中村倫也“日悪”は「日本映画でなかなか見ない映画」
公開中の綾野剛主演映画「日本で一番悪い奴ら」でメガホンを取った白石和彌監督が、7月2日より実施中の“7日間連続トークイベント”。
その第4弾が7月5日に新宿バルト9にて行われ、本作で主人公・諸星(綾野)を違法捜査へと追い込んでいく上司・岸谷を演じたみのすけ、諸星の後輩の新米刑事役として、悪に汚れていく諸星が警察に入ったころの純粋さを思い出す重要なシーンを演じた・中村倫也が登場した。
自身2回目の鑑賞後に舞台あいさつに登壇したみのすけは「2回見ると違った感じがして、ゆうばりに行った後の悲しみがグッと増しました」と語ると、中村も「台本を読んでいた時よりも衝撃的で、面白くなっていたのでうれしかった」と、まずは本作について率直な感想を述べた。
みのすけの起用理由は「銃器対策課は、コメディー要素があるパート。ナイロン100℃(演劇集団)でいつもひょうひょうとしているみのすけさんが好きで、ハマるんじゃないかなと思って」と、白石監督は明かす。
みのすけは演じた役について「とてもやりやすかった」といい、「せりふがスラスラ入ってくる感じ。岸谷の中では筋が通っているんだけど、言ってることがおかしい。自然体で演じた」と語った。中村の演じた新米刑事は白石監督いわく「唯一の良心」だそう。
中村は「諸星の若いころの新米時代にフラッシュバックというか、そういう役割でいたいと思って演じました」といい、「新人で捕食されるような動物の眼をしていたけど、この後、組織の悪に染まっていくんだろなと思っていました」と自身の役どころを語った。
また、みのすけの撮影初日は岸谷が諸星と黒岩(中村獅童)と共にエレベーターで降りていくシーンだったそうで「1回テストしてワンテークでOKだった。その時に『この映画は成功する！』と確信した。その場の空気感が映像になることは、成功の秘訣(ひけつ)だと思って」と撮影現場を振り返った。
中村の撮影初日は、大規模なおとり捜査を決定する“日本で一番悪い会議”シーン。「本当バカでしたね。何だろう、これはっていう初日でした」と振り返り、みのすけも「銃器対策課はナンセンスファミリーですよね。全員が間違っていることを本気でやっている。すごい楽しかったけど、俯瞰して見るとおかしいですよって」といい、白石監督があまりに笑い過ぎて声が入ってしまったため、NGを出したというエピソードも飛び出した。
さらに、「監督はカットをかけない。続けることで生まれるものがある」とみのすけが監督の撮影手腕を明かし、中村は綾野の提案からミネラルウォーターをかけられることになったなど、現場ではアドリブも豊富に取り入れられていたという。
ちなみに白石監督と中村はネットドラマ「女子の事件は大抵、トイレで起こるのだ。」('15年)に続く、2度目のタッグ。前作から白石監督が中村に対して感じていたのは「芝居がうまいのは当たり前で、スケール感がある」ということだそう。
「引き出しの多さもさることながら、同じ芝居を9割9分の確率で同じことができるんです。ぶれない芝居はやろうと思えばできる役者も多いのですが、テンションや新鮮さを保つのが難しいんです。でも、中村君はそれができるんです！ ハリウッド俳優として活躍する条件の一つは、それなんですよ。だから、ハリウッドに進出しなよ！」と監督から提案が入るも、中村から「監督が先にハリウッド進出して呼んでください！」と返され、白石監督は前日のトークショーに続いて再びハリウッド進出を熱望されていた。
最後に「日本映画でなかなか見ない映画です。バラエティーに富みつつも力強い作品になっています。いろんな人に見てもらいないなと思います」(中村)、「原作を読んだ時は、こんなものを映画にしていいのか？ まずいんじゃない？ と思ったんですけど、台本ができたときに、前半笑えて。最近、こういうテイストの映画がなくなっちゃってると思うんですよ。悪いことやエロが今は封印されていて、昭和から映画を見てきている人間は物足りないと感じる映画が増えてきている。
この映画を見て、『蘇える金狼』('79年ほか)を思い出したんです。なので、昔の映画を見るきっかけになったらいいなと思います。最近で一番の映画！ 抜きんでていると思います！」(みのすけ)と絶賛の言葉を残し、イベントは終了した。
この記事はWEBザテレビジョン編集部が制作しています。
全国ロードショー中
【公式HP】http://www.nichiwaru.com/
