杉咲花、新田真剣佑、北村匠海…これから注目すべき“12人”の演じたい若者たち<ザテレビジョンシネマ部コラム>
『湯を沸かすほどの熱い愛』(2016)で圧倒的な「泣きの演技」を見せた杉咲花は、今回は異常に高圧的な「嫌われ役」を演じている。攻撃的な物言いで他者との会話を遮り、主導権を握ろうとするが、近寄り難いオーラも放ち、自らの情報を提示しようとしない。しかし時折、目の奥に「おびえ」のようなものを垣間見せる。
杉咲花が場の空気を加熱する「動」の演技を請け負った存在なら、落ち着かせる「静」の演技を見せるのが北村匠海だ。堂々たる存在感を披露した『影踏み』(2019)が公開中の北村は、流れるような自然な口調で虚実感の強い作品に真実味をもたらす。特筆すべきは、会話に滑り込む技術力の高さだ。
“探偵”役として物語の「進行」を任されたのは、新田真剣佑。『ちはやふる』シリーズでの穏やかに包み込むような演技、『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』(2017)でのオラオラ演技など、役によって演技のトーンをしっかり変えてくる新田は、オーラを完全に消しつつ、病弱ながら推理力は超人的というキャラクターを熱演している。
演技の比重に重きを置いた作品は、タスクが多い分、役者を加速度的にパワーアップさせるものだ。未完成や粗削りな部分も含めて「可能性」を感じさせる12人の若手たちは、今後どのような成長曲線を描いていくのか。楽しみに見守っていただきたい。
文=SYO
東京学芸大学卒業後、編集者を経て映画ライターに。CINEMORE、FRIDAYデジタル、映画.com、DVD&動画配信でーたなどに寄稿。Twitter(@SyoCinema)フォロワーは1万4000人超。