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<西野亮廣>ゴミ人間〜『えんとつ町のプペル』誕生の背景と込めた想い〜「時代が変わった日」【短期集中連載/第6回】

2020/09/28 18:30

レストラン型からBBQ型へ


この時期、他でもクラウドファンディングの企画を走らせていたのですが、少し前から薄っすらと感じていた「時代の変化」が、徐々に確信へと変わっていきます。

「お客さんが、発信したがっている」

これまでのエンターテイメント(サービス)は、「発信者」と「受信者」が明確に分かれていました。これまでのお客さんは、できるだけ高品質の商品を、なるべく低価格で求めていたのですが、クラウドファンディングを繰り返しているうちに、どうやら最近は、そうとも言い切れない。

試しに、僕のイベントのチケットを、値段の安い順から「B席」「A席」「S席」「スタッフになれる権」で販売してみたところ、最も値段が高い「スタッフになれる権」が一番最初に売り切れました。その後、何度も試しましたが、何度やっても、やっぱり「スタッフになれる権」が一番最初に売り切れます。

どうやらお客さんは発信したがっている。しかも「お金を払ってまで」。理由は、まず間違いなくSNSでしょう。皆、「いいね」が欲しいし、「フォロワー数」を増やしたい。こうなってくると、「○○のイベントに行ってきました」というツイートよりも、「○○のイベントは私が作りました」というツイートが欲しくなってきます。

2014年頃。時代は、プロが作ったものをお客さんにお出しする「レストラン型」から、お客さんが食べたいものをお客さんが作る「BBQ型」へとジワジワと移動し始めていました。時代がプロに求めている仕事は、発信したがっているお客さんの横に寄り添う「サポート役」で、当時、この重大な変化に気がついている(受け止められている)プレイヤーはいませんでした。世間的には、まだまだプロの役割は「発信する人」で、「制作段階からお客さんを巻き込む」なんてもっての他。あいかわらず、「情報解禁日」を設け、「受信者」と「発信者」をキッチリと分けています。そして、そのことに誰も疑問を抱いていませんでした。このとき、僕は初めて思いました。

「あ。時代を取れるかも」

あの時、もっとやれることがあったのかなぁ。


それから、自分が仕掛けている様々なエンタメを「BBQ型」へ作り直してみることにしました。「情報解禁日」をなくして、「著作権」を曖昧にして、講演会を自分で主催することを止め、クラウドファンディングのリターンで「西野亮廣講演会を開催できる権」を出しました。「お客さんが講演会を主催して、お客さんがお客さんを呼ぶ」という建て付けです。

事務作業ができる権利をお客さんに販売することはしませんが、「発信しがいがある仕事の参加券」は積極的に販売しました。東京タワーやエッフェル塔で開催する個展の設営スタッフなどです。誰もいない夜のエッフェル塔で、お客さん(オンラインサロンメンバー)と共に個展会場の設営ができたのは今もイイ思い出です。設営の途中に、酔っ払いがエッフェル塔の鉄骨を登り始めて、エッフェル塔は一時封鎖。100名近い警察が駆けつける騒ぎとなりました。搬入作業を2時間近く止められてしまった僕らは、エッフェル塔の展望室からパリの街を眺め、「この調子だと、明日は早朝から作業をしないと間に合わないね」と笑いました。楽しかったな。

「お金を払ってでも製作に参加したい」セカンドクリエイターたちと共に2019年に開催した、エッフェル塔での個展の様子
「お金を払ってでも製作に参加したい」セカンドクリエイターたちと共に2019年に開催した、エッフェル塔での個展の様子


それもこれも「制作段階からお客さんを巻き込む」と決めたから生まれたエンタメで、それらは全て、絵本『えんとつ町のプペル』のクラウドファンディングで学んだことを転用させたものばかり。絵本『えんとつ町のプペル』のクラウドファンディングは僕の表現活動の在り方を根本からひっくり返しました。

その後、「作品作りに携わりたい」「イベント運営に携わりたい」という声は止まないどころか、日に日に大きくなっていきました。その一方で、(特に年輩者から)「お客さんにお金を払わせて、お客さんに働かせるとは何事だ!」という批判も根強く残ります。「やりがい搾取だ」と言う人もいました。

下に続きます
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◼︎『映画 えんとつ町のプぺル』特報【12月25日公開】

PROFILE●1980年、兵庫県生まれ。芸人・絵本作家。1999年、梶原雄太と「キングコング」を結成。2001年に深夜番組『はねるのトびら』のレギュラー出演決定と同時に東京進出を果たす。同番組がゴールデン枠に移行した2005年に「テレビ番組出演をメインにしたタレント活動」に疑問を持ち、「自分の生きる場所」を模索。2009年に『Dr.インクの星空キネマ』で絵本デビューを果たす。2016年、完全分業制による第4作絵本『えんとつ町のプペル』を刊行し、累計発行部数48万部を超えるベストセラーに。2020年12月公開予定の『映画 えんとつ町のプペル』では脚本・制作総指揮を務める。クラウドファンディングでの合計調達額は3億8000万円を突破。現在、有料会員制コミュニティー(オンラインサロン)『西野亮廣エンタメ研究所』を主宰。会員数は7万人を突破し、国内最大となっている。芸能活動の枠を越え、さまざまなビジネス、表現活動を展開中。

◼︎オンラインサロン「西野亮廣エンタメ研究所」
https://salon.jp/nishino
西野が考えるエンタメの未来や、現在とりかかっているプロジェクトを先んじて知れたり、場合によってはクリエイターとして強引に参加させられたりする国内最大の会員制のコミュニケーションサロン。コワーキングスペース「ZIP」の利用やサロンメンバーだけでの特典も多数。

画像一覧
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  • 映画『えんとつ町のプペル』(12月25日[金]公開予定)誕生の背景とそこに込めた想いを語る連載第6回
  • 【画像を見る】映画『えんとつ町のプペル』より。製作は佳境に入り、ルビッチ(画像)ほか主要キャラクターの声優陣もまもなく発表予定
  • 2016年、絵本『えんとつ町のプペル』の個展開催のために行ったクラウドファンディングの画像。6000を超える人たちがこのプロジェクトを支援した
  • 「お金を払ってでも製作に参加したい」セカンドクリエイターたちと共に2019年に開催した、エッフェル塔での個展の様子

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