うたわれるもの 二人の白皇

【最終回】長きに渡る戦乱は終わりを告げ、世は安寧を喜ぶ民の声であふれていた。ヤマトとトゥスクル、両国は同じ過ちを繰り返さないよう、決意を新たにそれぞれの道を歩み出す。未来を見据える二人の皇女が胸に浮かべるのは、ずっと側にいたかけがえのない人の笑顔。これは、己の運命を悟り、大切な仲間のため身を賭して戦い続けたある男の物語。

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全身全霊を賭したオシュトル(ハク)の一撃がついにウォシスを打ち砕く。しかし、その代償はハクの死という余りにも大き過ぎるものだった。かけがえのないものを二度も失い、強い自責の念にさいなまれるクオン。彼女は失意の中を内なる声に付け入られ、大神ウィツァルネミテアへと変貌してしまう。自らの意に反して暴走する強大な力を前に、クオンにできるのはただ祈り続けることだけだった。

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タタリせん滅の影響が色濃く残る帝都に鎮座する巨大な繭。それは、ライコウが残した仮面の力を解放したウォシスであった。人々が“ノロイ”へと姿を変える中、その元凶である繭を破壊すべく立ち向かうオシュトル(ハク)たち。しかし、ウォシスの力はすさまじく、近づくことすらかなわない。「後は頼んだ」と仲間たちに意志を託し、オシュトル(ハク)は残りわずかな命の全てを代価に、根源への扉を開く。

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正体不明の化け物・ノロイの出現を聞き、急ぎ駆けつけたオシュトル(ハク)たち。そこで待ち構えていたのは、死んだはずの冠童(ヤタナワラベ)たちであった。何度倒してもよみがえるノロイとウォシスから授かった力を振るう冠童に苦戦を強いられ、一行は次第に追い詰められていく。この窮地を脱すべく、オシュトル(ハク)は仲間の静止を振り切り仮面の力を解放。しかし、その力の代償を払う時はすぐそばまで迫っていた。

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聖廟(せいびょう)を脱出し、クジュウリ近郊の遺跡へ転送されたオシュトル(ハク)たち。帝都のタタリをせん滅させたことで気象衛星アマテラスが機能を停止し、ヤマトの気候は大きく変化しつつあった。降りしきる雪は以前よりも厳しく、いずれ人々の生活にも大きな影響を与えるだろう。手遅れとなる前に、オシュトル(ハク)はアマテラスを再起動するべく動きだす。一行は手掛かりを知るウルゥル・サラァナに導かれ、クジュウリ城の地下遺跡へと向かうのだった。

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帝(みかど)の悲願を成すため、マスターキーを用いて古の遺産を起動したウォシス。タタリの壊滅を声高に命じるが何も起こらず、システムは無情なエラーを告げるのみであった。封印から解き放たれたタタリは聖廟(せいびょう)地下から溢れ出し、瞬く間に帝都を侵略していく。被害を食い止めるべく、必死に解決方法を模索するオシュトル(ハク)。しかし、残された唯一の手段は彼らにとってあまりに残酷なものだった。

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突如現れたウォシスはマスターキーを手にし、自分こそが帝の正統な後継者だと告げた。その強引なやり方を受け入れられず、オシュトル(ハク)は救援に訪れたミカヅチたちと共に戦いに臨む。しかし、ウォシスが呼び出した異形の化け物に苦戦を強いられ、奮闘むなしくマスターキーは持ち去られてしまう。急いで後を追おうとするオシュトル(ハク)を引き止めるエルルゥ。彼女が差し出した社の主からの餞別(せんべつ)、それは原初の仮面だった。

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大神ウィツァルネミテアを祭る神域、オンカミヤムカイ。その管理を任される賢大僧正ウルトリィに導かれ、オシュトル(ハク)たちはマスターキーへと近付いていく。地下に広がる遺跡を抜けた先、一行を出迎えたのは荘厳な社(やしろ)だった。異彩を放つそれを訝しむオシュトル(ハク)だが、その時、仮面が小さく共鳴を起こす。

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各地に残る旧時代の遺産を自在に動かす秘宝・マスターキー。オシュトル(ハク)は帝(みかど)の願いを受け、それが眠るというトゥスクルを訪れていた。実家へ戻ると言うクオンと別れ、彼は一人、トゥスクル皇オボロとの謁見(えっけん)に臨む。漂う緊張感をよそに謁見(えっけん)はあいさつのみで終わり、歓迎のうたげが催されることに。うたげが大いに盛り上がる中、突如トゥスクル皇女はオシュトル(ハク)に迫る。

