「僕ら芸人も危機感を持たないと…そう思って僕も、YouTubeチャンネルを開設したんです」
――では、昨今テレビで活躍する芸人を凌駕する勢いで人気を集めているYouTuberについて、井上さんはどのように見ていますか？
井上裕介：YouTuberという職種が生まれてから、そんなに時間が経っていないので、あんまり言うのはアレですけど、僕はYouTuberって、タクシードライバーと同じやと思うんですよ。タクシーって、仕事ができるドライバーさんと、そうじゃないドライバーさんとで、乗り心地が全然違うじゃないですか。要するに、YouTuberって、面白い動画を撮ってる人とクソみたいな動画を撮ってる人の差が激しすぎるんですよね(笑)。で、これは渋谷のスクランブル交差点にベッドを持ち込んだ人とかにも言いたいんですけど、“過激＝おもろい”ではないよ、と。僕らの世界でも、過激といわれる芸人さんがいますけど、それは過激さの中にもちゃんと倫理があるから、おもろいわけで。ただ過激なだけっていうのは全然面白くないんですよ。
だいたいテレビだと、放送されるまでにいろんな精査の網を通ってるから、クソみたいな番組は流せませんよね。それは芸人もしかり、プロデューサー、ディレクター、作家、スポンサー…総合チームで作り上げていくから、理論上は、ある程度のクオリティーのものだけが視聴者の元に届くわけですよ。でもYouTuberは、良くも悪くも個人で作ってて、ストッパー的な存在がいないから、出来上がったものは、いいものもあれば、悪いものもある。それは当然の話で。
――では今後、YouTuberも淘汰されていくと？
井上：されていくんじゃないですかね。YouTubeというメディア自体もどんどん市民権を得てきているから、過激なだけの動画はどんどん減っていくやろうし、純粋に「面白い！」っていう動画は増えていくと思います。そこは今後の日本のエンターテインメントを考える上でも、僕ら芸人ももっと危機感を持たないといけないのかもしれない…そう思って実は、僕も遅ればせながら、YouTubeチャンネルを開設したんです。これからはYouTubeもテレビと同じで、“脳みそ”の戦いになっていくんやと思いますね。
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