金澤克彦のSNS
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1・4の主役は海野…炎上!?
新日本プロレス・オフィシャルスマホ(web)サイトの不定期連載、『号外!‟GK”金沢克彦の新日本プロレス通信』が16日…
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11・24イベントで全て語ります
『‟プロレスBARカウント2.99旗揚げ14周年記念”金沢克彦ガチンコトーク2024』開催までカウントダウン。 14年…
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読売新聞オンラインでも書評
昨日(11月7日)、読売新聞オンラインのほうにも『My Dream』ジュリア自叙伝の書評が掲載された。 見出しは、こう…
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週刊新潮にもジュリア自伝書評
10月31日(木)発売の週刊新潮にジュリア本『My Dream』ジュリア自叙伝の書評が2分の1ページを割いて掲載された…
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三上大樹アナウンサーを偲ぶ。
10月5日、テレビ朝日の三上大樹アナウンサーが逝去した。享年38。 あまりにも突然。あまりにも若すぎる。 …
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11・24大阪ガチンコトーク開催
あっという間に、今年もこんな季節がやって来た。 「ヒリヒリした9月を過ごしたい」 そんな大谷翔平の夢が叶って、もうヒリ…
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棚橋弘至、電撃引退発表
大盛況で幕を閉じた新日本プロレスの10・14両国国技館大会を今回も新日本プロレス・オフィシャルスマホサイトにて総括。 …
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週刊文春にジュリア自叙伝書評
本日発売の週刊文春の1ページ書評欄「今週の必読」にて、『My Dream ジュリア自叙伝』の書評が掲載されている。 …
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ザックが頂点獲り!
10・14両国国技館大会メインイベントで行なわれたIWGP世界ヘビー級選手権。 IWGP世界ヘビー級王者・内藤哲也を『…
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青野未来、K点越えの大激闘!桜井はジュリアの幻影に圧勝‼
「マリーゴールドの9・28名古屋最終戦が凄い興行だった」 「青野がリミッターをハズした! 桜井が素晴らしかった!」 周…
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凄絶なる鷹木vsHENARE
新日本プロレスの9・29神戸ワールド記念ホール大会を新日本プロレス・オフィシャルスマホサイトで総括している。 今大会は…
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アントニオ猪木命日の翌日…
先だってアントニオ猪木の三回忌法要が営まれた。昨日、10月1日が猪木さんの二度目の命日となる。 そして、同じく現地時間…
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読売新聞にジュリア登場
ジュリア自叙伝『My Dream』(発行・ホーム社、発売・集英社)が、25日発行の読売新聞・夕刊の書評コラム『カリスマ…
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ジュリアはアントニオ猪木の生まれ変わり!?
8月28日、闘道館をお借りしてワタクシ金沢が取材を受けた〝Show”大谷泰顕氏によるインタビューのYouTubeがアッ…
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未亡人vs貴婦人
マリーゴールドで開催中の『DREAM★STAR GP 2024』は、来たる9・28名古屋国際会議場大会で最終戦を迎える…
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新日本プロレス・オフィシャルスマホ(web)サイトの不定期連載、『号外!‟GK”金沢克彦の新日本プロレス通信』が16日に更新された。 第112回のテーマは、11・4エディオンアリーナ大阪大会の総括。 ■写真提供/新日本プロレス AEW副社長であるケニー・オメガによる1・5ドーム復帰宣言と、『SUPER Jr. TAG LEAGUE 2024』優勝決定戦、IWGPジュニアヘビー級選手権、IWGP GLOBALヘビー級選手権、IWGP世界ヘビー級選手権の4試合を総括している。 そのなかで、もっとも大きなテーマとして記したのは、メイン終了後、王者ザック・セイバーJr.に海野翔太が次期挑戦をアピール、さらにAEWのリコシェが突如乱入しザックとの対戦を迫ったパフォ―マンス。当然、リング上はカオス状態となった。 ■写真提供/新日本プロレス 結果的に、新日本プロレスは来年のドーム2連戦のカードを決定。1・4東京ドーム=ザックvs海野によるIWGP世界ヘビー級選手権。1・5東京ドーム=ザックvsリコシェのスペシャルシングルマッチ。 そこで何よりもクローズアップされ、新日本ファンの間で喧々諤々の論争を呼んでいるのが、今年とくに実績を残していない海野の挑戦が決定したこと。 エディオンアリーナ大阪の会場でも、海野が花道ステージに姿を現すとブーイング。さらには、「帰れ」コールまで飛び交った。 マイクを持って挑戦アピールをすれば、またブーイング。リコシェの襲撃を受けたザックにデスライダーを見舞えば、またまた大ブーイングを浴びた。 いまや、もっともブーイングを浴びる男として、新日本マットのナチュラルヒールと化している海野。 その現象に関して、私なりの見解を記してみた。 時代をさかのぼれば、中邑真輔、棚橋弘続きをみる