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国の未来をかけた大戦は終結し、ヤマトには久しぶりの平和が訪れていた。帝都で職務に勤しむ傍ら、今後について思いを巡らせるオシュトル(ハク)の元に現れたウルゥルとサラァナ。彼女たちに導かれた先は、聖廟(せいびょう)の地下に広がる帝(みかど)の庭園であった。死した帝に代わり、オシュトル(ハク)をここに招いた者の目的とは何か。

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友の死を越え、聖廟へと辿り着いたオシュトル（ハク）と仲間たち。一行を待ち構えていたのは、此度の元凶であるライコウだった。彼が語る帝からの自立と言う悲願、それが帝の意志を継ぐアンジュ自身によってここに体現された今、自らの望みが果たされたことを悟る。しかし、主の負けを認めたくないシチーリヤがライコウに差し出したものは、かつて帝が作った仮面だった。

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ヤマト軍と一進一退の攻防を続ける連合軍。この拮抗を破るべく、ライコウの命により大正門の中からミカヅチ率いる軍勢が現れる。この戦いが勝負所と見たオシュトル（ハク）は、全戦力を以て攻勢へ転じることにした。その様子を眺め、不敵な笑みを浮かべるライコウ。全てはオシュトル（ハク）たちを一網打尽にする為の策略だった。

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ヤマト軍の伝令を担う通信衆を討つべく、オシュトル（ハク）たちは二手に分かれて動き出す。これを阻止すべく、ライコウの命を受けたミカヅチが現れる。決死の覚悟で戦うオシュトル（ハク）が作りだした隙を突き、ノスリとキウルは通信衆を射抜くことに成功する。ヤマト軍の統制は瓦解し始めるも、オシュトル（ハク）との決着を望むミカヅチの戦意は消えなかった。

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ヤマトの行く末をかけた大戦は、戦力で勝るエンナカムイ連合軍が優位に立つかのように思われたが、ヤマト軍の統率された動きに進軍を阻まれ苦戦を強いられてしまう。膠着した状況を打開すべく、一転攻勢に出ようとするオシュトル（ハク）だったが、突如兵糧置き場から火の手が上がる。それは復讐に燃えるマロロの策略だった。

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いくつも同盟國を得て、エンナカムイの戦力はようやくヤマト軍と拮抗する。決戦を目前に、オシュトル（ハク）は一人、実家を訪れる。オシュトルの母であるトリコリと穏やかな時を過ごす二人。まるで本物の家族のように語らう中、ふと、トリコリは問いかける。それはオシュトル（ハク）にとって思いもよらぬ言葉だった。

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ナコク侵攻を先導したのは、かつての仲間マロロだった。変わり果てた友の姿に心を痛めるも、オシュトル（ハク）は懸命に真実を伝えようとするが、その声も虚しく、不利を悟ったマロロは戦場を後にするのだった。戦に勝利するも、國の象徴である大橋を失い嘆くイタク。しかし、勝利に沸く兵たちの姿に勇気づけられ、國の再建を胸に立ち上がる。それを助ける為、アトゥイはナコクに留まることを決意する。

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同盟國を増やし、着実に戦力を増していくエンナカムイ。次なる手を模索する中、シャッホロ皇ソヤンケクルとナコクの皇子イタクが来訪する。ヤマト軍の急襲により陥落した首都ナァラ奪還の為、力を借りたいというイタクの願いを重く受け止めたオシュトル（ハク）はナコクへ向けて出立する。一方、ナァラ城ではオシュトルの首を狙い、因縁の相手が待ち構えていた。

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トキフサから長の証である金印を奪取したオシュトル（ハク）たち。そこへヤマト軍がエンナカムイへ向けて進軍を開始したとの報せが入る。エンナカムイへの帰路を往く一行の前に立ちはだかったのは、金印を奪われ怒りに燃えるトキフサだった。慣れぬ地で不利な戦いを強いられるが、オシュトル（ハク）たちは互角に渡り合う。しかし、トキフサが周到に巡らせていた策に嵌り、窮地に立たされる。

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束の間の休息を取るオシュトル（ハク）の元に届いた一通の文は、イズルハを治める八柱将トキフサより同盟の申し入れだった。真意を探るべくイズルハへと赴いたオシュトル（ハク）たちは、国の情勢に詳しいノスリの父ゲンホウの元を訪ねる。久しぶりに帰郷することになったノスリは複雑な表情を浮かべていた。

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来る戦に備え、オシュトル（ハク）たちはクジュウリと同盟を結ぶべく出立する。一行を出迎えたクジュウリ皇オーゼンは、愛娘ルルティエの帰郷とアンジュの来訪を歓迎する。同盟の提案に好意的な意向を示すクジュウリ側であったが、これに異を唱えたのは長女シスだった。困惑するオシュトル（ハク）たちをよそに、同盟締結の条件としてシスはある提案を告げる。

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