「アフレコをやってみたら、結局うまく収まったからいいや」
――絵コンテや脚本を直す時など、「斉木楠雄のΨ難」 を制作する上で気を付けていたポイントは?
桜井弘明:第1期の時はこっちも手探りだったんですが、とにかく原作のセンスがいいので、脚本で余計なネタを入れないということですね。自分としても原作に対するツッコミを足したりしがちなんだけど、それをできるだけ抑えていました。
あとは、どうしても尺に収まらない時、どのせりふを切るかという問題は常にありました。「漫画ではこのせりふはOKだけど、テレビで放送する時は引っ掛かる」というような権利関係の問題もあるので、そこをどう置き換えるかも気を付けていましたね。
――原作付きの作品だと、せりふを削るのにも時間が掛かると思いますが、カッティング(編集)は大変でしたか?
桜井:そんなに長くはならなかったんですよ。できるだけ絵コンテの段階で尺を詰めるようにしていましたから。
ただ、どうしても30~40秒くらいオーバーするんです。たまに1分を超える時があると、4分の作品で1分を切る作業はすごく大変でした。
そうなるとせりふを削るしかないので、迷うことなくズバズバ切っていくんですけど、後で原作サイドから「ここのせりふは戻してほしい」と言われることも、最初のうちはありましたね(笑)。
――(斉木楠雄役の)神谷浩史さんも会見で、「最初は今よりせりふのスピードもゆっくりだったけど、途中で監督のミスから速くなっていった」というエピソードを明かしていました。
桜井:一度、修正で短くしたせりふをキャストに伝え忘れていたんだけど、アフレコをやってみたら、結局うまく収まったからいいや、ってことがあって(笑)。そこから多少、修正の仕方も変わりましたね。自分でしゃべっても入らないけど、このキャラなら多分うまく入れるだろうと。特に女性陣はそうでした。
――つまり、キャストの力で助けられたことも…?
桜井:それは大いにありました。なぜこんなスピードでクリアに聞こえるんだろうって。日本の声優さんはすごいなあ、と(笑)。
「何とか毎回アフレコに照橋さん(CV:茅野愛衣)を呼びました(笑)」
――「Ψ始動編」はNetflixでの配信となりますが、制作する上で、コンプライアンスの問題や放送尺など、地上波のテレビ放送との違いはありましたか?
桜井:違うところで言うと、コンプライアンス関係はまずあります。
あとは、今回は原作で残っている話をやろうということだったんですが、全世界配信だと伝わりにくいと思った話は外したりして、話の取捨選択は初めに多少ありました。でも、「これ大丈夫かな?」っていうエピソードも意外と入れられたりして。日本の文化をそのまま世界に発信しているエピソードなら大丈夫なのかなと。
あと、尺に関しては、本来なら配信作品は自由でいいわけです。でも、今までの流れと同じフォーマットでやった方がトータリティーが出るかなということで、「4分でやりましょう!」ということになりました(笑)。
制作発表の時、神谷浩史くんからも「おい! なぜ4分だ!」と言われましたが、「仕方ない、そういう作品なんだよ」と答えておきました(笑)。
それから、テレビアニメで第1期・第2期などを作る場合、普通はシリーズごとにオープニングとエンディングを変えるのが普通なんですけど、配信の場合はそれも気にしなくていいということで、本編に専念できたということもよかったです。
あとは、残った話で照橋さん(CV:茅野愛衣)が出てないと、神谷くんも僕もテンションが下がるので、何とか毎回アフレコに照橋さんを入れるとか、相卜(CV:喜多村英梨)を入れるとか、やっぱりメインどころのキャラはなるべく出してあげたいなと、原作にいなくても何とか隙間を埋めるように気を付けました。
2019年12月30日(月)スタート/Netflix
<スタッフ>
原作:麻生周一「斉木楠雄のΨ難」(集英社ジャンプ コミックス刊)
監督:桜井弘明 キャラクターデザイン:音地正行
音楽:斉木ックラバー
アニメーション制作:EGG FIRM×J.C.STAFF
制作:小学館集英社プロダクション 製作:PK学園R
(C)麻生周一/集英社・PK学園R
<キャスト>
斉木楠雄:神谷浩史 燃堂力:小野大輔
海藤瞬:島崎信長 灰呂杵志:日野聡
鳥束零太:花江夏樹 照橋心美:茅野愛衣
窪谷須亜蓮:細谷佳正 井口工:鳥海浩輔
鈴宮陽衣:東山奈央ほか
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