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『‟プロレスBARカウント2.99旗揚げ14周年記念”金沢克彦ガチンコトーク2024』開催までカウントダウン。 14年連続14回目の開催となるワタクシ金沢のトークイベントが、11月24日(日)、17時から大阪ミナミのカウント2.99で行なわれる。 ◆昨年の11・26ガチンコトークの集合写真。チケット完売、札止めに感謝! 今回は、最後のパブリシティの意味合いも込めて、トークのテーマと内容を記してみたいと思う。 「ガチンコトーク」というタイトルに恥じないように、今回も忖度なし、気兼ねなし、本音でしゃべり倒すつもり。 1.変わりゆく新日本①オカダのAEW移籍から考える世界のプロレス事情。3年20億円の大型契約に海外流出を止められなかった新日本、はたして今後もAEWへ移籍する選手は出てくるのか?②内藤を中心としてきたIWGP戦線の激変1.4東京ドームをハポンの大合唱締めでスタートした内藤政権だが、モクスリーに敗れベルト海外流出、奪還後にG1覇者ザックに敗退。コンディションの不安が囁かれる内藤に陰りが見えてきた中で外国人天下となりつつあるIWGP世界ヘビー王座の行方と展望は?③棚橋引退発表から新世代へのバトンタッチ2026.1.4東京ドームでの引退を表明した棚橋、絶対的エースの後継者は誰か?大ブーイングを浴び、SNSでもたたかれる海野翔太の1・4メイン出場の是非。欠場中の上村か? 実績を残した辻か? あるいは大岩の急台頭は?『G1』開催中にグッズ売上げ№1を記録したKONOSUKE TAKESHITAの今後は?④2025年イッテンヨン、イッテンゴの展望。発表済みカード以外のサプライズ参戦はあるのか?オカダ、モクスリー、ジェイ・ホワイトは出場不可能なのか? 2.NOAH①清宮一強の2024年ジェイクからGHC王座奪還後、盤石の防衛ロード、Nー1優勝も果たした清宮。9・1大会を解説した小川良成から痛烈なダメ出しもあったが、清宮一強でいいのか?清宮の本当のライバルとなりえる人材は出てくるのか?②WWEとの提携の気になる中身AJスタイルズ参戦、NXT勢が参戦したNー1、稲村のNXT参戦など、WWEとの関係を紐解く。シンスケ・ナカムラ(中邑)1・1元日参戦に伴うイッテンイチの展望。 3.全日本、その他の団体皆さんの質問にお答えします。 4.スターダム①大量離脱とリカバリー1月、ロッシー小川EP電撃解雇はなぜ起こったのか?3月末でのスターダム所属5選手退団の真相とは?それに伴うブシロードの動きとリカバリーの内容とは?②岡田社長新体制の開国路線豊富な人材を擁しながら仙女、WAVE、アイスリボンなど、他団体との開国に踏み切った岡田社長の思惑とは? 5.マリーゴールド①明るい?苦難?の旗揚げスターダム5選手に、アクトレスガールズの選手が合流。ロッシー小川氏の「引き抜き」問題の真実とは?ジュリア大怪我の旗揚げ戦から両国のイヨ・スカイ登場までを考察。②ジュリア退団後のマリーゴールドポストジュリアは誰なのか? 2025年のキーパーソンは?1・3大田区総合体育館大会にWWEからの参戦はあるのか? 6.WWE(イヨ、カイリ、ジュリア)ジュリアのNXT登場、ジュリアはどこまで上り詰めるのか?ジュリアのWWE参戦を他の女子スーパースターはどう見ているのか? 7.TAKAYAMANIA関係者、ファン絶賛の9・3『TAKAYAMANIA』にモノ申す。 8.『極悪女王』と『My Dream』ジュリア自叙伝①ネットフリックス『極悪女王』はどこまでフィクションで、どこがノンフィクションなのか?②ジュリア自叙伝制作の一部始終を明かす。なぜ、『My Dream』はプロレス業界からスルーされ、その一方でメジャーな一般メディアから絶賛されるのか? 9.プロレス大賞2024①東京スポーツ・プロレス大賞の予想。②GK金沢克彦選定の男女別『ときめきプロレス大賞2024』事前発表。③男女別プロレス大賞の絶対的な必要性を解説。 10.質疑応答時間の許すかぎり、どんな質問に続きをみる
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昨日(11月7日)、読売新聞オンラインのほうにも『My Dream』ジュリア自叙伝の書評が掲載された。 見出しは、こう打たれている。 熱くて悔しい女子プロレスバトル…昭和の「極悪女王」と令和の女王ジュリアの悪夢と葛藤 1980年代の女子プロレスブームを描いたネットフリックスの話題作『極悪女王』とジュリア自叙伝を対比しつつ、時代を超えて女子プロレス界に共通するドラマを論評している。 評者は、読売新聞編集委員の祐成秀樹(すけなり・ひでき)氏。 祐成編集委員は、ジュリアの文才とエピソード選択の巧みさや、人物描写の上手さ、女子プロの特質を言い当てた一文などを絶賛している。 そして、描く時代は違っても女子プロレスラーの波乱万丈と熱い魂をつづっていることに共通点を感じると。 ◆プロレスラーを目指しキャバクラで働いていた頃のジュリア(写真・本人提供) こういった論評を読むにつけ、ことし世間に向けて女子プロレスの魅力とグレーな部分に関する問題提起を行ない、業界にも一石を投じた作品は『極悪女王』とジュリア自叙伝『My Dream』だよなあ。あらためて、そう感じるのだ。 無論、『極悪女王』に関しては作品じたいにフィクションという但し書きが付いている。ただ続きをみる
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10月31日(木)発売の週刊新潮にジュリア本『My Dream』ジュリア自叙伝の書評が2分の1ページを割いて掲載された。 評者はライターにしてプロインタビュアーにして書評家にして、女子プロレス大好き人間でもある、私と旧知の吉田豪氏。 見出しは……『高円寺のキャバクラ嬢が女子プロレスのスター〈美しき狂気〉になるまで』……と、まんまなのであーる。 まあ、そのストレートさが豪さんらしくもあるのだ(笑)。 本文から引用するカタチで解説を入れていくのが彼のスタイルだが、まずジュリアがプロレスファンであるキャバクラの常連客に誘われプロレス観戦に出向き、徐々にプロレスにハマっていく。 さらに、「私ってどんな仕事に向いていると思いますか?」と尋ねたところ、「キミはプロレスラーに向いていると思う」と予期せぬ回答をもらう。 そこから、実際にプロレス業界へと飛び込んでいく。紆余曲折、波乱万丈のプロレス人生を歩むなか、世界最高峰の団体であるWWEにたどり着く――。 そして、豪さんの結論、締めはこうなる。 「キャバクラの同伴客、見る目ありすぎ!」 やっぱり、豪さんらしい。たしかに、そこがこの自叙伝のキモでもあるからだ。 なぜなら、その偶然の出会いがなければ、プロレスラー・ジュリアはこの世に存在しなかったのだから。 それにしても、読売新聞(夕刊)、週刊文春につづいて、週刊新潮でも書評が掲載された『My Dream』ジュリア自叙伝。 プロレスラーによる自叙伝がこういう大手一般紙(誌)で次々と取り上げられるのは初めてのことだろう。 「プロレスファンより、むしろ一般の人に読んでもらいたいんです」 昨年11月末、初めてジュリアから出版に関する相談を受けたとき、彼女は私に自叙伝の趣旨、モチベーションを熱くそう語った。 ジュリア自身もそれを意識して原稿を書き進めていったし、私も一般の人に理解できる内容を重視してアドバイスを送ってきた。 結果として、ジュリア本は充分に世間へ届く内容に仕上がった。それが、こういうカタチで証明されたと思うのだ。 そこを考えると、反対にプロレス業界内ではそれほど話題にもなっていないし、プロレスマスコミからの反響、あるいは評価などほとんど見た記憶がない。 だから、けっこうガッカリした部分もある。試合そのものや自分たちのメディアによるインタビュー記事以外は他人事。プロレス村からするとそういうことになるのだろう。 