＜池上彰緊急SP＞ウイルスとの闘いの歴史から得た教訓を踏まえ、新型コロナウイルスを徹底解説！
池上彰「ウイルスに“打ち勝つ”のではなく、“共存・共生”を考えなくてはならない」
――収録を終えての感想は？
池上彰：緊急事態宣言が解除されたこの段階で、中間まとめのような形で、これまでに何が分かってきたのか、あるいは治療薬やワクチンとして、どのようなものが、どこまでできているのか、そういったことをキチッと皆さんに伝えることができたんじゃないかと思っています。
皆さん、今、大きな不安を抱えているわけですけれども、“ここまで進んでいるんですよ”ということを明確に伝えることが、皆さんに未来への希望を持ってもらえることにつながる、という番組の趣旨にかなうものになっているかと思います。
――新型コロナとの闘いはまだまだ終わりが見えてこない状況ですが、我々にできることは？
池上：新型コロナウイルスに“打ち勝つ”みたいな言い方をしますけど、ウイルスに打ち勝つというのは非常に難しい。人間というのは、ずっとウイルスと闘い、共存してきました。実は、人間の遺伝子の中に取り込んでいるウイルスもあるんです。
つまり、ウイルスによって人間が進化してきたという側面もあるので、これからはウイルスとの共存、あるいは共生ということを考えていかなくてはならない。治療薬、あるいはワクチンが完成しても、新型コロナウイルス自体がなくなることはないので、共に暮らしていかざるを得ないという“覚悟”は必要ですし、さらに言えば、我々はちょっと傲慢(ごうまん)になりすぎていたのかもしれません。
我々はいろんなことに“打ち勝つ”なんて思っていましたが、やっぱり自然に比べると人類って弱いものだなと思います。これからどんどん環境破壊が進み、温暖化が進んだりすると、また未知のウイルスが出てくるかもしれません。環境を守るということは本当に必要なことだと、改めて思い知らされたんじゃないでしょうか。
――第2波に向けて、政府や国に期待していることは？
池上：やはり、経済も大事、感染防止も大事、という中で、“経済が大事”ということの方に重きを置きすぎているのではないか、という不安はあります。
第2波をどうやって抑えるのか、あるいは第2波が起きそうになったら、いち早く元に戻れるのか。その時に、国民にどれだけ説得力のあるメッセージを発信できるのかを、しっかり考えてほしいと思っています。
この記事はWEBザテレビジョン編集部が制作しています。
5月31日(日) 夜8:00-9:54
フジテレビ系にて放送
