監督賞は「グランメゾン東京」 吹き替えなしの料理シーン&最終回の涙の舞台裏も!【ドラマアカデミー賞】
美しい料理映像の秘密は、ミラーレス一眼を使った“発明”
――そして、料理の映像が美しいと評判でした。撮影法としてはどんな工夫をしたのでしょうか?
塚原「カメラマンチームから提案してもらって、ミラーレス一眼カメラを使いました。ビデオカメラに比べると小型なので手持ちにして、料理をしている人の手元まで寄せられる。それで早回しをして、料理が完成した瞬間など見せたいところだけは静止してという映像にしたのが、今回の発明でした。
料理の過程はキャストが演じるときだけでなく、その後、照明を組み立てて別撮りもしたので、料理監修の先生たちは一日に何度も何度も準備し料理してくださいました。もう、本当に頭が上がらないです。きっと先生たちも、『このドラマを見てくれた人の中から、ひとりでも多くの料理人が生まれるために』と頑張ってくださったのだと思います」
――それだけ料理シーンにこだわったのは、最初から目標を高く設定していたということでしょうか?
塚原「そうですね。料理のドラマというのはこれまでもあったけれど、作るなら少しでも新しいものにしたいじゃないですか。せっかく今の時代の映像技術があるわけなので…。例えば、調理で出る湯気もひと昔前はCGで作っていたのを、撮影で写し取れないかと工夫しました。そうして少しずつアップデートすれば、時代に取り残されない作品になると思うんです。
ただ、フランス料理は奥が深すぎて、映像では表現しきれないこともありましたね。例えばカタバミの酸っぱさは難しくて、なんとかその微妙な味わいを伝えようとしたけれど、最終的にはあきらめました(笑)」
――塚原さん、青山さんが特に気に入ったメニューは何ですか?
青山「『ナスのプレッセ』です。僕にとってはナスってただの黒い物体だったのになのに、こんなにおいしいとは!という驚きがありました」
塚原「キャストに評判がよかったのは、終盤に出てきた『ハタのロティ』。あのぽろぽろのソースが異常においしいんです。撮影でカットをかけても、みなさん『おいしい』と言って食べ続けていました」