やはり狭い世界だなあ。これでは、村から脱却できるわけもないだろう。そういう思いが湧いてくるのだ。 ひとりのトップ女子レスラーが自分の生い立ちを赤裸々に綴った。プロレス界の問題点、課題となる事項を遠慮なく指摘した。しかも、ブックライター(ゴーストライター)なしで、自分自身の手によってすべての原稿を書いている。 これって、そうとうな快挙だと思うのだ。それでも業界マスコミ的には無関係だとスルーしてしまう。私にはそうとしか映らないのである。 できるだけ一般の人にも読んでもらいたい――。まあ、そういうジュリアや私の思いはなんとか届いたのかも?世間一般を代表するような大手マスコミ紙(誌)が扱ってくれたのだから、とりあえずよしとしておこう。 さて、もちろんジュリアはWWE(NXT)で次なるステージへ挑戦中だ。8月23日に本が発売されてから、すでに2ヵ月以上も経過している。 版元(出版社)探しから始まって7カ月以上も自叙伝の制作に関わってきた私からしても、もう随分と昔の出来事に感じてしまう。 ただ、せっかく『My Dream』の書評が掲載されたこともあるので、このタイミングでいままで一度も明かしていない裏話を書いてみたい。 それは、表紙制作に関するエピソード。 自叙伝の本文に関してはマリーゴールド旗揚げ戦、あとがきをふくめた後送分を6月15日前後にすべて入稿している。 それ以前に、表紙撮影&表紙制作の必要に迫られていた。撮影リミットは、5月いっぱい。5月に入ってから、ホーム社担当のWさんと私で表紙のイメージを考えいろいろなアイディアを出し合ってきた。 1月当初からジュリアも交えてのミーティングのとき、試合コスチュームはナシということですでに合意していた。 Wさんが早い時期から提案して続きをみる
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10月5日、テレビ朝日の三上大樹アナウンサーが逝去した。享年38。 あまりにも突然。あまりにも若すぎる。 ●2015年1月、『ファンタスカマニア』後楽園ホール大会にて。 訃報を聞いたのは7日午後だった。新日本プロレス中継に携わっている旧知のテレビ朝日スタッフからの電話。 「金沢さん、じつはお知らせしたいことがありまして……」 もう、この瞬間に心臓がバクバクするのを感じた。 3年前の8月にも、新日本プロレス中継担当者から同じような電話を受けたことがあるからだ。長年にわたり新日本プロレス中継のディレクター(アドバイザー)を務めていたフリーの海谷善之さんが新型コロナウィルスに感染し死去したとの報告。 あのときと、まったく同じような語り口であったから。 「2日前にアナウンサーの三上が亡くなりまして……」 驚きを通り越して呆然。同時に、釈然としない怒りが湧いてきた。 よりによって……そりゃないだろ!まだまだ若いじゃないか!それに、つい最近までテレビで彼の声を聞いていたぞ。 翌8日に、テレビ朝日から正式に訃報が伝えられた。死因は病死。遺族の方々の思いを汲んでそれだけに止めている。 最後の仕事は9月13日、『報道ステーション』のスポーツニュースのナレーションだった。 今回、この訃報に際してなにか書いていいものかどうか、当然逡巡があったし、私なりにかなり考えてきた。 テレビ朝日でも、三上アナウンサー死去に関してニュース等ではいっさい伝えることがなかった。 『ワールドプロレスリング』中継でもそれはなかったし、新日本プロレスの会場でも10カウントゴングなどの追悼セレモニーなどを行なうことはなかった。 すべては、遺族の思いを汲んでのものなのだろう。 直接関わりの深いテレ朝関係者は多くを語ることを自重している。だから、三上アナへの思いを胸にしまい込んで偲ぶことしかできない。 ただ、私の立場ならそれを書いても許されるような気がした。 新日本プロレス中継に約18年半レギュラー解説者として関わったOBとして、三上アナとも10年半にわたり何十回と放送席で一緒に仕事をしてきた仲間として、彼との思い出、その人となりに関して書くことは悪いことではないと判断した。 それ以上に強く思ったのは、三上大樹という人物がスポーツアナウンサーとして真っ直ぐに生きてきた証を何らかのカタチで世に残すために記しておきたい。いや、なにか記す義務があるのではないか?ずうっと、それを考えてきたのだ。 三上アナが急な体調不良を訴え病院で検査を受け、そのまま入院したのは9月半ばのことだった。それから数日後に突然、重篤状態に陥ってしまったという。 それ以降の半月余、彼は病気と闘った。もともと高校球児であり、早大時代にも準公式野球部で活躍していたスポーツ青年。 体力もあったし、いつも元気な姿しか見てこなかった。そんな彼でも、病魔に打ち克つことはできなかった。 通夜は10日、葬儀は11日に都内の斎場で営まれた。私は通夜のほうに出向いた。 最後に彼の顔を見て、しっかりとお別れの挨拶をしたい。そういう思いもあって、焼香がはじまる1時間前に斎場に出向いた。 テレ朝『ワールドプロレスリング』実況アナウンサーの皆さん、また遺族の方たちのご厚意で三上アナと対面することができた。 棺でねむっている三上アナはきれいな顔をしていた。入社当時から、端正な顔立ちのイケメンアナと呼ばれていた彼そのまま。 「まっさらだなあ」 合掌しながら、やはりそう思った。三上アナは、先輩から可愛がられ、後輩からは慕われ尊敬されていた。 実直。誠実。真面目。一生懸命。 ありきたりの言葉ながら、それらがすべて当てはまる人物。 ただ、私はそこにもうひとつプラスアルファの印象を抱いていた。 まっさらな男。 新人アナウンサーの時代からそう感じていたし、キャリアを積んでからもその印象が変わることはなかった。 実況に癖がないので聞いていてじつに心地よい。14年以上のキャリアを積んでも、それは変わらない。だからこそ、いまも無限大のノビシロを感じさせてくれる。そういうスポーツ実況アナウンサーは稀だと思う。 まっさらなアナウンサー。 新日本プロレス中継だけではない。 プロ野球中継、2023年『ワールド・ベースボール・クラシック』中継、熱闘甲子園、Get SPORTS、今年のパリ五輪など、三上アナの実況、ナレーションから感じたのはいつもそういう感覚。 冷静で的確な語り口をベースとして、ここ一番では熱い気持ちを爆発させる。 そのメリハリと熱量の使い分けが見事だった。 さかのぼると2009年・テレビ朝日入社の三上アナウンサーは周囲からみると、いわゆるエリート新人だった。 彼のお父さんは、今年6月までTSP(東京サウンドプロダクション)の代表取締役社長を務めていた三上信一さん(現・取締役相談役)である。 TSPはテレビ朝日の子会社として番組制作全般に関わる大手プロダクション。もちろん、『ワールドプロレスリング』をはじめとして各新日本プロレス中継にもTSPの多くのスタッフが関わっている。 研修期間を経てから三上アナが『ワールドプロレスリング』に正式配属となったのは、2010年6月のこと。 TSPから『ワープロ』中継に参加しているスタッフさんたちからすれば、新人アナウンサーながら社長の息子さんと一緒に仕事をすることになる。 こういうケースは珍しいので、当時は格好のネタになった。 