ザテレビジョンがおくるドラマアカデミー賞は、国内の地上波連続ドラマを読者、審査員、TV記者の投票によって部門別にNo.1を決定する特集です。

最優秀作品賞から、主演・助演男女優賞、ドラマソング賞までさまざまな観点からドラマを表彰します。

第114回ザテレビジョンドラマアカデミー賞主演男優賞 受賞インタビュー

(C)TBS

平野紫耀

「クロサギ」は僕にとってものすごく大切な作品になりました

「クロサギ」(TBS系)のダークヒーロー・黒崎役で初の主演男優賞を獲得しました。特に読者票が多く寄せられて1位でした。

投票、ありがとうございます。黒崎役はとにかく大変でした。セリフ量も多いですし、変装もありますし、弾けていて楽しいというシーンはなく内容も難しかったので…。黒崎には父親が詐欺師にだまされ家族が死んだという壮絶な過去があり、第1話からずっと暗い復讐(ふくしゅう)心を抱えていた点が、演じていてしんどかったですね。


「クールで深い闇を抱えた主人公に見事にハマっていた」「難しい役だが、どんな場面でも魅力的で華があった」という意見が寄せられています。

第7話ぐらいから最終話にかけて、ようやく黒崎という人物を自分の中で落とし込むことができたのか、台本にないところまでやりたいという欲が出てきました。「あ、俺の中の黒崎はこうしたいんだ」と思いましたね。そこが連続ドラマならではのことで、映画だと、台本もらった時点で結末まで分かるけれど、ドラマは結構ギリギリに台本が届くことも多く、本当に最後まで分からないんです。

今回もまさか黒崎が刺されるとは予想していなかったですからね。数日前に「血のりのテストしますので」とサラッと言われて…(笑)。彼はなぜ詐欺師をだます詐欺師をしているのか? それは家族の復讐のためではなかったんだということが、終盤で分かったのは面白かったです。


単独主演で金曜ドラマを背負っているというプレッシャーはありましたか?

元々お芝居は得意というわけではなく、出演の依頼をいただいたら…というぐらいの意識だったけれど、この作品で主演ということになったので頑張ってやりました。もちろん責任感はちゃんと持っていましたけど、この枠だからとか視聴率とかは全く気にしなかったですね。気にしろよって突っ込まれるかもしれないですけど(笑)。というのは、作り手の皆さんがすごいプロフェッショナルなので、僕の仕事であって僕だけの仕事じゃない。僕はとにかく皆さんに迷惑をかけないようにやろうと考えていました。


黒崎の変装も金髪の外国人から第9話で演じた特殊メークのビジネスマンまでいろいろありましたが、中でも思い出深いのは?

特殊メークは面白かったですね。オンエアを見て、自分が出てきた瞬間に笑っちゃいました。いまだにあの鏑木というキャラがつかめていないんですよ。国籍も年齢も不明で、絶妙なラインだったんですよね。めちゃくちゃ鼻が高くて、視界に自分の鼻が入っちゃう…(笑)。企業での立場が上の人という設定だったので、とりあえず落ち着いた感じで演じるかとは思ったんですけど。


氷柱役の黒島結菜さんとの共演はいかがでしたか?

黒島さんはとてもどっしりしたというか、心構えが強い女優さんですね。僕とは同い年なんですけれど、すごく頼もしかったです。僕が適当なアドリブを入れても、ちゃんと返してくれました。撮影の合間には、黒島さんが飼っているワンちゃんの話を聞いて、僕も飼いたいなと思ったりしました。不規則な仕事だからなかなか難しいけれど、いいなぁって…。


最終回、黒崎と氷柱が結ばれるのかと思いきや、2人は別々の道を行く。平野さんとしては納得の行く結末でしたか?

良かったと思います。2人が結ばれたら、詐欺師と検事という複雑な関係になってしまう。だからあれで正解だと思いますし、別れたけれど、結局、目指す最終地点は同じで、やり方が違うだけ。お互い通じ合うところはあるはずという、本当、僕の好きなパターンの少し切ない結末でした。クランクイン前の顔合わせのときに、プロデューサーさんから「黒崎と氷柱は近いけれど絶対くっつかない2人」と言われて「どういうこと?」と思っていたんですけど、最後にそれをようやく理解できました。


この枠らしく、共演者がベテラン俳優ばかりでしたね。フィクサー・桂木役の三浦友和さん、御木本役の坂東彌十郎さん、宝条役の佐々木蔵之介さん、白石役の山本耕史さんと…。

いや、すごかったですね。刺激的で、楽しかったです。最初に台本を読んで相手役の人はこういう感じで演じるかなという予想をするんですけど、違うことが多かったです。特に山本さんは本当に読めなくて、やはりお芝居の経験値がないと、あそこまで変幻自在にはなれないというか、対応力がすごいなと思いましたね。


父と子のような関係を演じた三浦友和さんはクランクアップ時に「平野くんとはまたどこかで会うような気がして仕方ない」というコメントを出されていました。

三浦さんのことはずっと心強く感じていました。現場での立ち振る舞いがとても格好いい人だなと思っていたので、その三浦さんにそう言っていただけたのは、すごくうれしかったです。僕からまた一緒にお仕事したいと言うのはおこがましいので、ぜひ、またどこかでお会いできたらうれしいなと思っています。


平野さんが2022年10月クールで「クロサギ」に主演して達成したことは何でしょうか。

「この経験で何を得たのか」とか「何が勉強できたのか」とかは分からないですし、分かりたくないっていう気持ちもあります。何かが自然と身についていたらいいなというのが僕の本心ですね。もしも次にお芝居をする機会があったら、そのときに今回の経験が生かされたなと実感するのではないかと思っています。それが今から楽しみですね。

演技だけでなくパフォーマンスや歌でも、自分が成長したとは思いたくないタイプなんですよ。それを自覚して成長がストップしてしまったら、もったいない。僕のことを見てくださる方々に結果的にそう思ってもらえたら、うれしいですね。ただ、「クロサギ」は僕にとってものすごく大切な作品になりました。それは間違いないです。

(取材・文=小田慶子)
クロサギ(平野紫耀主演)

クロサギ(平野紫耀主演)

全42巻で完結した漫画「クロサギ」シリーズを原作に平野紫耀主演で新たにドラマ化。詐欺によって家族を失った主人公・黒崎(平野)は報復を決意し、詐欺師をだます詐欺師“クロサギ”という生き方を選ぶ。2022年の現代を舞台に、今の日本でリアルに起こっている詐欺に“クロサギ”が立ち向かう姿を描く。

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