松雪泰子、真奈子のせりふは「なぜか泣けるような感覚に」
――松雪さんご自身とは全く違う役柄ということで、真奈子の役作りは大変でしたか？
最初はやはり苦労しました。何か起きた時に、どのようにして反応して、どう言葉を発するかなど、どのポイントに焦点を当てて捉えるべきかどうかという部分で悩むことが多いです。エピソードも毎回違いますし、理系の思考回路を捉えていくことに苦労しました。
今回は、ドラマのテーマも一風変わっていますし、真奈子を分かりやすいキャラクターではなく、違うアプローチで作っていきたいねと監督とは話していました。誇張してエキセントリックな感じではなく、真奈子をどのように魅力的に見せられるかを考えて演じています。なので、演じていてとても面白いです。
――せりふの量も多いのではないかと思うのですが…
多いですね(笑)。これも苦労しています。特に工学者の役なので、事故の説明や専門的な知識がないといけないことも多くて…。それを説明しながら真奈子として演じることが難しいなと感じています。
――松雪さんから見た真奈子の魅力は何でしょうか？
真奈子は理系的な思考回路を持っているのですが、最終的には哲学的なところまで考えていて、とても人に寄り添っている人だなと思いました。
失敗学の概念として、失敗を学びとし、それを人や社会に知識として広めていくというのがベースにあります。ドラマで取り上げられている失敗は、“ヒューマンエラー”が多いのですが、失敗を起こした人に対して、事故の原因を解決して言葉をかけていると、その失敗を教訓として改心して、次に進んでほしいという思いが自然と湧き上がってきます。
その時は、目の前にいる失敗した人に向けて話しているようで、画面を通して社会全体に、真奈子というキャラクターを通して言葉をかけているような感覚になります。
――その中でも特に印象に残っているせりふはありますか？
とても大きな失敗をしてしまった相手に対して「あなたの失敗がなぜ起こってしまったかに興味があります。ゆっくり聞かせてください。そして、一緒に考えましょう」というような言葉をかけるシーンがあるのですが、とてもインパクトがありました。
でも、(真奈子のせりふは)なぜか泣けるような感覚になります。なぜだろう？と考えたのですが、どんな人にも数々の蓄積されてきた失敗があって、うまくできなかったことを後悔して、改善したいと思っていたのにできなかったことが、きっとたくさんありますよね。
そういうところに響くのかな？と思いました。真奈子のせりふには学ぶところがたくさんありますし、とても大切なせりふをいただいているなと感じています。
毎週金曜夜10:00-10:50
NHK総合にて放送
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