当然ながら新人の三上アナを特別扱いすることはないのだが、先輩アナウンサー陣とTSPスタッフの間では、しばらくその話題でよく盛り上がっていたものだ。 三上アナ本人はそのネタを直接振られると、ひたすら照れて苦笑いするばかり。ある程度覚悟していたであろうが、もう苦笑いするしか他にないだろう。 先輩アナによる愛情あふれるイジリと知りながら、あれだけイジられるとバツが悪かったのかもしれない(笑)。だけど、私には「まっさら」な性格で聞き流していたようにも感じた。 話は通夜の日に戻る。物凄い数の弔問客で斎場はいっぱいになった。プロレスラーでは、蝶野正洋、永田裕志が焼香に訪れていた。その他、スポーツ界から松岡修造さん、北島康介さん、内川聖一さん。 焼香のために並んでいた弔問客の列は100メートル以上にも及んだ。焼香の間際、たまたま私の隣にひときわ長身の人物が立っていた。横から見上げると、元メジャーリーガーの藤波晋太郎投手だった。 焼香前にも焼香を済ませたあとにも、旧知の『ワープロ』アナウンサー陣や、歴代のディレクター、スタッフなどと語り合った。 驚き、悲しみ、思い出……。おそらく皆さん、もうさんざん泣いたのだろう。通夜の席では毅然とした振る舞いで涙を見せることはなかった。 斎場の受付け横に三上アナを偲ぶ展示品を見つけたので、許可をいただいて写真に収めさせてもらった。三上アナの遺影とともに、ユニホームとTシャツ。侍ジャパンのユニホームには野球関係者が署名している。 『ワールドプロレスリング』Tシャツには、〝テレ朝魂”とレジェンドアナウンサーの田畑祐一さんが記し、その周囲に『ワープロ』関係者を中心に多数の寄せ書きメッセージ。 これまでも『ワープロ』スタッフが勇退する際には、寄せ書きTシャツを贈呈するのが恒例行事となっていた。 ただし、こんなにも悲しく辛い寄せ書きをしたためるのは初めてだろう。 焼香がひと段落したころを見計らって、吉野真治アナウンサーがこの額縁を一旦外した。もう一度Tシャツを取り出して広げると、私や元ディレクター、元スタッフなどに声を掛けてくれた。 「金沢さん、戸澤さん、亮太さん……みなさんもメッセージを書いてあげてください!」 吉野アナによる粋な計らいだった。そう、『ワープロ』スタッフの結束は固い。私の場合、2021年の1・4東京ドーム大会をもって卒業しているが、いまだって、彼らとは戦友であり同志であることに変わりはないのだ。 「初MAのこと忘れないよ! GK金沢」 簡潔に、そう書かせてもらった。三上アナは、2010年5~6月に開催された『BEST OF THE SUPER Jr.』で実況デビューしている。 その実況デビュー直後のことだった。都内・六本木のスタジオでワープロの初MAに臨んでいる。そのとき、解説者としてコンビを組んだのが私だった。 MAというのは、あらかじめ編集済みの映像に、あとから実況&解説、ナレーション、音楽、効果音などを入れ完成形にする作業のこと。 2000年代半ばまで新日本プロレス中継はテレ朝の独占放送で、生放送はスカパー!PPV中継で放送されることが多かった。 その後、2004年当時からサムライTVでの生中継が加わるようになってから、『ワールドプロレスリング』本放送用にMAが行なわれるようになった。試合映像にテレ朝アナウンサーと解説者があらためて実況やナレーションを後入れするようになったのだ。 また、2017年からは新日本プロレスワールドでも放送席が設置されて実況&解説入りで生放送される時代となった。 基本的に、毎週土曜深夜の本放送『ワールドプロレスリング』は、テレ朝アナウンサーの実況と決められており、テレ朝2chが生放送するビッグマッチもテレ朝アナの実況に限定されていた。 ただし、放送回数が増え局アナの人続きをみる
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あっという間に、今年もこんな季節がやって来た。 「ヒリヒリした9月を過ごしたい」 そんな大谷翔平の夢が叶って、もうヒリヒリどころかビリッビリに痺れるような9月シーズンを闘いぬいたドジャースは両リーグ30球団を通じ最高勝率を残しナ・リーグ西地区で優勝。 さらに10月のポストシーズンへ突入すると、パドレス、メッツを下してワールドシリーズ進出へ。 東の名門ヤンキースvs西の名門ドジャースのマッチアップとなった。昨日のワールドシリーズ初戦では、延長10回裏にドラマが待ち受けていた。 1点ビハインドの2アウト満塁からフレディ・フリーマンが逆転サヨナラ満塁ホームランを放って劇的勝利。 シビれたねえ!こんなゲームを毎回見せられたら、あと10年持つMLBファン生命が今年で終わってしまうかもしれない(笑)。 ……などと、戯言を言っている暇もなくあと数時間もすれば山本由伸が先発する第2戦がプレイボールとなるのだよ。 由伸が先発のときはあまり打たないというジンクスを持っている大谷だが、ここは援護を頼んだぜ。 いずれにしても10月末になっても大谷翔平の躍動する姿が見られるとは、本当にMLBファン冥利に尽きる。 ……と、興奮のあまり野球談議から入ってしまった。 本題は、ここから! 今年も大阪ミナミのプロレスBAR『カウント2.99』にて、旗揚げ14周年記念トークイベントへの出演が決まったのだ。 『〝プロレスBARカウント2.99旗揚げ14周年記念”金沢克彦ガチンコトーク2024』 日時は、11月24日(日)17:00~20:00(開場16:30)。なんと、14年連続14回目の開催となる。 今年も例年同様に3時間余、全力で突っ走るよー!みなさん、覚悟して(笑)ご来場くださいね。 ●昨年イベントのアフターには蝶野選手も駆けつけてくれた。 以下、トークイベントの概要。 プロレスBARカウント2.99公式 (PRO-WRESTLING BAR COUNT2.99) 【今年も開催!14年連続14回目!】 『"プロレスBARカウント2.99旗揚げ14周年記念"金沢克彦ガチンコトーク2024』 ◇日時:11.24(日)17:00〜20:00(開場16:30) *延長の可能性あり、休憩あり ◇場所:プロレスリングBARカウント2.99(大阪市中央区千日前1-7-7 サンプラザビル3F) ◇参加料金:4000円(税込) (当日参加または当日支払いは4500円(税込)) *ドリンク別途オーダー必要(¥600〜) ◇出演者:金沢克彦さん ◇司会進行:マスターコウジ(カウント2.99) ◇内容:11月25日に旗揚げ14周年を迎えるプロレスBARカウント2.99。元週刊ゴング編集長、プロレス解説でおなじみGKこと金沢克彦さんが旗揚げイベントに14年連続14回目の参戦!オカダ退団、内藤陥落、棚橋引退と大きな転換点となった新日本プロレスをはじめ、マリーゴールド旗揚げ、ジュリアWWE移籍、極悪女王など、2024年のプロレス界をGKはどう見たのか、ここでしか聞けないリアルな話が満載!GKプロデュースとなった"ジュリア自叙伝『My Dream』"の一部始終や、どこよりも早い「GKのときめきプロレス大賞2024(男女別)」の発表も⁉︎ 質問コーナーではプロレスの疑問をGKにぶつけることも可能です。初参加も大歓迎、プロレスファン必聴のイベントです! ◆イベント中の注意事項 ・イベント中の撮影はOKです *動画撮影・音声録音、続きをみる
