【試写室】「天使と悪魔」の魅力は圧巻の映像と音楽！
毎週金曜に放送中の剛力彩芽主演ドラマ「天使と悪魔－未解決事件匿名交渉課－」(テレビ朝日系)。視聴率こそ第1話が6.4％、第2話が5.5％と伸び悩んでいるが、果たして数字ほど低調なドラマなのだろうか。
4月24日(金)の第3話放送を前に、一足先にDVDを見せてもらった記者なりにドラマの見どころを紹介する。(数字はビデオリサーチ調べ、関東地区)
同ドラマは、天使のような警察官・ヒカリ(剛力)と悪魔のような弁護士・茶島(渡部篤郎)がタッグを組み、司法取引を用いて未解決事件を解決していく本格ミステリー。
これまで「時効警察」('06年ほか)シリーズや「特命係長・只野仁」('03年ほか)シリーズなど、コメディーやセクシー路線のドラマがスタンダードだった金曜ナイトドラマ(夜11:15)枠としては“変化球”とも言うべき正統派なドラマとなっている。
第1話は、1年前にキャバクラ嬢・野沢なつみ(杉本有美)が刺殺され、容疑者として浮上した政治アナリスト・吉川毅(飯田基祐)が失踪したため未解決となった事件。
第2話では、3年前に起きた「大葉総合病院」の入院患者・堺洋二(春海四方)が腫瘍摘出手術を終えた日の夜、何者かによって病室で刺殺された事件を、それぞれ違ったやり方で司法取引を用いて見事に解決した。
第3話は、5年前に厚生労働省の職員・橘(尾関伸嗣)の焼死体が見つかった事件を調べる。ヒカリと茶島は、当時の状況を確かめるため、橘の妻・沙知絵(雛形あきこ)の元へ。
彼女の話によると、橘は出張で家を空けることが多かったものの、家族を大切にする優しい夫だった。茶島は殺害の手口から、橘を恨む人間による犯行の可能性を疑うが、沙知絵はこれも否定。橘の大学時代の後輩と名乗る柴田安則(高橋洋)を解決の糸口にして、事件の裏に潜む闇を暴いていくというストーリーだ。
第1話、2話を見た時にも感じたが、このドラマの魅力は何といっても圧倒的な映像美。映画化もされた大ヒットシリーズ「SP 警視庁警備部警護課第四係」('07年ほか、フジ系)や、テレビ朝日で「BORDER」('13年)のメガホンを取った波多野貴文監督を筆頭に、多数のヒットドラマを手掛けた演出陣がそろい、まるで映画を見ているような錯覚に陥るほどの迫力と美しさが体感できる。
ストーリー本線を追えていなくても映像だけ見ていても楽しめる仕上がりとなっている。ちなみに第3話は植田尚監督。
そして、映像だけでなく随所に心を躍らされる要因となっているのが劇中音楽。「ストロベリーナイト」('12年ほか、フジ系)シリーズや、「リーガル・ハイ」('12年ほか、フジ系)シリーズなどの音楽を手掛けてきた林ゆうき氏が今作の劇中音楽を担当している。
物語の重厚感をさらに増すばかりか、凄惨なシーンの悲しみ・怖さをより増幅させる効果を与えており、何か他のことをしながら“流し見”していても一気にドラマの世界に引き戻されるような、ソソる音楽となっている。
その他、渡部演じる茶島がバーで一人飲んでいるところに美女が声を掛けてくる「お金持ちあるある」シーンや、宇崎竜童演じる特任検事長・神楽坂と茶島の「THE重厚！」シーンなど、見どころはたくさんあるが、個人的に一番面白いなと思ったのは、事件を解決するために茶島がある人物に司法取引を持ち掛ける佳境のシーン。
第1話、第2話では「そんなこといけません！」と昭和のヒロインばりの気概で茶島を制していたヒカリだが、第3話では黙認するばかりか、司法取引を持ち掛けられて戸惑う相手に司法取引を促していた。
100％天使な人間はいない、とある哲学者が言っていたが、ヒカリの中に抱える闇の一面が茶島によって引き出されたのかもしれない。今後のヒカリの変化にも注目してドラマを見たいと思わせる瞬間だった。この先も毎回司法取引のシーンは出てくると思われるが、どういう相手にどういった取引を持ち掛けるのか。決して1パターンでは終わらなそうなドラマになりそうだ。
まだ見たことがないという人は“悪魔”に魂をささげたつもりで、だまされたと思って一度見てみよう。キャストの演技はもとより、ドラマの映像美と音楽、そして広がりのあるストーリーに続きが気になること請け合いだ。
この記事はWEBザテレビジョン編集部が制作しています。
毎週金曜夜11:15-0:15
テレビ朝日系で放送
※一部地域では放送時間が異なる
