<35歳の少女>望美の愛読書「モモ」がドラマを通じて現代に鳴らす警鐘とは
柴咲コウ主演・遊川和彦脚本の土曜ドラマ「35歳の少女」(毎週土曜夜10:00-10:54、日本テレビ系)。同ドラマは不慮の事故から眠り続けていた望美(柴咲)が25年の眠りから覚め、以前とは変わってしまった家族や好きだった人と向き合っていくストーリーだ。
周囲の人や社会の現状を理解できず不安に苛まれる望美を常に支えてきたのは、彼女の愛読書であるミヒャエル・エンデ「モモ」(1973年、岩波書店)だった。主人公の少女・モモが、時間どろぼうからみんなの時間を取り戻す話であり、世界中で愛され続けている名著であるが、その描写は2020年の私たちが読んでも新鮮であり、時を超えて“現代を映し出している”ともいわれる。
「35歳の少女」はセリフでも「モモ」の引用が多く、ストーリーもリンクしている部分が多数見受けられる。今回はドラマに登場する「モモ」に関連したセリフから、「モモ」がドラマを通じて現代に伝えるメッセージを読み解いていきたい。
「ながいこと…」「ねむっていた」「もう、だれも、いない」「すべては、すぎさった」
時間の国に迷い込んだモモが元の世界に戻った時に言われた言葉。望美は25年の眠りから目覚めたとき、この言葉を自身の絶望に当てはめた。
「大きな不安と、もっと大きな勇気」
そんな望美を結人(坂口健太郎)は同じく「モモ」の「大きな不安と、もっと大きな勇気」という言葉を借りて、「大きな勇気を持って、これから色んなものをいっぱい見るんだ、聞くんだ、考えるんだ」と、現実世界と向き合うように励ました。
「話す声は聞こえるし、言葉は聞こえるのですが、話す人の心は聞こえてこないのです」
結人が自分の気持ちにウソをつき、代行業を続ける姿を見て、望美が言った一言。時間どろぼうに時間を盗まれそうになったモモが言った言葉を引用し、つらい現実から目をそらし逃げようとする結人に「自分の心に向き合え」と訴えた。