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大盛況で幕を閉じた新日本プロレスの10・14両国国技館大会を今回も新日本プロレス・オフィシャルスマホサイトにて総括。 今大会で最大のサプライズは、第6試合終了後に起こった。『棚橋弘至デビュー25周年記念試合』と銘打って行なわれた棚橋&海野翔太&エル・ファンタズモvsEVIL&高橋裕二郎&金丸義信。 例によってH.O.Tのセコンドとしてディック東郷も介入するなか、海野とファンタズモが3選手を場外へ排除している間に棚橋が躍動。 スリングブレイドからハイフライフローのフルコースを決め、裕二郎から3カウントを奪いハッピーエンドと相成った。 ところが、その後マイクを持った棚橋が爆弾発言。 「棚橋のゴールを決めました。2026年1月4日、だからあと1年2ヵ月あります!あと1年2ヵ月、全力で走りますんで、新日本プロレスをよろしくお願いいたします!」 最初は、「エー!?」、「辞めないでくれ!」など、客席から驚きと悲痛な叫び声が飛び交った。 ただし、棚橋の決めたゴールが再来年だと分かったこと、また当の棚橋が笑みを浮かべ覚悟を語ったことで、観客の発する声も大歓声へと変わった。 昨年12月23日、棚橋が新日本の代表取締役社長に就任した時点で、そう遠くない将来にその日がやってくるであろうことは、ファンもマスコミも予感していたからである。 ひとまず、安心。もしゴールが来年早々の1・4東京ドームだとしたら、会場はパニック状態に陥ったかもしれない。 バックヤードでも棚橋は笑顔を絶やすことがなかった。囲み取材を終えて、立ち去ろうとする棚橋と視線が合った。 私が笑顔で頷くと、棚橋も笑みを浮かべ大きく頷いてくれた。手前みそになるが、これだけで意思の疎通ができる関係だと思っている。 1999年10月10日、棚橋は後楽園ホールでデビューした。その日のことも、ハッキリと記憶している。 じつは翌11日に新日本は東京ドーム大会を開催している。セミのカードは武藤敬司vs中西学のIWGPヘビー級選手権。同年の『G1』優勝戦で武藤を破り初優勝を達成した中西が、その実績を持って王者・武藤に挑んだ一戦だった。 メインイベントは、小川直也vs橋本真也のNWA世界ヘビー級選手権。同年の1・4東京ドームで小川の暴走ファイトによって、最強神話を崩された橋本のリベンジマッチであった。 新日本が時代の節目を迎えつつあるなかで、棚橋はプロとしての第一歩を踏み出したのだ。 また、同日には柴田勝頼と井上亘もデビュー戦対決を行なっている。棚橋は、3年先輩にあたる真壁伸也(現・刀義)に挑んでいった。 なぜ、その試合を鮮明に覚えているかというと、棚橋デビュー戦の試合レポートを私が担当したから。 当時の私は、週刊ゴング編集長という立場にいた。ふつうなら編集長がデビュー戦の試合レポートを担当するというのはあり得ない。 なぜ、そういう状況になったのかというと、10・11東京ドームが月曜日開催であり、週刊だけではなく東京ドーム特集増刊号も制作することになっていた。 締切りが厳しいうえに、各記者の負担が余りに大きすぎる。そこで編集長ながら私が真壁-棚橋戦を引き受けることになった。 もう、棚橋がリングインした瞬間に驚いた。ホールの客席にもどよめきが起こった。新人離れした肉体美を見せつけられだれもが愕然としたのだ。 これ以上ないほどにパンプアップしたボディ。肉体だけならメインイベンター並みか、それ以上だった。あとで知った話なのだが、そのときの棚橋は102㎏あって、過去最高のウェートでデビュー戦に臨んだという。 ■写真提供/新日本プロレス これが、そのときのボディ。いやはや、いま見ても凄まじい。 試合のほうは6分ほどで真壁に敗れているが、パワーで堂々と渡り合う棚橋の姿はじつに頼もしく映った。 そこで編集長権限を発動した(笑)。ヤングライオンのデビュー戦としては異例ともいえるカラーグラビア2ページを真壁-棚橋戦に割いている。 「目指せ!和製ダイナマイト・キッド」 たしか、そんなタイトルを付けたと記憶している。 そう、この肉体美を見た瞬間に、1980年代中盤~後半にWWF(現WWE)でスーパーヘビー級の選手たちを相手に大活躍したダイナマイト・キッドの全盛期を思い出したのだ。 無名の新人だった棚橋のデビュー戦にカラー2ページを割いたこと。のちのち、私の目に狂いはなかったと、結果論ながら思っている(笑)。 それ以降、決して順風満帆とは言えない波乱万丈のレスラー人生を送りつつも、2010年代には新日本〝冬の時代”から大復活の立役者となった棚橋。 また、彼のライバル、盟友とし続きをみる
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本日発売の週刊文春の1ページ書評欄「今週の必読」にて、『My Dream ジュリア自叙伝』の書評が掲載されている。 評者は、鈴木涼美さん。2022年には、小説『ギフテッド』で第167回芥川賞候補にも推された売れっ子作家。 慶應大卒、東大大学院卒、元AV女優、元日本経済新聞記者と、異色の経歴も持つ才媛によるジュリア自叙伝評はじつに興味深い。 「かつて社続きをみる
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10・14両国国技館大会メインイベントで行なわれたIWGP世界ヘビー級選手権。 IWGP世界ヘビー級王者・内藤哲也を『G1』覇者のザック・セイバーJr.が下し、第11代IWGP世界ヘビー級王者となった。 過去の戦績は内藤の7勝5敗。しかしながら、時の勢いはザックにあり。館内の声援は真っ二つに分かれた。 24分41秒の大熱闘。 最後は……デスティーノか、ザックドライバーか?切り返し合戦で決着へと雪崩れ込む。 勝負を制したのは、ザックだった。 鈴木軍時代のボス(鈴木みのる)に敬意を表したゴッチ式パイルドライバー、ザックドライバー、セイバードライバーと畳みかけて、トドメはレッグロック式ザックドライバー。 3カウントが入った瞬間、国技館は大爆発。 ニッポンイチの人気レスラーといっていい内藤が敗れ去った。それでも、会場は心地よいハッピーエンドの空気感に続きをみる
