ザテレビジョンがおくるドラマアカデミー賞は、国内の地上波連続ドラマを読者、審査員、TV記者の投票によって部門別にNo.1を決定する特集です。

最優秀作品賞から、主演・助演男女優賞、ドラマソング賞までさまざまな観点からドラマを表彰します。

第114回ザテレビジョンドラマアカデミー賞助演男優賞 受賞インタビュー

(C)フジテレビ

目黒蓮

全力で役にトライして、この賞を頂いたことは自信につながる

「silent」で助演男優賞を獲得しました。受賞の感想を教えてください。

ありがとうございます。放送中から他の仕事の現場に行くたび、スタッフさんや周りの人に「良かったよ」とか「次はどうなっちゃうの?」と声をかけていただいたので、反響の大きさを実感していましたが、この賞を受け、「silent」が多くの皆さんに届いたんだなと改めて思えて、本当にうれしいですね。

演じた想は高校卒業後に耳が聴こえなくなったという設定で、現在のシーンはほとんど手話での演技でした。

手話は一つの言語でありコミュニケーション。一つ一つのしぐさに意味があるので、想が思っていることをちゃんと乗せられるようにと意識して練習しました。難しかったのは、表情ですね。手話の先生から、指先の動きだけじゃなく顔の表情も含めてのものだと教わったので…。見ている人に「今、こういうことを思っているのかな」ということが伝わるように、丁寧に演じました。


普段の目黒さんはクールというか、喜怒哀楽を顔にはっきり出す方ではないのでは? その分、手話での演技にはギャップがありました。

そうですね。喜怒哀楽の表情はすごく意識しました。例えば、同じ手話でも顔の表情によって疑問形になったりするので、顔でちゃんと「?」を付けるようにしました。


第4話、紬(川口春奈)の働く渋谷のタワーレコードの前に行き、「待っているね」と手話で伝えるシーンは、かわいいと評判になりました。

かわいくやろうと狙ったわけではないのですが(笑)。あの場面はタワーレコードの店頭にSnow Manのポスターがあって、そこに僕も映っているのに、その前で演技をしたんです。川口さんもSnow Manのポスターだと気付いてそのまま放送するのかと思っていて、村瀬健プロデューサーが「いや、コメディーじゃないから」と言っていたのが面白かった。ポスターは後からCGで消してもらったんですけれど。


想はどんな男性だと思って演じていましたか?

「(聴力を失うことで)自分が苦しむだけなら良かった」というモノローグがあったように、想はすごく家族思いで、友達も大事にし、自分のことより優先して考えようとする。それは僕も同じですし、共感できました。夜空の月を見上げるのが好きなところや、サッカーの経験があるのも共通しています。だからこそ、役に気持ちを乗せることができました。ただ、僕が想の立場なら、耳が聞こえにくくなったことを恋人に打ち明けるでしょうね。大学生になった想が公園で紬と会う場面がほぼクランクインで、もちろん想として病気のことを打ち明けるつもりで現場へ。でも、紬と話しているうちに「ああ、言えないな」と思いました。


その場面で想は最後に泣きましたね。このドラマは泣く場面が多く、大変だったのでは?

そうですね。さらに、台本に泣くと書いてなかったのに泣いてしまったことも、たくさんありました。例えば第2話、カフェで紬に会い「8年前、『好きな人がいる』というメッセージを送って別れたのは、悲しませたくなかったから」と伝えるところも、紬は泣くけれど想は泣くはずじゃなかったんです。でも、本番前の段取りの段階で、もう涙が出そうな感じになってしまって「これは無理だな」と…。やっぱりお芝居は、実際にしてみると変わるし、相手の人とのやり取りでも全然変わりますね。


共演者と監督、プロデューサーの皆さん、目黒さんの演技にかける集中力はすごかったとコメントしています。

本番前に普段通りしゃべっていると、「スタート」と言われたとき、聞こえていた音を全てシャットダウンした状態に持っていかないといけないじゃないですか。すると、どうしても予期せぬところで鳴った音に反応しちゃったりする。それではダメなので、あえて周りとは一線引いた状態で現場にいました。とにかく、カメラが回ったときにどれだけクオリティーの高いもの、自分が後悔しないものを残せるか。「作品のためになるのなら、できることは全部しよう」と思っていました。


主演女優賞を獲得した川口春奈さん、助演女優賞の夏帆さんとの共演はどうでしたか?

川口さんはお芝居がすごくナチュラルで、構えている感じがなく、そのままの流れで本番に入っていくのがすごい。僕はそんなふうにはできないので尊敬します。夏帆さんは圧倒的な演技をする人。第6話のラスト、奈々が聞こえないはずなのにスマートフォンを耳に当てる場面は、現場で向かい合っていてもやっぱりすごかったです。湊斗役の鈴鹿央士くんも含め、みんながうそのない演技を積み重ねるすごくいい現場だったので、刺激をもらえました。


最終話のラストシーン、ずっと紬に対しては声を発しなかった想が彼女の耳元で何かをささやきました。なんと言ったのか、目黒さんは知っていたのですか?

それ、よく聞かれるんですよ。僕としては第1話から想としていろんな気持ちを積み重ねてきたからこそ、伝えたい言葉はありました。それを現場で村瀬(健)P、風間太樹監督と相談したりしましたけれど、この物語の中で想がなんと言ったかは、最終的には分からない。今度、想くんに聞いておきますね(笑)。Snow Manのメンバーもそこが気になったみたいで、みんな「目黒に質問するのは野暮だよね」と言いつつも、「でも、俺はこの言葉だったと思う」とそれぞれ考えてくれました。


クランクアップのときはどんな気持ちでしたか?

ラストシーン、夜遅くにクリスマスツリーの前で迎えました。それが本当にこの作品らしくて、ワーっと騒ぐ感じではなく、本当に「silent」でした(笑)。でも、みんなで感謝の気持ちを伝えあって、最高の雰囲気でした。これで終わっちゃうんだという寂しい気持ちもありながらも、3カ月間、感情的に揺さぶられるシーンをたくさん演じたので、解放感も大きかった。想はこれまで僕がやったことがないような役で、手話も含め難しい役ではありました。でも、そこに全力でトライしてやり終えられたことは、きっと今後の自信につながると思います。

(取材・文=小田慶子)
silent

silent

川口春奈主演の切なくも温かいラブストーリー。8年前に、一生懸けて愛したいと思えた恋人・想(目黒蓮)との突然の別れを経験した紬(川口)は、ある日、街で想を見掛け、再び彼の存在を意識するように。想を捜し始めた紬は、彼が若年発症型両側性感音難聴を患い、聴力をほとんど失っていることを知る。

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