくるんですよね。それって物語としては無くても差し支えないと思うのですが、そういうシーンで日常感を表現されていて…。岡田さんの日常の描き方が大好きですし、そういう部分を大事にしたいなと思います。
10月19日(土)スタート(全5回)
毎週土曜夜9:00-9:50
NHK総合にて放送
出演:井上真央、毎熊克哉、泉澤祐希、岸井ゆきの、石丸幹二ほか
原作:山田洋次「悪童 小説寅次郎の告白」
脚本:岡田惠和
音楽:馬飼野康二
制作統括:小松昌代、高橋練
演出:本木一博、船谷純矢、岡崎栄