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「マリーゴールドの9・28名古屋最終戦が凄い興行だった」 「青野がリミッターをハズした! 桜井が素晴らしかった!」 周囲から、そう絶賛する声がいくつも私の耳に入ってきた。これは見なければいけない、と急きょ『レッスルユニバース』に入会。 全試合をしっかりと視聴させてもらった。その感想は、評判に偽りなしどころか、想像以上にいいものを観ることができた。 もう、それに尽きる。 余談ながら、今回の『DREAM✴STAR GP 2024』ガイドブックの予想でも、DREAMリーグ代表=林下詩美、STARリーグ代表=桜井麻衣、優勝=林下詩美と書いた私の予想は的中したのだ。 予想をズバッと当てたのは、スターダム『5★STAR GP2022』ガイドブックでの決勝戦=ジュリアvs中野たむ、優勝=ジュリアを的中させて以来となる。 まあ、いずれにしても予想というのはほとんど願望でもある。この選手に活躍してほしい、優勝してほしいという期待感を示したもの。 だから、寸評(展望)の稿ではこう記している。 「ジュリアが去った後に詩美がエースとしての意地を見せる。一方のSTARリーグは混沌とするなか、ジュリアにマリゴを託された青野と桜井が激しくシノギを削るだろう」 そう、最初から私はそこに注目していたのだ。エースである詩美の優勝は絶対的使命である。 マリゴの明日を担う青野と桜井の大躍進がなければ、ポストジュリアになるべき存在は当分見えてこない。 だからこそ、青野未来と桜井麻衣の2人に関しては、リーグ戦の星取争い、点数以上に内容を求めていたのだ。 そこで終わってみれば、満点に近いものを見せつけてくれた。 Ⓒマリーゴールド 最終戦で組まれた青野vs高橋奈七永の15分ドロー。あっという間に時間が過ぎていく、凄まじい15分間だった。もっと言うなら、今年観戦した女子プロレスの試合のなかでもっとも戦慄を憶えた試合として響いてきた。 優等生、器用、優しい人柄、正統派美人(未亡人キャラ?)。そんな青野未来に対する印象が根底から覆った。 問答無用の強さを誇る奈七永に向かっていく青野は、闘う女であり、感情剥き出しのウォリアーだった。 Ⓒマリーゴールド また、堂々と優勝決定戦まで勝ち進み、過去の実績からいくと遠く及ばない格上の詩美と真っ向勝負を展開した桜井。 ほんの1ヵ月半前までとはまったくの別人。ジュリアの呪縛から解き放たれ、その後ジュリアの幻影と闘っていた桜井は、この優勝戦を通してジュリアの幻影を完全に払拭してみせたのだ。 Ⓒマリーゴールド まず、第4試合のDREAMリーグ公式戦で天麗皇希をジャーマンスープッレクスで破った詩美が勝ち点を10まで伸ばし、単独首位で早々に優勝決定戦進出を決めた。 第6試合のSTARリーグ公式戦では桜井がSTFを決め松井珠紗を破り11得点をあげ、この時点で暫定1位。セミに組まれているボジラvsSareeeの結果待ちとなった。 そして、問題の第7試合。青野未来vs高橋奈七永の初対決へ。リーグ戦の戦績でいくと、青野はすでに脱落。奈七永のほうは勝てば、辛うじて先に希望が残る状況。 ただし、この両選手にはもう星取争いは二の次だったのかもしれない。シングルどころか、タッグでも組んだこともないし対戦したこともない。 完全な初遭遇なのだ。 もう、今リーグ戦がスタートしたときから、私は個人的に青野に対して厳しい見方をしてきた。 マリーゴールド旗揚げ当初、青野を初めて見たときには驚いた。アクトレスガールズに関する知識は皆無の状態であったからだ。 きっちりと間をとってプロレスができる。運動神経はいいし、スタミナもあるし、受身だって上手い。体格は小柄な部類に入るが、パワーもあるし、蹴りの技術も際立つ。 要は、レスラーとして完成されていて欠点が見当たらないのだ。ただ、プロレスというのは不思議なもので、欠点がないところが逆に欠点とみられてしまう世界でもある。 リーグ戦でSareeeと引き分けたあと、Sareeeにはこう言われた。 「お前が白いベルトを巻いて、なにが面白いの?」 また、桜井との公式戦も15分ドローに終わっているが、4年半前にデビュー戦の相手を務めた桜井から戦前にこう挑発された。 「いまの白いベルト、盛り上がっていないじゃないですか?ただベルトを持っているだけに見える」 その桜井戦のあと、次期対戦者の奈七永を呼び込み、互いに、「パッション!」コールをぶつけ合った。ただし、奈七永にもこう言われている。 「面白いな、ただの優等生ヅラじゃないんだな!」 なぜか、いつも青野は挑発的な言葉を受ける立場に甘んじている。それなのに、彼女はコメントを通じて対戦者を絶対におとしめない。自分の野望、目標ははっきりと発信するのだが、挑発的な言葉は発しない。記者会見の席でも、試合後の囲み取材でもそれは同じ。 やはり優しいというか、そこに人柄の良さが出てしまうのかもしれない。 あとから入場してきた青野。過去に見たことのない表情をしている。この試合にすべてを懸ける――。そんな覚悟が伝わってくるかのようだった。 Ⓒマリーゴールド リング中央でしっかり握手を交わすと同時に、いきなりラリアットの応酬からスタート。青野のに右ハイキックを食らって奈七永が場外転落。 「ナナエー!」と叫んだ青野があとを追った。 場外戦になると、奈七永の重いエルボーに対抗して、強烈な右ローキックの4連発を打ち込んでいく。 Ⓒマリーゴールド リングに戻ると、奈七永は足殺しへ。4の字式のレッグロックから右足を踏みつけていく。さらに、チョップ、エルボーを乱打する。 それに退くことなく、青野は背中へサッカーボールキックの5連打。さらに胸板へもサッカーボールキック。こんどは、青野が奈七永の右腕を蹴り上げアームロックで絞り上げる。 その直後だった。青野の胸から顎のあたりに奈七永の重い蹴りが炸裂。ヒヤリとした瞬間だった。 ところが、青野はグラウンドポジションから蹴っていく。危険を察知したのか、追撃を許さない構えをとった。 ヤバい緊張感が漂ってくる。ここから、またもエルボー合戦。 「もっと来いよ!」 「チャンピオンだろ!」 奈七永の声が響きわたる。激しいプロレスがしっかり成立している。 Ⓒマリーゴールド 奈七永の巨体を旋回式パワースラムで投げると、グラウンドでWARスペシャルの体勢に入る。おそらくバッファロースリーパーを狙ったのだろうが、奈七永の肩幅が広く分厚いため羽交い絞めに切り替えたのではないか。そこからドラゴンスリーパーへと移行する青野。 このあたりのアドリブ、機転に青野のセンスを感じる。 その後、凄まじいまでのラリアット合戦。奈七永が張り手を叩き込むと、青野も倍返しの張り手。館内にどよめきが起こる。 Ⓒマリーゴールド すでに10分経過。 奈七永が雪崩式ブレーンバスターを放つと、青野はキャプチュードで反撃に転じる。 青野のハイキックを交わした奈々七永が後方から足へタックル、さらに助走なしのスライディングⅮ。そして足4の字固めに捕獲する。 Ⓒマリーゴールド 残り2分でなんとかエスケープする青野。 張り手の応酬から互いにバックドロップ。カウンターのラリアット合戦からラリアット相打ちで両者ダウン。 先に立ち上がった青野はハイキックからダブルアームスープレックスへ。そのまま必死にホールドするが、カウント2が入ったところでタイムアップのゴングが鳴った。 続きをみる
