ザテレビジョンがおくるドラマアカデミー賞は、国内の地上波連続ドラマを読者、審査員、TV記者の投票によって部門別にNo.1を決定する特集です。

最優秀作品賞から、主演・助演男女優賞、ドラマソング賞までさまざまな観点からドラマを表彰します。

第114回ザテレビジョンドラマアカデミー賞助演女優賞 受賞インタビュー

撮影=阿部岳人

夏帆

この先も手話を続けていきたいなと思っています

「silent」の演技が視聴者の心をつかみ助演女優賞を獲得しました。受賞の感想を教えてください。

「silent」は本当にたくさんの方に見ていただいたドラマで、私も友人から「見ているよ」と連絡をもらいましたし、街で声をかけていただく機会が増えました。連続ドラマは放送中に撮影が進んでいくことが多いので、見てくださる方の反応をリアルタイムで知れることが面白かったですし、励みにもなりました。皆さん、すごい熱量を持ってこの作品の話をしてくださるんですよね。そんなドラマに参加でき、受賞したことが改めてうれしいです。

投票した人たちからは「手話での演技がリアルで、感情豊かで素晴らしかった」と高い評価が寄せられました。

ありがとうございます。クランクインは2022年9月。手話の練習を始めたのは7月ごろでした。もちろん撮影が始まってからも続け、ずーっと半年近く、手話に打ち込みました。奈々の第一言語は手話なので、いきなりネイティブレベルのお芝居をしなきゃいけない。焦りつつ、「でも、やるしかない」と思って一生懸命やりました。


ご自宅などでも練習していたのですか。

そうですね。時間が許す限りずっと練習をしていました。手の動きだけでなく、その意味を勉強することを大切にしていました。やはり聴者である私がろう者を演じることに責任を感じていたので…。大変でしたが、最後まで頑張れたのは、手話チームの先生たちのおかげです。


奈々は手話で「ばーか」と言うなど、毒舌なところが面白かったですが、どんな女性だと思って演じていましたか?

コロコロ表情が変わって感情が豊か。すごく魅力的な女の子だけれど、「気持ちは分かるけど、ここまで言っちゃうの」という場面もありましたね。突拍子もない行動をすることもあるので、なかなか自分に落とし込んで演じるっていうのが難しかったなと思います。でも、演じていてすごく楽しい役でした。


奈々が想(目黒蓮)への思いかなわず、聞こえないスマートフォンの通話を聞こうとする場面や、大学時代の回想で春尾(風間俊介)へ怒りをぶつける場面などが印象的でしたが、実際に演じるのは難しかったですか。

はい。ただでさえ難しいシーンなのに、使い慣れていない手話でお芝居するのは大変でした。奈々は最初、自分が想に手話を教えたのに、それが紬(川口春奈)に伝わることを「プレゼント使いまわされた気持ち」と紬に気持ちをぶつけていたけれど、そうじゃないっていうことに気づいたんでしょうね。最終回では、いろんな人に言葉をお裾分けしてまわって、なんだかサンタさんみたいだねってみんなで話していました(笑)。ちゃんと素直に誰かに何かを渡せる人になったんだなと思いましたし、すてきなラストでした。


主演女優賞を受賞した川口春奈さん、助演男優賞を獲得した目黒蓮さんの印象は?

お二人とも初めてご一緒させていただきました。私の出番が増えるのは中盤からだったのですが、最初から川口さんと目黒さんが繊細で素敵なお芝居をされていたので、お二人が作り上げた世界を自分が壊すわけにはいかないというプレッシャーが…。目黒さんは常に演技に集中していて、ストイックで真っすぐな方だなと思いました。川口さんは常に自然体でいる姿が印象的で、演技への入り方も自然。掛け合いのお芝居をしていると、どんな些細なことも受け取ってくださる感じでした。


夏帆さんがこの作品で得たものはなんですか?

やっぱり、手話は何物にも代え難い経験でしたね。手話の勉強する中で、なんて奥が深い言語なんだろうと思い、その手話で全話通してお芝居できたのは、私のキャリアの中でも大きいことでした。まだドラマのセリフ以外でコミュニケーションが取れるレベルではないですが、せっかくの出会いですので、この先も手話を続けていきたいなと思っています。

(取材・文=小田慶子)
silent

silent

川口春奈主演の切なくも温かいラブストーリー。8年前に、一生懸けて愛したいと思えた恋人・想(目黒蓮)との突然の別れを経験した紬(川口)は、ある日、街で想を見掛け、再び彼の存在を意識するように。想を捜し始めた紬は、彼が若年発症型両側性感音難聴を患い、聴力をほとんど失っていることを知る。

第114回ザテレビジョンドラマアカデミー賞受賞インタビュー一覧

【PR】お知らせ