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新日本プロレスの9・29神戸ワールド記念ホール大会を新日本プロレス・オフィシャルスマホサイトで総括している。 今大会は、来たる10・14両国国技館大会、さらに来年の1・4&1・5東京ドーム2連戦へと直結するタイトルマッチ、カードが満載だった。 ■写真提供/新日本プロレス 全9戦のなかから、後半4試合を総括してみた。まず、IWGPジュニアヘビー級王者DOUKIの2度目の防衛戦の相手となったのは金丸義信。 今年に入って、高橋ヒロム、エル・デスペラード(IWGPジュニア奪取)、石森太二(王座初防衛)とジュニア3強を破る実績を残しているDOUKI。 今回の相手は、彼ら以上にやりずらい男。キャリア28年、48歳にして衰え知らずどころか、つねにグッドコンディションをキープしている金丸だ。 考えてみると、2004年にGHCジュニア王者に君臨していたライガーをノアジュニア最後の砦として東京ドームで破りベルト奪還に成功したのが金丸。 20年前にライガーとライバル関係にあった男が、未だ現役バリバリのジュニア戦士として暴れているのだ。 「結局、最後まで金丸ワールドを崩すことができない」 高橋ヒロムをしてこう言わしめている。 ■写真提供/新日本プロレス 嫌らしいばかりの左足への一点集中攻撃を披露する金丸。あらゆるバージョンのニークラッシャーを食って大苦戦のDOUKI。 七割がた金丸ペースのうえにSHOまで助っ人として介入する。それでも、最後の最後にDOUKIが大爆発した。 トぺスイシーダでSHOを吹っ飛ばしておいて、そのままエプロンから金丸にデイブレイク。トドメは必殺のスープレックス・デ・ルナ。 これで、ヒロム、デスぺ、石森、金丸と4連破。堂々たるIWGPジュニア王者と言っていいだろう。 次期防衛戦の相手は、SHOに決まった。 NEVER無差別級選手権は、HENAREvs鷹木信悟。 鷹木が王者時代に6・9大阪城ホールで引き分け(両者KO)。6・16札幌大会の再戦でHENAREがついにベルト奪取。9・9後楽園ホールでHENAREが高橋ヒロムの挑戦を退けた直後、鷹木が挑戦を表明して3度目のタイトル戦が実現した。 この顔合わせは鉄板カードを超えて、もはや名勝負数え唄の域に入ってきた。 真っ向肉体勝負という表現すら軽く感じる。あえて言うなら、真っ向ぶちかまし合戦。 予想通り、ボッコボコの打撃合戦へ。チョップ、キック、頭突き、エルボー、ラリアット、パンピングボンバーが炸裂する。 HENAREのミドルキックの破壊力はさらに増している。まるで全盛期の〝破壊王”こと橋本真也のミドルを彷彿させる。 胸元へのヘッドバット、ラリアットが交錯して、試合中、二度も両者ダウンによりカウントが入るシーンも。頑丈な両選手でなければ、とっくにどちらかが潰れているはず。 ■写真提供/新日本プロレス ラストシーンにも戦慄が走った。パンピングボンバー2連発をキックアウトされた鷹木は、満を持して切り札のラスト・オブ・ザ・ドラゴンへ。 このとき、やや体勢が崩れたせいでHENAREは脳天から落下した。結果的に、垂直落下式ラスト・オブ・ザ・ドラゴンとなって決着。 いま、確実に新日本マットでイチバン熱いカード。いや、日本マット界でもっとも熱い顔合わせかもしれない。この両選手はプロレスの凄みを問答無用で表現してくれるからだ。 セミファイナルでは、デビット・フィンレーにYOSHIーHASHIが初挑戦するIWGP GLOBALヘビー級選手権が組まれた。 『G1』最終戦(8・18両国)でタッグマッチながら、フィンレーから3カウント勝利を奪ったことで実現したカード。 キャリア16年にして、シングル王座の戴冠歴はない。それでいてタッグ戦線では毘沙門として頂点を極めているYOSHIーHASHIのシングル王座初奪取なるか? そこが一番のテーマとなった。 白のベルトを意識して白の新コスチュームに身にまとい、かなり緊張の面持ちでリングインしたYOSHIーHA続きをみる
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先だってアントニオ猪木の三回忌法要が営まれた。昨日、10月1日が猪木さんの二度目の命日となる。 そして、同じく現地時間1日(日本時間2日)に、NXTシカゴ大会でジュリアがNXT女子王座に挑戦する。 恒例の成田会見で「人」という字を披露する。Ⓒ大川 昇 猪木さんの誕生日は2月20日。2月20日が誕生日となる有名人は多彩な人物だ。長嶋茂雄、A猪木、志村けんの3名。 残念ながら若い2人は鬼籍に入ってしまった。そして、ジュリアの誕生日は2月21日。 2年前の10月1日、猪木さんが逝去した日に、ジュリアは『5★STAR GP 2022』に初優勝。名実ともに女子プロレス界のトップに立った。 こう記していくと、すべてこじつけと映るかもしれない。日付に関する話はもちろん偶然となるのだろう。 ただ、私が2年以上も前から感じていたことがある。 過去、さまざまプロレスラーを見てきた。猪木二世と呼ばれた選手。オンナ猪木と呼ばれた選手。 だけど、ホンモノのアントニオ猪木には誰も似ていない。そんな中、このプロレスラーは猪木さんに似ている。そう感じた唯一の選手がジュリアだった。 それは試合を観て感じたこと。プロレスの試合には生きざまが表れる。過去歩んできた人生が試合を通して垣間見えるのだ。 少年期から波乱万丈の人生を経験し、プロレスラーとなってから業界と世間を騒がせつづけてきた猪木さん。 ひさしぶりの再会に満面の笑み。Ⓒ大川 昇 猪木さんは亡くなって、仏ではなく神になった。ただし、現役時代の晩年、引退してからも新日本のオーナーとして新日本プロレスに関わりつづけていた時代の猪木さんは、決して神ではなく、むしろ後輩選手、フロント陣から煙たがられていた。 それを間近で取材してきた私はよく知って続きをみる
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ジュリア自叙伝『My Dream』(発行・ホーム社、発売・集英社)が、25日発行の読売新聞・夕刊の書評コラム『カリスマキリンへの道』に登場。 私はあやうく見落としそうになっていたのだが、週末になると1週間分の読売新聞の朝刊・夕刊を隅から隅までチェックするカミさんが見つけてくれた。 【9月25日発行/読売新聞夕刊より】 その書評の内容がお見事、素晴らしい観点から書かれている。幼少期から一般の女性とはかけ離れた生き方をせざるを得なかったジュリア。 筆者はこう記している。 「人間社会の枠から転落しそうなぎりぎりの一線で踏みとどまって生きる人たちの物語は、いつも私を強く揺さぶります」 ただし自分を安全な場所に置いた、いち読者である筆者にとっては、いわば高みの見物のようにジュリアさんの人生を眺めている。こちらは本を買った「お客さん」なのだから、それでいいのかもしれない。 そう前置きしつつ、このジュリア本の核心部分を衝いて締めている。 「でも、開き直りきれないのは、SNSで中傷を受けて自殺したライバルの木村花さんのことにも触れられているからです。誰の人生も、歯止めなく消費し尽くすこ続きをみる
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8月28日、闘道館をお借りしてワタクシ金沢が取材を受けた〝Show”大谷泰顕氏によるインタビューのYouTubeがアップされた。 第二弾のテーマは、なぜかアントニオ猪木。私が猪木さんとジュリアの共通点を徹底してリサーチし、猪木さんとジュリアがソックリだということを力説している。 いやいや、それどころかジュリアはアントニオ猪木の生まれ変わりかもしれない。そこまで私の見解はヒートアップしていくのであった。 Ⓒ歳永浩嗣 ただし、これは決して思い付きや余談ではない。間もなく三回忌を迎えるアントニオ猪木と、現在WWE(NXT)で売り出し中であるジュリアの奇妙なほど類似した共通点、歩んできた人生を重ね合わせた結論なのである。 それらをある程度、具体的な事例を出して力説しているので是非とも確認していただきたい。 Ⓒマリーゴールド ちなみに、私自身は2年以上も前からジュリアに面と向かって言ってきた続きをみる
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マリーゴールドで開催中の『DREAM★STAR GP 2024』は、来たる9・28名古屋国際会議場大会で最終戦を迎える。 ジュリア退団→WWE(NXT)入りを受けての初シリーズ。絶対的エースであったジュリアが去ったあとに誰がマリーゴールドのトップの座に君臨するのか? それが一大テーマとなっているだけに、やはりエントリー選手たちの目の色が変わってきた。 フリーでありながら頂点の証である真紅のベルトを巻く、マリーゴールド・ワールド王者のSareeeには別格の趣きがある。 また、マリーゴールドを最後のリングと決めた〝女子プロレス界の人間国宝”こと高橋奈七永にも別格の風格が漂う。 林下詩美に至っては旗揚げ時からジュリアとともにダブルエース的存在。彼女がリーグ戦で優勝という結果を残すことは責務でもあるだろう。 数日後には自ずと結果は出る。ただし、私の場合は優勝戦線を睨んだ星取り争い云々より、開幕時から特定の選手2名の試合内容に注目してきた。 Ⓒマリーゴールド 青野未来(ユナイテッド・ナショナル王者)と、桜井麻衣(ツインスター王者)の2選手である。 奇しくも、2人は同じブロック(STARリーグ)にエントリー。ここまで優勝戦線に残り、激しいつばぜり合いを展開してきた。 なぜ、2人に注目しているのか?旗揚げからマリゴを見てきた熱心なファンならわかると思う。 アクトレスガールズのエースを張ってきた青野は、旗揚げ前には選手層が手薄だったマリゴに参入してきた救世主のような存在だった。 芸能活動を経てからプロレスラーを志しデビューして7年。すでにプロレスラーとして完成されていたからだ。ルックス、運動神経、パワー、打撃、レスリングと、すべてにソツがなく、安心して観ていられる。 初代ユナイテッド・ナショナル王座決定戦をめぐり、バリバリの存在であるMIRAIと4連戦を闘い抜き、大怪獣ボジラからもフォールを奪い初代王者となった。 ここまでは、予想通りというか、予想以上の実力と存在感を見せつけて、青野未来という名前を全国区とすることに成功した。 ジュリアのカウントダウン・シリーズが組まれた8月には、地元凱旋となった8・10川越大会のメインイベントでジュリアと初の一騎打ちを行ない一歩も退かずに15分ドロー。 Ⓒマリーゴールド ジュリアと互角に渡り合えるだけの力量を証明している。 「お前に任せたからな、信じてるからな。私がエースなんだって言い張れよ!」 試合後には、業界同期のジュリアから最大級のエールも送られた。 ところが、その後が続かなかった。 ジュリアの壮行試合ファイナルが開催された8・19後楽園ホール。セミファイナルで青野は天麗皇希の挑戦を受けて、ユナイテッド・ナショナル王座の初防衛戦に臨んだ。 結果は、21分ジャストで青野が初防衛に成功。ただし、内容がまったく伴わなかったのだ。 キャリア不足の皇希を王者の青野がリードする展開。それが20分以上も延々とつづく。 無論、皇希は抜群の素材を有している。ただし、ベルトに挑戦するにはまだまだ実力不足。それが露呈される格好のタイトル戦となった。 ましてや、その後のメインイベントであるジュリアvs桜井麻衣が壮絶な闘いを披露した。 それもあって、よけいにセミのタイトルマッチは時期尚早のマッチアップであることが浮き彫りとされてしまったのだ。 プロレスとは不思議なものだ。あれだけ、ファン、関係者が青野を絶賛してきたのに、この一戦を境にそういう声がピタリとやんでしまった。 はたして、青野は王者に相応しい選手なのか?マリゴのエースになれるだけの器量を持っているのか?今回のリーグ戦は、さながら青野への査定試合の様相さえ呈してきた。 もちろん、みんながみんなそういう考えで青野を見ているわけではない。ただし、私などは青野の技量に驚き感心した側の人間だから、よけいに彼女の試合を査定する感覚で厳しく観てしまうのだ。 最初の難関といっていいSareee戦(9・16後楽園ホール)。真紅の王者と純白の王者の対決は15分ドロー。格上でキャリアも豊富なSareee相手の15分は、まずまず合格ラインの試合を披露したと思う。 それでも、Sareeeの言葉は核心を突いていた。 「お前が白いベルトを巻いて、なにが面白いの!?」 確かにその通りだろう。ユナイテッド・ナショナル王者として、とくに実績を残していないし、波紋も起こしていない。 負けず嫌いの青野自身が一番そのことに気づいていたと思う。 一方の桜井麻衣は、昨年末あたりから葛藤の最中にいた。スターダム退団を決意して、師匠であるジュリアと行動をともにした。 それが正しい選択であったのか?悩みに悩みぬいた。その生真面目さからくる苦悩は試合にも表れて、3月のスターダムの大会では連戦連敗。 マリーゴールド旗揚げに参加してからも、しばらく吹っ切れない様子が伝わってきた。 それから、ようやくひとつの壁を突破したのが7・30後楽園ホールでミライサク(MIRAI&桜井)として、初代ツインスター王者のベルトを巻いたときだった。 リング上では、ジュリア壮行試合の対戦相手に名乗りをあげた。その後、バックヤードでは感情がこみ上げてきたのか涙ぐんでいた。 「いままでの3カ月間、悩んで悩んで悩んで。もう本当に、マリーゴールドに私の居場所はないんじゃないかって思ってました」 桜井が悩んでいることは知っていた。桜井と親しい関係者からも聞いていたし、それは試合を観ていれば伝わってくる。 だから、それ以前にいつだったかバックヤードで一度だけ声を掛けたことがある。 「悩んでも悩まなくても、リングに上がればやることは一つでしょ?」 「わかっています。それはわかっているんですけど、いろいろ考えてしまうと自分のなかで収拾がつかなくなってしまって」 ベルト戴冠から3週間後の8・19後楽園ホール。ジュリアの壮行シリーズ、ラストマッチ。対角線上に堂々と桜井は立っていた。 Ⓒマリーゴールド リング上、場外戦でも一歩も退かない。打ち合い、グラウンドでも互角に渡り合う。「1週間ほど目まいがした」というほど頭突きも叩き込んだ。 師弟による合わせ鏡の闘いは凄まじいものとなった。この試合が、桜井にとっては卒業試験でもあった。ジュリア教室からの卒業である。 ジュリアの最終兵器であるヴァーミリオンを食らい敗れはしたものの、ジュリアにはこう言われた。 「この試合が決まってから、ウチら大喧嘩したんですよ。試合、大丈夫かなっていうくらいの。でもね、それが闘う女だよ。勝負の世界だから当たり前のこと。桜井が自我をもって、プロレスラー桜井がやっと誕生したんだなと私は思ったよ!」 実際に、大会を迎える前に2人は大喧嘩をやらかしたらしい。そのま続きをみる
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